いよいよ放送再開3週間前。『麒麟がくる』でこれまでの光秀と光秀を取り巻く人々、状況を再確認できる総集編は見逃せない。

『麒麟がくる』の放送再開まであと3週。果たして視聴者は戻って来るのか?試金石ともいうべき制作陣渾身の総集編の出来やいかに?

* * *

ライターI(以下I):休止していた『麒麟がくる』の放送がいよいよ8月30日に再開されます。それに先立ち3週にわたってこれまでの総集編的な番組が展開されるようです。しかし、長かった。本当に長かったです。

編集者A(以下A):総集編は前半の21話を3回にまとめるみたいです。『麒麟がくる』は、第4話の直前に1~3話を再放送したことがありますが、今回は駆け足になりますね。

I:とはいえ、いったん離れた視聴者を取り戻すことができるのかどうか試金石になる総集編です。制作陣も気合を入れて編集したはずですから、後半戦に向けてさまざまなメッセージが散りばめられていると思いますよ。

A:メッセージが込められているかはともかく、制作陣の万感の思いが込められた編集になっているのは間違いないでしょう。そういう視点で視聴すると、何か見えて来るものがあるかもしれません。私からは、岡村隆史さん演じる菊丸について物申したいです。彼は第1話の明智荘が野盗に襲われるシーンから登場しています。当初はただの農民だという設定でした。ところが次第に行動に不審な点がみられるようになり……。

I:結局、菊丸の正体は、水野信元配下の忍びの人間ということがわかりました。

A:織田信秀(演・高橋克典)のもとに人質になっていた松平竹千代(後の徳川家康)と光秀が偶然遭遇した際も菊丸がいました。 その後もポイント、ポイントで登場してくる。そうなると、初回に野盗に捕まっていたのではなくて、実は野盗を手引きしたのは菊丸ではないかと……。

I:長い休止の間にそんなことを考えていたんですか?荒唐無稽です(笑)。

A:いずれにしても今後も目が離せない存在です。家康はじめ信長、秀吉、光秀が揃った金ケ崎の退き口など主要な場面に絡んでくるのかこないのか、注目したいと思います。

I:Aさんは、律儀な光秀(演・長谷川博己)を象徴する場面として、第2話の加納口の戦いの光秀を挙げることが多いですよね。

A:はい。斎藤道三(演・本木雅弘)に侍大将の首をふたつ獲るように命じられて、それを律儀に実行している姿が描かれました。約5㎏の重さがある首をふたつもぶら下げながら戦うというのは、やはり大変なことです。

I:そのシーン、総集編で登場するといいですね(笑)。さて、前半戦では、斎藤道三による女婿で美濃国守護の土岐頼純(演・矢野聖人)の暗殺シーンが話題になりました。道三は、頼純に対してお茶を点てますが、それが毒入りだったわけです。〈操り人形には毒は盛りませぬ〉というセリフにしびれた記憶があります。

A:あの場面の演技は道三、頼純ともに圧巻でしたね。しかも本木さんがサントリー「伊右衛門」のCMに出演していることから、SNSがざわつく事態になりました。

I:ところが翌朝にサントリーの公式アカウントが、CMで本木さんの妻役の宮沢りえさんの名で〈昨晩は、主人が熱演のあまり、皆様をお騒がせしましたようで、すみません。まずは心を落ち着け、茶などお召し上がりくださりませ。妻より〉とツイートしました。これには〈さすがサントリー、大人の対応〉と喝采を叫ぶ声が多かったようです。

A:そんなことありましたね。あまりに鮮やかだったので、NHKとサントリーは事前に握っていたのではないかと思って、関係者に確認したところガチでした(笑)。改めてサントリーの風通しの良さを実感するエピソードとなりました。

I:前半戦では、京都を訪れた光秀が細川藤孝(演・眞島秀和)や三淵藤英(演・谷原章介)、松永久秀(演・吉田鋼太郎)、将軍義輝(演・向井理)と出会う場面が描かれました。

A:放送当時、当欄では、「今回の青春群像的な雰囲気を覚えておいてほしいですね。そうするとやがてくるそれぞれの過酷な運命が〈グッとくる〉ものになると思います」とまとめていますね。せっかくあまり大河に登場したことがない面々が出ているわけですから彼らの運命も情感たっぷりに描いてほしいですけどね。

I:視聴者が特に期待しているのは、松永久秀の動向ですよね。爆死するかどうかはともかく、しっかり尺をとって描いてほしいですよね。総集編で京都の場面がどの程度採用されているか注目ですね。

やっぱりキーマンは菊丸なのか?

架空の人物ながら三河者として暗躍する菊丸。今後、どのような絡み方をしていくのか興味が尽きない。

A:前半戦で印象的だったのは高橋克典さん演じる織田信秀の存在でしたね。加納口でのシーンなど〈信秀をもっと見たい〉という感想を持ちました。

I:そういう印象的な場面が総集編でどこまで登場するかは楽しみでもありますよね。自分たちがここは当然出るでしょう、と思っていたシーンがカットされていたり(笑)。

A:21話分を3回にまとめるわけですからしょうがないです。個人的にもう一度見たいのは、第4話で光秀が松平竹千代に干し柿を与えるシーンですね。

I:竹千代が「干し柿甘い」という場面ですね。放送後に美濃の干し柿をお取り寄せしましたが、本当に甘くて美味だったことも懐かしい思い出ですね。

A:松平元康になった竹千代と光秀が遭遇する場面は、その後も何度か描かれました。そのため最初の出会いの干し柿の場面は、ぜひ総集編でもみたいところですね。

I: そして、織田信長の登場になるわけですが、信長と帰蝶(演・川口春奈)の結婚話が出て、なぜか光秀が信長の風体を確認するため尾張まで赴きます。

A:熱田の市場で菊丸に遭遇するんですよね?そして、光秀は菊丸に信長のことをいろいろ訊ねるわけです。

I:なんだか振り返ると菊丸がキーマンっぽく感じますね。もしかしたら本能時の変に家康がかかわってくる布石なのでしょうか?

A:熱田の海の場面が総集編に登場したら、もしかしたらって感じですかね。

光秀にもらった干し柿を「甘い」といって頬張った竹千代がかわいらしかった。

●ライターI 月刊『サライ』ライター。2020年2月号の明智光秀特集の取材を担当。猫が好き。
●編集者A 月刊『サライ』編集者。歴史作家・安部龍太郎氏の「半島をゆく」を担当。初めて通しで視聴した大河ドラマは『草燃える』(79年)。NHKオンデマンドで過去の大河ドラマを夜中に視聴するのが楽しみ。編集を担当した『明智光秀伝 本能寺の変に至る派閥力学』(藤田達生著)も好評発売中。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

 

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