右か、左か―。「迷いやすい」地点が点在する山の道。毎年3000人前後が期せずして山岳遭難に遭う中、その最多要因となっているのが「道迷い」です。登山初心者が増加するいま「道迷い」へのリスク認知の広がりが求められています。
登山・アウトドアプラットフォームを運営するヤマップ(https://corporate.yamap.co.jp/)では、登山地図GPSアプリ「YAMAP」に投稿された、2万件を超える「『迷いやすい』タグ付き投稿(フィールドメモ)」と登山者の軌跡データを厳正に評価。その分析結果のうち、日本の登山道において特に「迷いやすい」地点5点が明らかになりました。
統計的にわかった「迷いやすい」道の実例が、登山者の安全意識向上に寄与する、ひとつのきっかけになればと考えています。
【調査概要】
調査名:「迷いやすい」山の道調査
調査期間:2021年5月24日~7月25日
調査対象:『迷いやすい』タグ(フィールドメモ)および軌跡データ
調査手法:
1.『迷いやすい』タグ密集地点の抽出(エリア特定)
2. 軌跡データおよびフィールドメモの確認
3. 特定エリアを逸脱した軌跡ポイント数を策定
4. 特定エリアを逸脱した軌跡ポイント数を含む投稿を抽出、全投稿比で算出・評価
1. 西丹沢の大界木山〜浦安峠(関東 / 神奈川・山梨の県境)
道迷いに関連する投稿件数と全投稿比における抽出率:112件(46%)
正しいルートは「右」。「尾根筋」が複数に分かれ、つい、歩いてきた道の延長線上を進んでいってしまう登山者が多い。
2. 雨乞岳の沢谷ノ頭〜登山口(関西 / 滋賀・三重の県境)
道迷いに関連する投稿件数と抽出率:159件(14%)
「尾根筋」を直進してしまう登山者が多い。正しいルートは「左」。
3. 猿投山の東昌寺から南北方向(中部 / 愛知)
道迷いに関連する投稿件数と抽出率:160件(60%)
道なりに歩いてしまう登山者が多い。正しいルートは「左」。
4. 太白山の山頂付近(東北 / 宮城)
道迷いに関連する投稿件数と抽出率:66件(66%)
別ルート(左)に向かってしまう登山者が多い。正しいルートは「右」。
5.丹沢山の櫟山〜栗ノ木洞(関東 / 神奈川)
道迷いに関連する投稿件数と抽出率:270件(28%)
道なりに歩いてしまう登山者が多く、その踏み跡を辿ってしまう登山者も多い。正しいルートは「左」。
この地点では、270件もの道間違いが発生。今回のYAMAP調べでは最多でした。山の道は気象条件や季節等により刻々と変化するものですが、日本一迷いやすい地点と推定されます。
このようなデータやアプリなどを活用して、安心・安全な登山を楽しみましょう。