仲良く登壇した公暁役の寛一郎さん(左)と実朝役の柿澤勇人さん(右)。(写真提供/NHK)

ライターI(以下I):『鎌倉殿の13人』で源実朝(演・柿澤勇人)と公暁(演・寛一郎)の攻防が続く渦中に、東京都内でファン向けのトークイベントが開催されました。

編集者A(以下A):4KのPRイベントとのことでしたが、平日の夜にもかかわらず、会場には約260人もの『鎌倉殿』ファンが集結しました。司会がなんと『NHKのど自慢』の小田切千アナウンサー。この人が登場したおかげで、平日の夜のやや重めの空気が、日曜昼のリラックスした空気に変換されましたから、人選の妙だなと思いました(笑)。

I:何はともあれ、トークイベントには実朝役の柿澤勇人さんと公暁役の寛一郎さん、そして『鎌倉殿の13人』の制作統括を務める清水拓哉さんが登場しました。

A:ちょうど第44回と第45回の間に開かれただけに、関心は第45回の「鶴岡八幡宮での実朝暗殺事件」の話題が中心でしたね。

I:裏話もけっこう語ってくれておもしろかったですね。寛一郎さんは公暁の髪型について語ってくれましたが、〈千日参篭しているという前提なので髪を伸ばしてみましたが、これはちょっと伸ばしすぎでしたね〉と笑っていたのが印象的でした。地毛にエクステをつけていたそうで、髭についても、当初はもう少し無精髭だったようですが、〈これから自分が鎌倉殿になろうとしているという前提だから、そこはきちんとしておかないといけないと思って、少し整えたんです〉ということでした。

A:こういう裏話を演者の方に直に聞ける機会というのはあまりないですから、貴重な場でしたよ。

三谷幸喜さんと柿澤勇人さんが鎌倉へドライブ

I:実朝役の柿澤勇人さんの役に向きあう姿勢についても、参加した視聴者はグッときたのではないですかね。実朝に関する史資料に目を通し、太宰治の『右大臣実朝』もしっかり読み込んでらしたんですね。

A:トークイベントの中で、柿澤さんがちらっと脚本の三谷幸喜さんと鎌倉に行ったというお話をしていたので、イベント終了後の囲み取材で聞いてみました。柿澤さんの運転する車で鎌倉に行ったこと、大河ドラマの脚本家を同乗させていたので、安全運転を心がけて、車中でどんな会話をしたのか覚えていないということ、鎌倉では、政子と実朝のお墓のある寿福寺や鶴岡八幡宮をめぐったことなどをこんなふうに語ってくれました。

時期はちょっと明確に覚えていないんですけど、台本もまだあがっていない時でした。僕が車を運転して、一緒に行きましたが、車の中でのことはほとんど覚えていないんです。なぜなら、日本を代表する脚本家を乗せているわけですから。万一にでも事故を起こしたら『鎌倉殿の13人』も流れてしまうわけですし、安全に安全を期して運転をしていました(笑)。鎌倉では由比ガ浜や鶴岡八幡宮にはもちろん行きましたし、実朝と政子のお墓のある寿福寺にもお参りしました

I:さらに、続けて柿澤さんはこんな話もしてくれたのです。

三谷さんが「(『鎌倉殿の13人』では)今までの実朝のイメージじゃないんです」ということをおっしゃっていたのが印象的でした。実朝は実は名君で、あのまま生きていたとしたら理想の鎌倉を作り上げることができたかもしれないといったようなことを、お話されていました。鶴岡八幡宮ではご祈祷もしてもらいましたし、「大銀杏のあった場所に一度立ってみよう、(撮影にクランク)インする前に行けば感じ方も違うだろうから」と大銀杏のあったあたりの階段上にも立ってみました。ドラマの中ではセットでの撮影なのですが、そういう機会を与えてもらって良かったなと思っています

A:奈良の取材をしていて、三輪山の山容を眺めた時に、予備知識がないとただの山にしか見えないわけです。ところが、古代の人々が聖なる山だと崇めて、千数百年にわたって信仰の対象になっている山だということを知れば、途端に「聖なる山容」に見えてくる。それと同じで、実際に実朝暗殺の現場に立ち、由比ガ浜から八幡宮に続く参道を歩くと歩かないとでは、演じる際の意識が絶対に違ってくると思うのですよね。ドラマの最終盤でこんないい話を聞けるとは思いもよりませんでした。ちょっと感動しました。

I:私も感動しましたが、奈良の話は、万葉学の第一人者で國學院大学の上野誠教授の受け売りですね(笑)。

A:私たちもいろいろな取材の現場で「三谷さんが見学に来られました」という話に接しました。ですから、これまでも当欄で、「作者は取材を尽くして、あらゆる史資料に目を通し、最新の知見を把握したうえで」 脚本に取り組んでいるという趣旨の話をしてきました。柿澤さんが話された「実朝のイメージ」の話は、まさにその成果なんですね。

I:『鎌倉殿の13人』の人気の秘密に迫ることのできるお話になりましたね。

「これは映画化した方がいいのではないか」

I:さて、今回は4KのPRイベントということで、会場では第44回を4K画像で上映するという趣向でした。しかも制作統括の清水さんの「裏話解説」付き。なんだかうれしい展開でしたね。

A:私が「オッ」と思ったのは第44回の冒頭で 義時(演・小栗旬)が白い犬と向きあう場面がありました。戌神によって義時が救われるという『吾妻鏡』に書かれた逸話に準じた場面ですが、登場していた犬がなんと、CMに登場している有名犬だということを明かしてくれました。

I:ややぼかした表現でしたけど、ソフトバンクのCMでおなじみの白戸家の犬なんですよね。「あの戌神様は白戸家の……」とちょっとした驚きでした。

A:そのほか、鶴岡八幡宮のセットの話や、八田知家(演・市原隼人)のお蔵入りになった爆笑シーンの話など、トークもおもしろくて、あっという間に時間が過ぎました。しかし、4Kの映像というのがほんとうに精彩できれいだということがわかったのですが、「NHKやっちまったな」と感じたことがあります。こんなきれいな映像を映画館のスクリーンのような大画面で見てしまったら、「こんなに面白いドラマなんだから映画にしたらいいのに」と感じたファンがいたのではないかと思うのですよ。

I:またそんなことをいう。

A:いや、これは真剣に検討いただきたいですね。スピンオフにしてもらいたい題材は山ほどあるわけですから(笑)。日本最高峰のドラマの実力を見せつけてほしいです。

駆けつけたファンで会場はほぼ満席。(写真提供/NHK)

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『半島をゆく』、鎌倉歴史文化館学芸員の山本みなみ氏の『史伝 北条義時』などを担当。初めて通しで見た大河ドラマが『草燃える』(1979年)。先日、源頼朝のもう一人の弟で高知で討たれた源希義の墓所にお参りした。

●ライターI:ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2022年1月号 鎌倉特集も執筆。好きな鎌倉武士は和田義盛。猫が好き。

構成/『サライ.歴史班』一乗谷かおり

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