字画も少なく、しょっちゅう⽬にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか⼼配になって、思わず声を小さくしてしまう漢字ってありませんか? サライ世代ともなりますと、いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。
簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の記事を読みながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。
「脳トレ漢字」第161回は、「雲母」をご紹介します。鉱物の一種である「雲母」。きらきらと輝いているのが由来となって生まれた読み方があるのをご存知でしょうか? 実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「雲母」とは何とよむ?
「雲母」の読み方をご存知でしょうか? 「うんも」だけではありません。
正解は……
「きらら」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「六角板状の結晶をなす珪酸塩(けいさんえん)鉱物。」と説明されています。「雲母」は「うんも」と読んで、花崗岩(かこうがん、火成岩の一種)などに含まれる鉱物グループのことを指します。
薄くてはがれやすく、弾性に富んでいる「雲母」。真珠のような光沢があり、きらきらと輝く様子から、「きらら」と呼ばれるようになったのです。また、雲母を主成分とする「蛭石(ひるいし)」という鉱物を700度以上の高温で焼くと、「バーミキュライト」になります。
バーミキュライトは吸水性に優れているため、土壌改良材や栽培用土など、園芸の材料として活用されることが多いです。あまり馴染みのない「雲母」ですが、身近にあるものにも使用されているのが分かります。
「雲母」の漢字の由来は?
きらきら輝く美しい「雲母」。その昔、雲母を砕くときらきらと風に舞ったことから、雲の源であると考えられていたそうです。「母」という字はお母さんという意味ではなく、源という意味として使われています。
また、「雲母」を英語表記にすると「mica(マイカ)」になり、輝くという意味を持つラテン語の「micare」が語源であると言われています。
吉良義央と「雲母」
『忠臣蔵』で知られている吉良義央(きら・よしなか)。足利氏の血を引く名門・吉良氏ですが、吉良という名字は「雲母」に由来するということをご存知でしょうか? 吉良氏の祖・足利義氏(よしうじ)の子が、地頭職(荘園などの領土を管理する職)を務めた三河国吉良荘を名字としたことで始まったとされる吉良氏。
現在の愛知県西尾市に位置する吉良荘は、良質な雲母が採掘される地として知られていました。「きらら」がたくさん採れる地だったことが由来となって、「吉良」という地名が生まれたのです。美しい光沢が魅力的な「雲母」。高貴な吉良氏にぴったりの鉱物ではないでしょうか?
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いかがでしたか? 今回の「雲母」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? きらきら輝くことが由来となって生まれた「きらら」。吉良氏の名字も、「きらら」に由来しているということが分かりました。
また、絵画をより美しく見せるため、絵具の材料に使われることもあるそうです。浮世絵版画などによく使用されているため、美術館や博物館で実際に鑑賞してみると良いかもしれませんね。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
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