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前列中央から時計回りに、ご飯、野蕗のきゃらぶき、煎り豆腐(人参)、鶏そぼろ、漬物(胡瓜と人参の糠漬け・壬生菜・刻み沢庵)、焼き海苔、ごんげん蒸し、大根おろし(葱・鰹節・胡麻)、納豆(葱)、絹さやの浸し(鰹節)、味噌汁(豆腐・若布・葱)、中央右は焼き鮭、左は蒲鉾と山葵漬け。今朝は小鉢に盛っているが、常備菜のきゃらぶきや煎り豆腐、鶏そぼろ、加えてごんげん蒸しなどは大皿で登場し、取り分けていただくことが多い。絹さやは昨夜の残りを浸しに。蒲鉾は、山葵漬け(静岡『野桜本店』の激辛口)をつけて食す。焼き海苔は東京・品川の『みの屋海苔店』のものを愛食。焼き海苔とごんげん蒸しの器の模様は、定紋である揚羽蝶。

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暮らし

作らずに「コンビニで買う」ことも自炊です!|『自炊力 料理以前の食生活改善スキル』

文/印南敦史

自炊力

フードライターである『自炊力 料理以前の食生活改善スキル』(白央篤司著、光文社新書)の著者は、かねてから「料理力より、自炊力を」と考えていたのだそうだ。

自炊力とは聞きなれない言葉だが、著者の考えるそれは、

・自分で買い物に行って、その場で献立を決められる
・食材の質と値段のバランスを考えつつ買い物ができる
・そのときに買ったもの、家にすでにあるもの取りまぜつつ、数日分の献立を作り回していける
・なおかつ栄養バランスを考えられる
(本書「はじめに」より)

といった能力の総合力であり、生きていくうえで重要なスキルでもあるという。なお、そうしたことを考えるようになったことには、いくつかのきっかけがあったようだ。

まず最初は、社会に出て、生活習慣病にかかる先輩たちを少なからず目の当たりにしてきたという経験である。たとえば高血圧や糖尿病になると、食事が制限されることになるだろう。しかし、働き盛りの時期に食べる楽しみ、飲む楽しみが制限されてしまうのはつらいものだ。

また将来そういう状況になったとき、病気のことを考えた料理を作ってくれる人もなく、自炊も苦手だったとしたら困ったことになる。

いや、そもそもパートナーに頼り切るような時代ではないのだ。だからこそ、「なにをどう食べたらいいか、なにを補給し、減らすべきなのか」を考え、情報を適切に取捨選択しつつ、食事を自分でまかなえるスキルは男女を問わず必要だということ。

加齢と病気はセットのようなもの。どれだけ心がけていてもなにかしらガタはくるのだから、そうした事態に備えておくことが必要だというわけだ。

また、そうしたシリアスな問題とは別の理由もあるという。

その時々において安い食材を調理・保存でき、うまく使いまわせる食生活を送ることができたら、それはベストな状況である。少なくとも自分なりに満足のいく味つけができるスキルを持てれば、人生を通じて自分のQOL(Quality of Life:生活の質)を上げられるということだ。

たしかにそれは、よりよく食べ、よりよく暮らすための重要なポイントかもしれない。

だが現実問題として、「自炊が大事だということくらいはわかっているが、それをやる気力がない」という方も少なくないはずだ。いいかえれば、自炊力がないということ。だとしたら、そういう人に簡単料理や時短料理のレシピ本はなんの役にも立たないだろう。

そこで、本書の出番なのである。

著者によれば本書は、「料理をするのはいまのところ難しいけれど、そうはいっても食生活は少しでもよりよいものに変えていきたい」と願う人を対象とした、「こんなことでもOKなのか」というヒント集。

「食事を外食やコンビニですませてしまいがちだけれど、できれば自炊をしたい」という人に、「こんなことからでもいいのだな」と感じてもらえればという思いから書いたというのである。

ユニークなのは、第1章において「つくらずに『買う』ことだって自炊」だと主張している点である。コンビニ食が生活の中心になっている場合、なかなか自炊はできないものだ。ならば、「コンビニで売られているものをどう栄養バランスよく活用するか」という観点に立てばよいという発想である。

「栄養について考えられる力」は、自炊力の大きな柱のひとつ。そこで、まずは料理することなく、「買う力」を養うことから自炊力を高めていけばいいというのだ。たしかにそれなら、無理なくスタートできそうだ。

まず最初に頭に入れておくべきは、以下の3要素。

主食:ごはん、パン、麺類
主菜:肉、魚、大豆加工品(豆腐や厚揚げ、納豆など)
副菜:野菜類、キノコ、海藻類を使ったおかず。またはフルーツ

これらを組み合わせて一食とすると、バランスよく栄養素を摂ることが可能。もっとも簡単な一例としてあげられているのは、次のような構成だ。

主食 好みのおにぎり
主菜 肉か魚のおかず1品(または納豆など)
副菜 野菜や海藻を使ったおかず(または野菜やワカメ入りのスープ、味噌汁など)
(本書37ページより)

なるほどこれで、主食、主菜、副菜の3要素からひとつずつが揃うことになる。ちなみに主食としてパンを選んだなら、簡単な例としてはサラダと豆乳ドリンクを組み合わせると、3アイテムからひとつずつ揃う。

パスタにしても同じ。麺類は主食になるので、具として主菜、副菜に相当するものが入っているかどうかを見る習慣をつければいいということだ。

自炊力というと「とにかく調理を!」と思われるかもですが、調理できない状況にある人はまず「買う力」からつけていきましょう。漫然と食べたいものを買う状態から、自分の買ったものが「主食・主菜・副菜」のうち、どれに構成されるのかを考えられればかなりの前進です。(本書40ページより)

その次のステップは「量」だというが、いずれにしてもここが著者の提唱する「自炊力」のスタートライン。そう考えると、なにかとハードルが高いように見えた自炊を、身近なものとして捉えられそうだ。

『自炊力 料理以前の食生活改善スキル』

白央篤司/著

光文社新書

 価格: 800円+税

2018年11月発売
自炊力

文/印南敦史
作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』などがある。新刊は『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)。

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