はじめに-豊臣秀頼とはどんな人物だったのか?

豊臣秀頼は、安土桃山時代の武将です。秀吉と側室・淀殿(茶々)の間に生まれた待望の男子で、周囲から愛されて育ったとされます。特に、57歳にして実子に恵まれた秀吉の溺愛ぶりはすさまじく、秀頼が伏見城(=現在の京都府京都市にあった城)に移居する際には、朝廷に勅使を依頼したり、太刀や馬を贈ったりしたそうです。

文禄4年(1595)、関白を務めていた秀吉の養子・秀次(ひでつぐ)が自刃したことで、秀頼は豊臣家の後継者として注目されることとなりました。その後、周囲からの愛情を受けて健やかに成長した秀頼。

天下統一を目指す徳川家康にとって、最大の脅威であったとされますが、実際の豊臣秀頼はどのような人物だったのでしょうか? 史実をベースにしながら、紐解いていきましょう。2023年NHK大河ドラマ『どうする家康』では、家康を恐れさせた、豊臣家復活の期待を背負う若きプリンス(演:作間龍斗)として描かれます。

目次
はじめに-豊臣秀頼とはどんな人物だったのか?
豊臣秀頼が生きた時代
豊臣秀頼の足跡と主な出来事
まとめ

豊臣秀頼が生きた時代

豊臣秀頼は、文禄2年(1593)に生まれます。秀頼が生まれた頃、父の秀吉は「文禄の役」で朝鮮を攻撃していました。戦いは思いのほか難航し、秀吉が年老いていたということもあって、豊臣政権は雲行きが怪しくなっていきます。そのような時代に、秀頼は誕生したのです。

秀吉はもちろん、彼に忠誠を誓った家臣たちにとっても、秀頼はまさに救世主のような存在だったのではないでしょうか?

豊臣秀頼像(養源院蔵)

豊臣秀頼の足跡と主な出来事

豊臣秀頼は、文禄2年(1593)に生まれ、慶長20年(1615)に没しました。その生涯を、出来事とともに紐解いていきましょう。

豊臣家の跡継ぎとなる

豊臣秀頼は、文禄2年(1593)、秀吉と側室・淀殿の子として生まれます。秀吉は、正室・寧々との間に子どもを授かることができず、ほかの側室との間に生まれた子どもも幼くして亡くしてしまうなど、子宝には恵まれませんでした。

そのため、秀吉は実の息子・秀頼の誕生を大変喜び、彼を溺愛したと伝えられています。大坂城で生まれた秀頼が伏見城に移居した際には、盛大にお祝いしたそうです。秀吉は、秀頼を跡継ぎにしたいと考えていましたが、既に養子・秀次が関白を務めており、豊臣家の後継者になることが決定していました。

当初、秀吉は秀次の娘と秀頼を結婚させ、秀次から秀頼へ関白を継承することを望んでいたとされます。しかし、文禄4年(1595)、秀吉は秀次を関白職から辞職させ、自害へと追い込んだのです。この時、秀次だけでなく、家族も全て処刑されることとなりました。

秀吉がこのような残忍な行動に出た背景には、自分の息子を後継者にしたいと願う淀殿の圧力もあったと考えられます。これにより、秀頼は豊臣家の新しい後継者として、注目を集めることとなったのです。

その後も、まだ幼い息子・秀頼の将来を案じ続けた秀吉。病床に伏すようになると、家康や毛利輝元(もうり・てるもと)などの有力大名たちを集めて血判の誓紙を書かせ、秀頼に忠誠を尽くすよう約束させました。また、秀頼の後見役には、秀吉からの信頼が厚かった前田利家(まえだ・としいえ)が抜擢されることに。

秀頼を守るよう、再三家臣たちに命じていた秀吉。しかし、まもなく秀吉が病死したことで、その約束の効力も次第に薄れていったのです。

伏見城模擬天守(京都市伏見区) 
秀頼は、秀吉が亡くなるまで伏見城で暮らしたとされる。

「関ヶ原の戦い」勃発、徳川家の時代へ

秀吉の死後、彼の重臣だった石田三成と家康が、覇権をめぐって対立します。そして、慶長5年(1600)、天下分け目の「関ヶ原の戦い」が勃発。最初は西軍有利で戦いが進行していましたが、次第に東軍の勢力が強まり、西軍は敗走を強いられます。

家康率いる東軍の勝利で戦いが終わった後、豊臣家は全国にあった蔵入地を没収され、摂津・河内・和泉約70万石の一大名に転落してしまいました。慶長8年(1603)に内大臣となり、のちの将軍・徳川秀忠の娘である千姫(せんひめ)と結婚した秀頼。

慶長10年(1605)には右大臣へと昇進しますが、豊臣家の時代は終焉へと向かっていました。

「大坂の陣」と、悲しい最期。次ページに続きます

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