文/柿川鮎子
鳥カフェや花鳥園など、鳥と触れ合える場所が増えています。人に慣れたかわいい子鳥たちが肩に乗ってきてくれますが、この鳥たちはオウムなのかインコなのか、疑問に思ったことはありませんか?
インコとオウム、いったい何が違うのでしょうか。
オウムとインコの違いは鳥として分類される科による違いです。オウムはオウム目オウム科の鳥でインコはオウム目インコ科の鳥です。
この鳥の分類については国際鳥類学会議(International Ornithological Congress、略称IOC)により仲間分けされています。最近は遺伝子研究が進み、外見上は似ていても祖先は全く違う種類であることがわかり、科が変わることも多くなっています。定期的に行われる変更を追っている愛鳥家もいて、最近ではヒタキ科とツグミ科に大きな変更があり、話題となりました。
科が違うといっても、いつも分類図鑑を持ち歩いているわけにはいきません。見た目からインコとオウムを見分ける簡単な方法を紹介しましょう。
■1:大きいのがオウム、小さいのがインコ
外見上からインコとオウムを見分ける方法ですが、個体による例外はありますが、おおざっぱに言って体の大きな方がオウム、小さいほうがインコです。
鳥の体の大きさですが、一般的に野鳥の場合、スズメ、ムクドリ、キジバト、ハシブトガラスを「ものさし鳥(とり)」と言い、スズメより小さいとかカラスぐらいというように大きさを表します。カラスより大きかったらオウムです。
また、鳥の大きさには(1)くちばしから尾までの全長と、(2)羽を広げた時の羽の先から先までの長さである翼開長という2つがあります。普通は全長で大きさを表します。
■2:地味なのがオウム、カラフルなのがインコ
インコとオウムの見分け方として、わかりやすい区別に色があります。
オウムは白や黒またはその他の単色が多いのですが(カラフルな色合いのオウムもいます)、インコは青や黄色、黄緑、紫などカラフルで鮮やか。羽と胴体で色が違ったり、色のグラデーションが美しく、華やかな色合いが特徴です。
■3:冠毛がついているのがオウム、ついていないのがインコ
頭にもオウムとインコの違いを表す羽があります。冠羽(かんう)と呼ばれる冠状の飾り羽がついているのがオウムです。
ペットとして大人気のオカメインコは頭の冠羽が特徴的です。興奮したり驚いたりすると冠羽を立たせて気持ちを表します。オカメインコはインコという名前ですが、分類上はオウムです。
■名前はインコだけれどオウムな鳥もある!
オカメインコのほかにも、名前はインコとつけられているのに、実はオウム科なのがモモイロインコです。モモイロインコにも薄いピンク色の冠羽があります。
その他、外見からは見分けはつきませんが、解剖学上のオウムとインコの違いでは、体に胆のうがあるかどうかなどでも判断できます。オカメインコは胆のうをもっているのでオウム科となります。
オカメインコ、モモイロインコなど名前はインコなのに分類上はオウムというように、鳥の名前と分類が異なる事例はたくさんあります。例えば、イソヒヨドリはヒヨドリの仲間ではありません。そういった名前と分類の違いが鳥をわかりにくくさせている要因のひとつとなっているようです。
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以上、今回はオウムとインコの見分け方を紹介しながら、鳥の分類や大きさ、ものさし鳥といった鳥のごく基本的な知識も理解できるように解説しました。
ちなみにJR掛川駅近くの『花と鳥のテーマパーク 掛川花鳥園』(http://k-hana-tori.com/)では、オウムやインコと触れ合うことができます。今回の記事を参考に、肩にとまってきた鳥がオウムかインコか、区別しながら鳥と親しんでみてはいかがでしょう。
文/柿川鮎子
明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。