眼光鋭き、黒塗りにされた明智光秀坐像

周山城跡から麓の弓削荘、山国荘を望む。

I:さて、その周山城の麓には慈眼寺というお寺があり、明智光秀坐像が安置されていますね。

A:その存在は以前から知っていましたが、お参りしたことはありませんでした。謀反人の名を憚って坐像が黒く塗られたという逸話を持つ坐像です。三重大の藤田教授の『明智光秀伝 本能寺の変に至る派閥力学』の表紙はこの黒塗りの光秀坐像にしようと考えました。慈眼寺の寺井淳明住職に相談したところ、ご許可いただいて、撮影におじゃましたのが2019年の7月です。

I:奈良の仏像写真で知られる入江泰吉さんのお弟子さんの桑原英文さんに撮影いただいたのですよね。

A:仏像の撮影と同じように武将の坐像を撮影すれば、すごい写真が撮れるのではないかと考えたのですが、出来栄えは想像以上でした。表紙には眼光鋭き横顔を使わせていただきました。この黒塗り光秀像と周山城はセットで訪れてほしいですね。

I:周山城は、『麒麟がくる 紀行』でも紹介されませんでした。町の雰囲気も観光地の賑わいとは無縁ですが、そこがかえって胸を打ちます。町内には、「亀屋廣清」という大正11年創業の菓子店がありますが、こちらのご夫婦が周山城の広報を担当されていて、店内には資料が置かれています。

A:町の人が手弁当で周山城を盛り上げておられるので、さわやかな感じがしました。コロナ禍が収束したら、光秀を偲ぶ旅の行程に加えていただきたいですね。

I:さて、1年間にわたって続いてきた「麒麟がくる 満喫リポート」も今回が最終回になります。

A:子供のころ、番組が終わる午後8時45分になると、すぐに翌週の放映が待ち遠しくてたまらない気持ちになりました。「麒麟がくる 満喫リポート」は、当時のような「来週も楽しみ~」と思ってもらえるように心がけました。面白くなくなったら途中でやめるつもりでしたが、完走しちゃいましたね。これはドラマの力です。今、私も「麒麟ロス」に陥っていますが、また自由に旅ができる環境になったら光秀を偲ぶ旅に出かけたいと思います。

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●ライターI 月刊『サライ』ライター。2020年2月号の明智光秀特集の取材を担当。猫が好き。
●編集者A 月刊『サライ』編集者。歴史作家・安部龍太郎氏の「半島をゆく」を担当。初めて通しで視聴した大河ドラマは『草燃える』(79年)。NHKオンデマンドで過去の大河ドラマを夜中に視聴するのが楽しみ。 編集を担当した『明智光秀伝 本能寺の変に至る派閥力学』(藤田達生著)も好評発売中。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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