長引くコロナ禍や自然災害など、現代社会では、生きていく上で困難な状況に直面することがよくあります。このような状況の中で、私たちにとって大切なことは「ポジティブな生き方」。逆境を跳ね返し、折れない心で偉業を成し遂げた偉人の名言から学ぶことがあるはず。
そこで、世界の偉人のポジティブな英語名言「ポジティブ名言」を厳選して集めた『偉人たちのポジティブ名言で学ぶ英語表現』(小池直己 著)から、偉人たちの生き方を学びつつ、同時に英語の知識も増やしていきましょう。
第5回は、オーストリアの精神科医、心理学者、社会学者、アルフレッド・アドラーの名言です。
アルフレッド・アドラー
Alfred Adler 1870-1937
オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家。アドラーは次のように考えている。人間の行動は、フロイトの言うように、過去の経験など、例えば、トラウマ・ 心的外傷などの外的要因によって決定されるのではなく、自分 の目的に従って決定されるのである 。行動や失敗の原因を過去に遡って考えても、過去は変えられない。大切なのは、これから、どうするかである。人は何らかの目的を持って行動している。未来の目的は自分で変えられるので 、これからの行動も変えることができる。大切なのは 、何が自分に与えられているのかではなく 、自分に与えられて いるものをどう使うかである。
【ポジティブ名言】
However much they deceive themselves, their real feelings of inferiority will remain.
どれだけ自分を欺いたとしても 、劣等感は残るだろう。
■ however 〜 どれだけ〜でも
however 〜 は「たとえどんなに〜でも、いかに〜であろうとも」。 no matter how 〜とほぼ同じ意味です。
However hard you study, you can’t master a foreign language in a year or two.
( どんなに熱心に勉強しても、1年や2年で外国語を究めることはできない)
《 notes 》
deceive(動) 欺く、だます
inferiority(名)劣等、下位 ⇔ superiority(名)優越、上位
remain(動)とどまる、残る
■まとめ
アドラーは劣等感を、理想とする自分の目標に向かって進むための刺激としてとらえました。自分自身が理想の自分に向かって少しでも近づきたい、自分自身が、今の自分よりも向上したい、と思う気持ちが、劣等感を生むと考えました。
この劣等感を補おうとして、向上心が生まれ、人間は努力すると考えたのです。人間は常に「優越性を追求しようと する」とアドラーは 言いますが、その過程において、人間は悩むのです。
自分が思ったような結果が得られないのに、他者はすばらしい結果を残し、社会的承認を得ているような場合、劣等感は異常に膨れ上がってしまい、苦しい状況に追い込まれてしまうのです。
他者はあなたが 思っているよりも、あなたの存在には無頓着なのです。
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『偉人たちのポジティブ名言で学ぶ英語表現』
世界文化社
定価1540円
小池直己(こいけ・なおみ) Koike Naomi
広島大学大学院修了。 カルフォルニア大学ロサンゼルス校客員研究員を経て、大東文化大学准教授、相模女子大学教授 、就実大学教授・大学院教授を歴任。その間、NHK教育の英語番組の講師も務める。英語教育学 、心理学を専門とする。主な著書に『 スヌーピーで学ぶすぐに使える英語表現105』(祥伝社)、『ポジティブになれる英語名言101』( 岩波書店 ) 、『中学・高校英語を10時間でやり直す本 』、『 英語でたのしむ「アドラー心理学」』(いずれもPHP研究所)など、380冊以上、 累計500万部以上。