人間誰しも「老い」への恐怖はあるものです。では、いつ頃から「老い」を意識し始めるのでしょう?

それは、特定の年齢からというわけではなく、次のような症状を自覚するようになった時からではないでしょうか。「視力が落ちてきた」「思うように動けない」「覚えられない、思い出せない」「やる気が起こらない」。こんな事が多くなると、自分で自分が嫌になってきます。時に情けなくなり、イライラもします。

そうした事が徐々に多くなってくると、日々の生活において体力、気力、知力の衰えを実感するようになり、ついには、ひとり「俺も歳とったよなぁ〜」と呟くのであります。しかし、この時点では、まだ「歳取ったかな?」くらいにしか思っていないものです。つまり、歳は取ったが「年寄り(老人)になった」とは思っていないはず。

歳を取ることは自然の摂理ですから、逆らうことはできません。ですが、誰もが「歳はとっても“老人”にだけはなりたくはない」と思うのはないでしょうか。そうした理由で、多くの人が“老人”にならないための努力と挑戦を始めます。その姿は、時に涙ぐましく逞しくさえ映ります。

そうした取り組みには、一つだけ注意しなければならないことがあります。それは、頑張りすぎて、怪我をしてしまうことです。「転んで骨折、それが元で寝たきり」なんてことだけは、絶対に避けなければなりません。

そこで役に立ちますのが、徳川家康の名言。「人は老少ともに年相応の体たらくが善き事なり」です。

この言葉は、年相応の活動を心得るべし、ということなのでしょうね。サライ世代なら、是非とも心に留め置きたい言葉ではないでしょうか?

※ことばの解釈は、あくまでも編集部における独自の解釈です。

徳川家康の人生

徳川家康は、江戸幕府を開き260余年にわたる泰平の世を築いた人物です。2023年には、NHK大河ドラマ『どうする家康』の主人公として描かれます。

織田信長(享年49歳)、豊臣秀吉(享年62歳)、徳川家康(享年75歳)と、三英傑の中で最も長寿だったのが、家康です。こうして見ると、長く生きたものが天下を制したと言えるかもしれません。

家康は、特に健康に気を使っていました。粗食を好み、薬学にも詳しかったため自ら薬を調合していたと言われています。また、幼い頃から好んだ鷹狩りも、晩年は単なる娯楽としてではなく、無理なく運動ができる健康法の一つとして重視したそうです。

今回取り上げた名言は、『武功雑記』という安土桃山時代から江戸時代初期にかけて諸将士の武功を述べた戦記に出てくる言葉です。「年甲斐もなく、無理をしてしまっている……」と感じた時、天下人の言葉は自然体へと導いてくれるのではないでしょうか。

家康が隠居後に過ごした駿府城の本丸跡には、鷹狩りをする家康の銅像が残されている。

徳川家康肖像画/もぱ
文・構成・アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
HP:http://kyotomedialine.com Facebook

 

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