千代はやっぱり「望月千代女」だったか
I:三河一向一揆で空誓上人(演・市川右團次)の側に侍っていた歩き巫女の千代(演・古川琴音)が、一向一揆終結後に、甲斐に姿を見せました。
A:すでにネット上などでも「千代=望月千代女」説が話題となっていましたが、その通りになりましたね。〈もう少しひっかきまわしとうございました〉という台詞の通り、武田の間者だったというわけです。
I:信玄に家康評を問われて〈才は織田信長に遠く及ばず。これまで見た中でもっとも肝の小さいお方かと〉のたまいました。天下統一を成し遂げ、戦国を終わらせた大偉人に対して、この評価! この当時の評価はそんなものだったのかもしれないですね。中高の学生時代に目立たなかった人が大人になってブレイクすることはよくあることです。
A:なるほど。家康もこれからブレイクするってことなんですね。
お玉のエピソードが意味するものとは
I:さて、本多正信とお玉(演・井頭愛海)という女性のエピソードが冒頭と中盤に挿入されました。これはいったい何がどうなってここに入ってくるのか、今ひとつピントきませんでした。
A:何かの伏線ではないのでしょうか。本多正信の目指す世について示唆するエピソードなんでしょうね。ただ、現実問題として、人さらいに遭うというのは戦国の世ですから日常茶飯事だったと思われますが。
I:そういえば、家康また泣いていましたね。家臣団に諮ることなく一向宗寺院の「不入の権」をはく奪したという設定でしたから、自責の念にかられたのでしょう。
A:いつまでも泣いているわけにはいきません。次回以降の家康に要注目ですね。
●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『日本はこうしてつくられた3 徳川家康 戦国争乱と王道政治』などを担当。『信長全史』を編集した際に、採算を無視して信長、秀吉、家康を中心に戦国関連の史跡をまとめて取材した。
●ライターI:三河生まれの文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2023年2月号 徳川家康特集の取材・執筆も担当。好きな戦国史跡は「一乗谷朝倉氏遺跡」。猫が好き。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり