
ドラッグストアで陳列されていて、よく目にする漢方薬。
「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。
今回のテーマは、「苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)」です。
あんしん漢方(オンラインAI漢方)所属のヨガインストラクター、高橋かなこさんに教えてもらいました。
苓甘姜味辛夏仁湯はどんな方におすすめ?

漢方薬が目指すのは苦痛を和らげるための対症療法ではなく、根本的な解決です。
体質の改善に働きかけることのできる漢方薬は、「同じ症状を繰り返したくない」という思いに応えてくれます。
苓甘姜味辛夏仁湯は具体的にどんな不調に効果が期待できるのでしょうか?
気管支炎にお悩みの方
苓甘姜味辛夏仁湯は、気道の炎症を抑えて痰を除去し、咳を鎮める働きがあるといわれています。
そのため、気管支炎や気管支喘息にお悩みの方におすすめの漢方薬です。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)と同じような作用を示しますが、麻黄(まおう)が含まれていないため、胃腸が弱い方、高齢者、麻黄を避けたほうがいい方(高血圧や不整脈のある方)などに向いている漢方薬です。
そのため、小青竜湯の「裏の薬」ともいわれています。
胃腸が弱い冷え性の方で、風邪を引いた後に痰が絡む、長引く咳が治らない方に処方することもあります。(※1)
花粉症・アレルギー性鼻炎の方
むくみや動悸、息切れに用いることもあります。
乾姜(かんきょう)や細辛(さいしん)といった生薬は、余分な水分を体外に排出してくれる役割が期待できます。
また、精神的な興奮を抑える茯苓(ぶくりょう)や甘草(かんぞう)により、動悸や息切れにも働きかけてくれる漢方薬です。(※1)
苓甘姜味辛夏仁湯と併せて行いたいストレッチ

気管支炎や花粉症などへのセルフケアとして、ストレッチを行うのもおすすめです。
意外に感じる方もいるかもしれませんが、ストレッチには、呼吸機能を向上させたり血行を促進させたりする効果が期待できます。
とくに、胸郭(胸の周りの筋肉)を中心にほぐすことで、呼吸が楽になりやすいですよ。
また、腹式呼吸を行いながらゆっくり大きく体を動かすことで、自律神経が整いやすいのでストレスの解消にも効果的です。
腹式呼吸は、吸った息でおなかを膨らませ、吐く息でおなかをへこませます。
これにより、副交感神経を優位に働かせて体をリラックスモードに切り替えやすくなります。
胸郭のストレッチ


(1)背筋を伸ばして床、もしくはイスに座る。
(2)両手を胸の前で軽く組んで、息を吐きながら前に押し出す。大きなボールを抱えるようなイメージで背中を丸める。目線はおへそに向ける。
(3)息を吸いながら、両手を胸に引き寄せて(1)の姿勢に戻る。
(4)両手を背中の後ろで組む。
(5)息を吐きながら肩甲骨同士を寄せ合って胸を張る。腰を反らすのではなく、胸をななめ上に向けるイメージ。
(6)息を吸いながら(1)の姿勢に戻る。
(7)(2)〜(6)を数回繰り返す。
呼吸と体の動きを合わせるのがポイントです。立ったままでもできるので、仕事や家事の合間などで気軽にできますよ。
苓甘姜味辛夏仁湯に副作用はある? 安心して服用するには

漢方薬は自然由来の生薬からできているので、一般的には西洋薬より副作用が少ないといわれています。
しかし、場合によっては下記のような副作用があらわれる可能性があります。
・尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる
・体がだるくて手足に力が入らない、手足がひきつる、手足がしびれる(※1)
上記のような症状がみられる場合は、すみやかに服用を中断して医療機関を受診してください。
このような副作用が生じないようにするためにも、ご自身の体に合った漢方薬を選ぶことが重要です。
しかし、初めて漢方薬を購入する場合は、何を選べばいいのか悩みますよね。
そんなときは、スマホで気軽に専門家に相談できる「あんしん漢方」のようなオンラインサービスを利用してみるのもおすすめです。
漢方のプロが体質に合った漢方薬を見極めて、お手頃価格で自宅に郵送してくれます。
呼吸器の不調には苓甘姜味辛夏仁湯

つらい咳や痰のからみ、鼻水などの症状は少しでも抑えたいですよね。
そんなときは、漢方薬の力に頼るのもひとつの手段です。
漢方薬は医療機関でも処方されることがあり、薬の観点から効果も認められています。
なお、初めて服用する場合は、専門の医師や薬剤師に相談してください。
また、症状が重い場合や体に何か違和感を感じた際は、すみやかに医療機関を受診しましょう。
【参考サイト】
(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ苓甘姜味辛夏仁湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=9168
<この記事の監修者>

高橋かなこ
2021年よりRYT200(全米ヨガアライアンス認定)修了インストラクターとしてオンラインを中心に幅広い年齢層へのヨガレッスンを担当。企業での事務経験から、デスクワークで疲れた部位や崩れた姿勢のためのレッスン組み立てを得意とする。
自身のダイエット成功経験から、美しい体を作るためには食の大切さや思考も大切だと痛感。同じように悩む人に向けて精力的にメディアでの情報発信を行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。

碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0248&utm_source=sarai&utm_medium=referral&utm_campaign=250329
イラスト:にゃたり
