30~40代前半のプレ更年期や、40半ば~50代の更年期の女性は「なんとなくの不調」「ちょっとした違和感」を抱くことが多くなります。なかでも多くの方が困っている悩みはリンパの痛みの症状です。
実は、その不調には漢方薬が役立つことをご存知でしたか?
私の悩みにも漢方薬が役立つのか知りたい! 根本解消する方法が知りたい!
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。

今回は「リンパの痛みや腫れ」の原因や対処法について、あんしん漢方の薬剤師で、漢方薬製剤の開発研究に携わる碇純子さんに教えてもらいました。

首や腕の周りのリンパのあたりがピリピリ………。これって何の症状?

幸子さん 47歳からご質問をいただきました。

「最近、首や腕周りのリンパのあたりに違和感があります。ピリピリとした痛みを感じるんです。

夫に相談するとそっけなく『風邪の初期症状じゃないの?』と答えが。そういえば、風邪気味になると途端にリンパが腫れるような気がします。

ほかにはとくに心当たりがなく、ピリピリとした症状を感じるので不安が募っています。この不調、いったい何なんでしょうか? 病院を受診する目安があれば教えてください」

ご質問ありがとうございます。リンパの症状は痛みや腫れを伴う場合が多く、つらいですよね。また、ご指摘の通り、リンパの痛みや腫れと風邪は深い関係があります。

きちんと適切な治療やセルフケアを行えば、リンパの痛みや腫れの症状の緩和をめざせます。まずは、リンパの痛みや腫れの原因をしっかり把握して対処しましょう。

更年期に風邪をひきやすくなる理由

リンパが腫れる大抵の原因は、「リンパ節炎」です。リンパ節は、首や脇の下など、リンパ管の途中にある器官で、そこに風邪などのウイルスや細菌が入り込んで感染すると、リンパ節炎が起こります。

更年期世代は風邪をひきやすく、リンパ節炎になりやすいといわれます。では、なぜ風邪をひきやすいのか、解説していきます。

1.ホルモンバランスの乱れ

女性が更年期を迎えると、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が急激に低下します。このエストロゲンは、自律神経のコントロールをはじめ、様々な役割を持っています。

ホルモンバランスが乱れると、免疫力が低下し、ウイルスや細菌への抵抗力が弱体化。また、加齢そのものも免疫力が下がる原因です。その結果、風邪をひきやすくなったり、なかなか治らなくなったりします。

2.体温の低下

体温の低下は、ウイルスや細菌への抵抗力と密接な関係があります。

免疫力は体温が上がると活性化します。たとえば、体温が1度上昇すると、免疫力は最大5~6倍も増加(※1)。また、病原菌と戦う白血球のはたらきを活性化させたり、病原菌の増殖を抑制したりする効果があります(※2)。

体温が十分に上がらないと、本来の免疫機能が発揮できず、病原菌に対して抵抗力が低い状態になってしまいます。

リンパ節が激しく痛んだり、症状がずっと続くようであれば、ほかの病気の可能性もあるので、なるべく早いうちに一般内科や耳鼻咽喉科を受診してください。

自宅でできるセルフケア

ここからは、自宅で行える簡単なセルフケアを3つご紹介します。

1.筋トレ

適度な運動習慣のある女性は、比較的更年期症状が軽くなる場合があります。更年期世代にはウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動もおすすめですが、ストレッチやウエイトトレーニングも加えてみましょう。

ウエイトトレーニングに適した、スクワットについてご紹介します。

(1) 脚を肩と同じくらいに広げる。
(2) 背筋をピンと伸ばし、両腕を前に伸ばす。
(3) お尻を軽く後ろに引き、そのままゆっくり腰をおろす。
(4) 床と太ももが平行になるところまでおろす。
(5) ゆっくりと元の体勢に戻す。
(6) (1)~(5)を10~15回行う。

上記を1セットとして、可能なら1日3セットほど行います。無理のない範囲で行いましょう。ひざや腰が悪い方、不安がある方は控えてください。

2.旬の食べ物を摂る

冬が旬の食べ物は体を温めてくれる食材が多いため、食事を楽しみながらも体調に気を遣うことができます。

おすすめの冬野菜をご紹介します。

・ニンジン
胃腸を整えるほか、血行を促進するビタミンEが豊富に含まれます。

・カブ
消化を助け、体に潤いを与えます。ビタミンC、カリウムが豊富に含まれます。

・ショウガ
ショウガオールという辛味成分に血行を促進する作用があり、体を芯から温めてくれます。

3.漢方薬を飲む

リンパがピリピリする症状や、更年期の風邪をひきやすい状態には、漢方薬を試すのもおすすめです。

漢方薬は自然にある植物や鉱物などの「生薬」を組み合わせて作られているため、 一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。

また漢方薬が目指すのは苦痛を和らげるための対症療法ではなく、根本的な解決です。体質の改善に働きかけることのできる漢方薬は、「同じ症状を繰り返したくない」という思いに応えてくれます。

「バランスの取れた食事や運動などを毎日続けるのは苦手」という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。

<リンパの炎症や風邪をひきやすい状態におすすめの漢方薬>

葛根湯(かっこんとう):首から上の余分な熱を発散させます。風邪の初期症状への効果が期待できます。

小柴胡湯(しょうさいことう):炎症を抑える生薬が含まれ、胃腸機能を整えます。こじらせた風邪におすすめです。

ただし、漢方薬を選ぶ際にはご自身の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起こることがあります。

購入時には、できる限り漢方に精通した医師や薬剤師等にご相談ください。

「お手頃価格で不調を改善したい」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめ。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。

AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、漢方のプロが体質に合った漢方を見極めてくれます。お手頃価格で自宅まで郵送してくれるため、手軽で便利です。

●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0226&utm_source=sarai&utm_medium=referral&utm_campaign=241022

体調を崩さないよう、免疫機能を高めましょう

リンパのピリピリとした痛みの多くは、リンパ節炎が原因です。リンパ節炎は風邪のウイルス、細菌が感染して起こることが多いので、日常生活から気を配り、免疫機能を高めていきましょう。

さて、次回は「のぼせたような症状をなんとかしたい……『女神散(にょしんさん)』」です。ぜひご覧ください!

【参考】
(※1)公立学校共済組合「免疫力アップには体温アップが効果的!」 https://www.kouritu.or.jp/tokyo/content/files/about/kanko/kagayaki567/567_p06_07.pdf

(※2)やさしいLPS「発熱は免疫が働いている証拠?発熱のメカニズムやメリットを解説!」 https://www.macrophi.co.jp/special/2063/

この記事の監修者

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師
/ 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0226&utm_source=sarai&utm_medium=referral&utm_campaign=241022

イラスト:にゃたり

 

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