2022年12月3日。高知市中心部から7kmほど離れた介良(昭和34年までは介良村)の介良川沿いにある旧西養寺跡にある源希義墓地で、希義(まれよし)の供養祭が斎行された。
源希義は、初代鎌倉殿源頼朝と母を同じくする弟で、平治の乱で兄頼朝が伊豆に流された際に土佐国介良荘に流されていた。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、平家を打倒するため伊豆で挙兵した源頼朝のもとに、範頼、全成、義円、義経の弟らが集結する様子が描かれた。その中に希義の姿はなかったが、その存在については、当欄でも〈高知で死んだ源頼朝のもうひとりの弟希義。悲劇の御曹司の足跡と、840年後も続く「まれよっさん」の祭祀〉(https://serai.jp/hobby/1085188)の中で触れている。
参列したのは、源希義公顕彰会の近森正博会長以下十数名。地元の新聞で紹介されたとのことで、一般の歴史ファンも参加して厳かに斎行された。祭主は地元の朝峯神社の野村尊應宮司。宮司が希義の御魂を慰霊する祝詞を奏上すると、参列者がそれぞれ低頭し、840年ほど前にこの地で没した源氏の御曹司希義に思いを馳せた。
近森会長が語る。
「こうして希義公を偲んで参列して下さる方々がいることが嬉しいです。なんとか希義公がこの地にいたという伝承を、後世にまで伝えていきたいと思っています」
希義が引き合わせたくれた奇縁
この供養祭で意外な人物と出会った。祭主を務めた野村宮司は、50年前に介良の地を全国的に有名にした「介良事件」の当事者なのだという。今となっては、超常現象に関心の高い人以外にはなんのことかわからない向きがほとんどだろう。事件の概要を記す。
昭和47年(1972)、介良地区の中学生9名が、地区の田んぼの上を飛行する小型の飛行物体を目撃し、小学生らが小型のUFOを発見し、後に捕獲したという事件だ。当時の人気番組『11PM』で取り上げられるなど、一時期全国的な話題を集めたことで知られる。今年は事件から50年。当時中学生だった宮司も60代も半ばにさしかかろうとしているのだが、節目の年ということで、何件か取材を受けたという。
なぜか、希義がわざわざ引き合わせてくれたのではないかと感じるほど、驚きの出会いだった。
構成/『サライ.歴史班』