「檸檬」と漢字で表記されていたら、おそらく多くの方が「レモン」と読めるのではないでしょうか。元々はインド原産の果樹であり、日本に渡来したのは明治初期だったと言われていますが、今では多くのご家庭において馴染みの食材であり、梶井基次郎の短編小説『檸檬』も有名です。
「西瓜」(スイカ)も元々は海外原産の野菜ですが、スーパーなどの値札に漢字で書かれていたりすることもあり、一般的だと言えるでしょう。
それでは、「鰐梨」と書く食材は何でしょうか……? 日本に伝わってきたのは百年ほど前だったと言われていますが、近年、美容や健康にいいと人気を集めている食材です。
「脳トレ漢字」第102回はこの「鰐梨」をご紹介します。鰐と梨の見た目から連想していくと、思い当たる方もいらっしゃるかもしれません。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「鰐梨」はなんと読む?
「鰐梨」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「わに」と「なし」が表すものとは一体……
正解は……
「アボカド」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「クスノキ科の常緑高木。果実は熟すと果肉がバター状となり、生食される」と説明されています。原産地は熱帯アメリカで、流通している「鰐梨」の多くはメキシコやペルーなどから輸入されたものです。
濃厚な風味とねっとりとした舌触りから「森のバター」と呼ばれる「鰐梨」。栄養価が高いため「食べる美容液」とも称されます。ちなみに「か」を濁って「アボガド」と読むのは間違いですので、注意しましょう。
「鰐梨」の漢字の由来とは?
なぜ「鰐梨」と書いて「アボカド」と読むのでしょうか。それは、英語での「alligator pear」(アリゲーターペア)という別称に由来しています。表皮がゴツゴツして鰐の肌に似ていることから、こう呼ばれているとされます。
つまり「鰐梨」という漢字は、この「alligator pear」からつけられたものなのです。
「鰐梨」は果実? 野菜?
農林水産省では、「果樹」とは「概ね2年以上栽培する草本植物及び木本植物であって、果実を食用とするもの」と定義しています。したがって、この定義に照らし合わせると、「鰐梨」は果実です。サラダの食材として使われることが多いので、意外に思われた方も多いのではないでしょうか。「鰐梨」と同じく、意外なところとしては梅や栗も果物です。
一方で、西瓜や苺、メロンなどは野菜に分類されます。青果市場では、「果実的野菜」として扱われています。
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いかがでしたか? 今回の「鰐梨」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 今度スーパーマーケットなどで見かけた際には、実際に手に取って、由来である「鰐」の肌を感じてみてはいかがでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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