最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか、「読めるけれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く力が衰えたと実感することもありますよね。
動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「脳トレ漢字」第8回目は、晩夏から秋にかけて美しい姿を私たちに見せてくれる「吾亦紅」をご紹介します。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字の造詣を深めてみてください。
■「吾亦紅」は、なんと読む?
この“吾”、“亦”、“紅”を組み合わせた熟語、「吾亦紅」は花の名称です。『小学館デジタル大辞泉』の解説を引用してご紹介しましょう。
バラ科の多年草。山野に生え、高さ約1メートル。
葉は長楕円形の小葉からなる羽状複葉で、互生する。
8、9月ごろ、分枝した茎の先に暗紅紫色の短い花穂をつける。花びらはない。
根と根茎を漢方で地楡(ちゆ)といい、止血・解毒に利用される。のつち。《季 秋》「またしても日和くずれて―/立子」
どうでしょう、読み方に心当たりはありましたか? 2006年のヒット曲のタイトルとして記憶にある方もいらっしゃるかもしれませんね。
正解は…
「われもこう」です。
以前は「吾木香」という漢字が使われていましたが、今では「吾亦紅」という漢字が一般的です。続いての項目では、由来についてご説明をいたします。
■吾亦紅の由来とは?
「吾亦紅」の名前の由来には諸説あり、はっきりとはしていません。諸説ある中から興味深いものを2つご紹介しましょう。
1つ目は、この花の色を議論しているときに、吾亦紅自身が「吾もまた紅なり」といったので「吾亦紅」と名づけられたという説。控えめに花穂をつける、吾亦紅らしさが伝わってきますね。吾亦紅のたたずまいを感じさせる、高浜虚子による俳句も残されています。
吾も亦(また)紅(くれない)なりとひそやかに 高浜虚子
2つ目は、御簾(みす)の上部にかぶせた帽額(もこう)につけられた木瓜(もこう)紋と吾亦紅の花やつぼみが似ていて、割れ目があることから「割木瓜(われもこう)」と呼ばれるようになったという説。植物学者の前川文夫氏は著書『日本人と植物』の中でこちらの説が有力なのではないかと述べています。
■どちらが「吾亦紅」か見分けられますか?
ここまでご紹介してきました「吾亦紅」ですが、花の姿を思い浮かべることはできますか? ここで突然ですが、クイズです。下記の写真のA、Bのうちどちらが「吾亦紅」でしょう?
正解はAです。小さな花がたくさん集まり、上の方から咲いていきます。野原や山地で見つけることができますよ。
ちなみにBは、秋の七草の一つである葛(くず)。8月から9月に花を咲かせ、太い根からは葛粉が採れます。
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いかがでしたか? 今回の「吾亦紅」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 「吾亦紅」の花言葉は、「変化」「明日への期待」です。この時期、心にしみる言葉ですね。
来週をお楽しみに。
文/京都メディアライン
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