正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google 先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう⼀度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第144回は、「所以」をご紹介します。読書などをしていると度々目にする漢字ですが、適当に読み飛ばしてはいないでしょうか? 実際に読み書きをして、漢字への造詣を深めてみてください。
「所以」は何とよむ?
「所以」の読み方をご存知でしょうか? 「しょい」と読んでしまいそうですが……
正解は……
「ゆえん」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「わけ、いわれ、理由」と説明されています。「したがって」や「だから」などの接続語と同じ意味を持つ「所以」。漢文訓読語の「ゆえになり」が音変化して、「ゆえん」という読みになったという説があります。
また、同じ読みを持つ言葉に「由縁」がありますが、こちらは物事の始まりや由来を意味する言葉です。そのため、「地名の由縁」や「生まれた由縁」などのように、「起源」や「因縁」という意味として使われます。
一方、「所以」にはそのような意味はないため、「評価される所以」や「人から好かれる所以」などのように、主に「理由」を表す言葉として使われるのです。
「所以」の漢字の由来は?
では、どうして「ゆえん」を「所以」と書くようになったのでしょうか? 一説によると、漢文を訓読みした時の「以て~する所となる」から、「所以」という漢字が当てられたと言われています。
「所以」は中国語に由来する?
ところで、皆さまは中国語にも「所以」という言葉があるのをご存知でしょうか? 「所以」と書いて「スォイー」と発音し、意味も日本語のものと全く同じです。この「スォイー」という発音は、何となく「しょい」と言っているように聞こえますよね。
そのため、中国語の「所以」をそのまま日本語として使うようになったのではないかと言われることもあります。漢字を元にしてひらがなやカタカナが生み出されたように、中国語に由来する言葉は数多くあるため、改めて調べてみると面白いかもしれません。
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いかがでしたか? 今回の「所以」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 簡単に書けて、なおかつよく目にする漢字なのに、つい読みを忘れてしまったり、そのまま読み飛ばしてしまったりしがちです。改めて漢字の意味について理解を深めるきっかけとしていただけたら、幸いです。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
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