皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの?」と思っている人も多いのではないでしょうか。

そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第73回のテーマは、「『陰虚』(いんきょ)に効く漢方薬」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、碇純子さんに教えてもらいました。

陰虚(いんきょ)とは

「水分を摂っているのにのどが渇く」「からぜきがよく出る」「便や尿が出にくい」という悩みを抱えている人は、もしかすると陰虚体質かもしれません。

陰虚とは、体の「水(すい)」が不足している状態です。漢方における水とは、単に水分のことを指すわけではありません。水は体の分泌液や排泄液の総称で、血液以外の水分のことをあらわしています。「津液(しんえき)」とも称されます。

陰虚の原因は生活習慣の乱れや過労、ストレスです。水は夜に作られるため、夜型生活で休息がとれていないとうまく生成できません。中医学(中国伝統医学)では、夜ふかしが多い生活だと「陰(いん)」が消耗され、陰虚状態に傾いてしまうと考えられています。

また、陰虚の原因のひとつとして加齢も挙げられます。とくに、更年期を迎える50代くらいの女性に目立つ体質です。

陰虚の人にあらわれやすい症状

続いては、陰虚の人にあらわれやすい症状の特徴を挙げていきます。

1.せき・のどの違和感

せき・のどの違和感は陰虚の代表的な症状のひとつです。陰虚になるとのどや気管支の粘膜が十分に潤わず、乾燥してしまいます。

からぜきが多くなる、のどがイガイガする、のどがかゆくなる、呼吸をしにくく感じるといった場合があります。

2.便や尿が出にくくなる

陰虚の人は大腸の粘膜が乾燥し、便が硬く、尿が出にくくなります。

まるでウサギのフンのようなコロコロとした便が出たり、便秘になったりと、陰虚体質は排泄に関連する不調の原因になります。また、体全体の水が失われるため排尿自体の量も少なくなります。

3.皮膚の乾燥

陰虚体質の場合、体から潤いが失われるので、皮膚がカラカラと乾燥し、かゆみが出ることがあります。キメが荒く、粉を吹き、皮膚の防御機能が低下するなど、肌トラブルの原因になるのです。

4.のどが渇く

陰虚体質の人は水分が不足するので、のどが渇きやすくなります。

水分を補給したところで陰虚体質の根本的な改善にはならないので、常にのどが渇いてしまう状態です。常にのどが渇いているので、水分を摂りすぎてしまう場合もあります。

陰虚体質の人におすすめの漢方

ここからは、陰虚体質の人に適した漢方薬を具体的に挙げ、それぞれの効能や、どんな人や症状におすすめかを解説します。

1.知柏地黄丸(ちばくじおうがん)

陰虚体質に適していて、「腎(じん)」の機能を高め、体に必要のない熱を鎮めるはたらきがあります。

のぼせやほてりを抑える漢方薬で、更年期のホットフラッシュなどによるほてりの症状にも対応できます。口の渇きや乾燥、排尿困難な人にも用いられることがあります。

2.麦門冬湯(ばくもんどうとう)

胃の陰液を補うはたらきがあり、のどや気管に潤いをもたらす作用があります。

のどの乾燥からくる症状を改善する漢方薬です。咽頭に乾燥を感じる人や、からぜきや気管支炎に用いられます。

漢方は体質との相性で正しく選ぼう

漢方には、「気・血・水(き・けつ・すい)」という体を構成する要素、「肝・心・脾・肺・腎(かん・しん・ひ・はい・じん)」という体を支える柱、「陰・陽(いん・よう)」という裏表の関係性など、体の状態を測る様々なものさしが存在します。

そして、漢方でもっとも重要視されるのは人それぞれの体質です。同じ「せきやのどの違和感」という悩みでも、体質によっては処方される漢方薬が異なる場合もあります。

体質に合わない漢方薬を飲み続けても、よくならないどころか、思わぬ副作用が出ることがあります。体質を正しく診断し、適切な処方を行うには、基礎から漢方医学をきちんと学んだ医師や薬剤師の協力が必要不可欠です。

最近では、「あんしん漢方」というオンライン完結の漢方薬サービスが注目されています。「医師が健康を作る『メディヘルス』」を掲げており、漢方のプロと最新のAIを駆使したマッチング技術も話題です。

家から出なくてもスマホ一台で体質診断、漢方薬の処方、購入まで行えるので、通院する手間が省けます。定期的な診察で経過をチェックできるので、普通の病院に通う感覚で利用できます。

お得な初回お試しコースもあるので、気軽に始めやすい点も評価を集めています。

●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0148

日々の過ごし方を見直し、陰虚になりにくい生活を送ろう

陰虚は水が足りず、体の潤いが不足している体質を指します。潤いがなければ熱を冷ますことができず、のどの違和感や排尿困難など、様々な不調の原因になります。

夜ふかしせずに早寝早起きを心がける、刺激物や脂っこいものを避ける、汗のかきすぎに注意するなど、普段の生活を見直すことでも陰虚体質はある程度改善できます。ご自身の体質を意識して、体に優しい生活を送りましょう。

さて、次回は「食欲低下で元気が出ない『脾虚(ひきょ)』におすすめの漢方」です。ぜひご覧ください!

<この記事を書いた人>

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師
/修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0148

●Medical Health CH:https://www.youtube.com/channel/UC7XLi90xVGs_NnKhowC0G2w

 

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