ライターI(以下I):家康(演・松本潤)の「懐刀」と目され、その関係が「君臣の間、相遭こと水魚のごとし」と称された本多正信(演・松山ケンイチ)が、家康から追放されました。
編集者A(以下A):一向一揆側の「軍師」という設定でしたからしょうがないです。本来であれば斬首されてもおかしくはない立場。ところが後年、生き残って帰参することになるわけですが……(無言になる)。
I:どうしました?
A:今、不用意に帰参することになるといいましたが、何も知らなかった小学生の頃のように、「本多正信、この後どうなるんだろう?」とどぎまぎしたり、帰参した際に、「本多正信戻ってきたんだ~」と純粋に楽しみたいな、とちょっと思ってしまいました(しみじみ)。
I:歴史的事実は変えられないですからね。劇中〈殿に勝ち目はござらん。御仏の子らは止められん。この者たちが死ねばその子孫が、永遠に戦い続ける!〉と啖呵をきっていたんですけどね。本編でも言及していますが、「寛容な家康」を象徴する出来事になりました。
A:〈殿は必ず負ける! 負けるのじゃ!〉と豪語していましたが、帰参のシーンがどう描かれるのか……。ほんとうに楽しみです。
I:家康と本多正信の関係がどう描かれるのか、すごく興味津々ですよね。
A:私たちの年代は1981年にTBSで放映された『関ケ原』での家康、正信の関係が思い出されます。家康が森繁久彌さんで、正信が三國連太郎という豪華な組み合わせ。あの不敵な佇まいが忘れられません。
I:さて、今週は本多正信を演じた松山ケンイチさんからコメントが寄せられました。
第9回では正信が家康を裏切る場面が描かれましたが、「戦で何を守りたいのか」ということに関して、自分に正直になったということかと思います。その結果裏切りにつながったのですが、そこに対して「悪い」という感情は一切ないんですよね。ただ、自分から大勢に対して挑んでいる訳なので、家康と対峙する場面については、正信もきっと寝られなかったんじゃないかと思うんです。そんな正信とリンクしたのかもしれませんが、その収録の前日、僕自身も全く眠れませんでした。20 年近く俳優をやっている中で初めての経験でしたが、何かがあるのでしょうね。
A:2012年に『平清盛』で大河ドラマの主演を務めた俳優にして、前日眠れぬ夜を過ごす。これは凄絶ですね。それだけ、本多正信の心情に入り込んでいたのでしょう。
【感動の帰参シーンを期待。次ページに続きます】