文/鈴木拓也

実は腸の健康に欠かせない「運動」

健康ブームに乗って、数年前から知られるようになった「腸活」。腸内環境を好ましい状態にする方法を指すが、何もこれは食事やサプリに限らない。

実はもう一つ、腸の健康に欠かせないのは「運動」だという。

愛媛大学医学部附属病院の抗加齢・予防医療センター長などを務める伊賀瀬道也教授は、著書『腸活は運動で決まる 国立大学教授が教える 長生き1分ゆるジャンプ』(冬樹舎)の冒頭で、次のように説く。

せっかく食べ物に気をつけていても、運動が足りなければ血流が悪くなって腸は動かず、腸活は不十分。
血流が悪くなると、腸のまわりの血管に栄養や酸素を運ぶ血液が十分送りこまれないため、腸の動きが悪くなります。

こうして、便秘といった不調が生じ、いくら食事に配慮しても効果は薄くなってしまうという。

まずは「基本のゆるジャンプ」から

運動と言ってもいろいろあるが、伊賀瀬教授が本書ですすめるのは「ゆるジャンプ」。足が浮くくらいの軽いジャンプを繰り返すだけで、いいそうだ。例えるなら、縄を使わずに行う軽い縄跳びのようなもの。これを行うだけで全身の血流が良くなり、腸に血液が送られ、腸の働きが良くなる、善玉菌が活性化するなど、さまざまな効果があるという。

本書には、バリエーションを含めていくつかの「ゆるジャンプ」があるが、ここでは一番簡単な「基本のゆるジャンプ」を紹介しよう。

1. 両手足の力を抜いて、背すじをまっすぐに伸ばして立つ
手は、体の側面に自然に下ろす。目線はまっすぐ、正面を向く。

2. かかとが床から少し離れる程度に跳ぶ
かかとを床から離すように跳ぶ。床から浮くだけでも十分で、高く跳ぶ必要はない。ジャンプを1、2、3……と数えながら小刻みに行う。呼吸は自然にし、止めないように。腕の力は抜き、肩甲骨を自然に上下させる。

かかとが床から少し離れるくらいに跳ぶ(本書37pより)

3. ひざを軽く曲げて着地する
ジャンプの回数は問わない。伊賀瀬教授自身は、毎日1分、100回ジャンプしているというが、最初のうちは数回でもかまわないそうだ。少し慣れてきたら、朝食前に10~20回ほどジャンプすることがすすめられている。もしも、足首やひざなどに痛みが出たらジャンプは控え、医療機関で診てもらおう。

ウォーキングなどの有酸素運動も

本当に誰でもできる「基本のゆるジャンプ」だが、ジャンプ系とは別に推奨されている運動が「ウォーキング」だ。

頻度は1日に1回でよく、目安として4000歩は歩く。できれば、5000歩は歩きたいが、これは「認知症や心臓病、脳卒中を予防するため」。伊賀瀬教授は、次の説明を加える。

人は、動かない生活を続けていると思考が下向きになってしまい、心身に不調をきたします。日に1回は歩く習慣を付けたいものです。
また、私が行った研究では、1日の歩数が約1500歩増えることで内臓脂肪が減少したほか、肥満が改善しています。また、骨や筋肉の年齢、血管年齢が若返るという結果が得られています。(本書70pより)

伊賀瀬教授によれば、ウォーキングを効果的に行うにはコツがあって、1つは「息がはずむけれど会話ができる程度」の強度で歩くこと。もう1つは、「息を吐く時間を長めにする」ことだ。これによって、余分な内臓脂肪を減らし、心拍数が上がりにくくなるというメリットがある。

ウォーキングに限らず、ジョギングやスイミングといった軽めの有酸素運動もよく、同様の効果が得られるが、大事なのは「短時間でも毎日の継続」。月に1度まとまった時間をとってやるより、ずっといいそうだ。また、運動の時間帯は、起床後の食前がすすめられるものの、これはある程度若い健常者向き。シニアであれば、起床間もない運動は、血栓ができやすくて逆に危険。食後、「1時間経ってから」がベストなので注意しよう。

伊賀瀬教授は、「ゆるジャンプ」を含めた生活習慣によって1年で体重が10kg減り、多くの人も効果を体感している。始めるハードルは低くて続けやすいので、本書を見て取り組んでみてはいかがだろうか。

本書内イラスト:斉藤ヨーコ

【今日の健康に良い1冊】
『腸活は運動で決まる 国立大学教授が教える 長生き1分ゆるジャンプ』

伊賀瀬道也著
冬樹舎

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文/鈴木拓也 老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った映像をYouTubeに掲載している。

 

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