最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか、「読めるけれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く力が衰えたと実感することもあります。
動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「脳トレ漢字」第99回は、「偶に」をご紹介します。普段の何気ない会話でも使っている、あの言葉です。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「偶に」はなんと読む?
「偶に」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「ぐうに」ではなく……
正解は……
「たまに」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「まれであること、めったいないこと」と説明されています。日常生活の中では「偶にしか会わない」「偶の休み」などの言い回しで、馴染みのある言葉なのではないでしょうか。
「たまに」と同じく、頻度が少ないことを表す言葉に「まれに」がありますが、こちらは「稀に」と書きます。似た意味で、同じ送り仮名を持つ「偶に」を「まれに」と読まないよう、注意しましょう。
また「偶に」の他に、「適に」も「たまに」と読みます。
「偶に」の漢字の由来とは?
「偶に」を構成する漢字を見ていきましょう。「偶」という字には「たまたま、思いがけなく」「対になる、つれあう」「ひとがた、人形」「二で割り切れる」など複数の意味があります。「偶に」の場合は、一つ目の「たまたま、思いがけない」の意味です。
同じ意味の使用例として、他には「偶然」「偶発」などが挙げられます。「偶に」の「偶」を重ねて「偶偶」「偶々」と書くと、「たまたま」となります。
また、「偶に」と同じく「偶」を「たま」と読む言葉に「偶さか(たまさか)」があります。「偶さか」の意味も「偶に」と同様、「思いがけないさま、偶然であるさま」です。
「偶」と「遇」との使い分け
「偶」と「遇」はどちらも同音で字形の似ているため、混同しやすいです。
「遇」には「遭遇」といった「思いがけず出会うこと」や、「境遇」といった「めぐりあわせ」などの意味があります。「偶」と「遇」にはどちらも「思いがけず」という意味が含まれているため、間違えやすくなっています。
違いとしては、「遇」の場合は「奇遇」「遭遇」「不遇」「待遇」など、「遇」の前に何か一字加わった熟語が多い傾向にあります。一方、「偶」の場合は「偶然」「偶発」など「偶」の後に一文字続いて熟語になっていることが多いです。
文章を書いている時にどちらの漢字か迷った際には、参考にしてみてはいかがでしょうか。
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いかがでしたか? 今回の「偶に」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 一般的に平仮名で表記されることが多く、馴染みのない漢字表記でも、漢字が持つ意味を知るとぐっと覚えやすくなるのではないでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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