最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか「読める、けれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く力が衰えたと実感することもあります。
脳トレ漢字の記事を読みながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。「脳トレ漢字」第166回は、「啄む」をご紹介します。鳥に関係する漢字で、実際に名前にも使われています。漢字への造詣を深めてみてください。
「啄む」とは何とよむ?
「啄む」の読み方をご存知でしょうか? 「たくむ」ではなく……
正解は……
「ついばむ」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「鳥がくちばしで物をつついて食うこと」と説明されています。「鶏がエサを啄んでいた」などのように使うことができます。「つきはむ」が音変化したものであり、古くは「ついはむ」と読まれていたそうです。
くちばしで物をつついて食べる鳥といえば、「キツツキ」を思い浮かべますね。この「キツツキ」は、漢字にすると「啄木鳥」になるのです。啄木鳥は固いくちばしを使って樹木に穴を開け、中にいる虫を食べます。
足の爪が非常に鋭いため、樹幹に垂直にとまることができるそうです。室町時代までは「ケラツツキ」という名称が一般的でしたが、近世以降になると「キツツキ」とも呼ばれるようになり、定着していったと考えられています。
「啄む」の漢字の由来は?
「琢(たく)」という漢字に似ているため、間違えて読まれることも多い「啄む」。「啄」には、くちばしを一か所に集中して突き当てるという意味が含まれます。また、「ついばむ」の「はむ」は「食む」と表記することができ、古典の世界では「食べる」「飲む」という意味として使われていました。
「くちばしでつつく」と「食べる」が合体した言葉であるということが分かります。
石川啄木と「啄木鳥」
「啄木鳥」と書いて、「キツツキ」と読むことが分かりました。キツツキを表す「啄木」は、『一握の砂』の作者として名高い詩人・石川啄木のペンネームにも使用されています。27年という短い生涯のうちに、数多くの作品を生み出した啄木。
故郷の岩手県で療養していた際に、キツツキの木をつつく音が聞こえてきたことが、名前の由来であると言われています。石川啄木は、生まれつき病弱だったそうです。一生懸命に木をつつくキツツキの力強さに、勇気づけられたのかもしれませんね。
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いかがでしたか? 今回の「啄む」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 「啄む」には、鳥がくちばしで物をつついて食べることという意味があることが分かりました。見た目の可愛らしさとは対照的に、ドリルのような音を立てて力強く樹木をつつくキツツキ。
古来秋の鳥とされており、俳句では秋の季語として使われています。まさに、これからの季節にぴったりな野鳥と言えますね。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
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