皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第60回のテーマは、「加齢臭が気になり始めたら試したい漢方」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、竹田由子さんに教えてもらいました。
加齢臭のメカニズム
加齢臭の主な発生原因は、皮脂成分が酸化されることです。加齢臭は、胸や首の後ろ、背中などを中心に独特の脂臭さや青臭さを放つのが特徴で、40~50代以降から目立ってきます。
中高年の加齢臭は、若い人の汗のニオイとは発生原因が異なります。加齢によって増加するパルミトレイン酸という脂肪酸が空気中の酵素に触れることで酸化し、ノネナールというニオイのもとの成分に変化するのが加齢臭の正体です。
また、加齢臭は男性だけでなく、女性にもあります。女性は40代以降に女性ホルモン量が減少し、皮脂量が増加するため、加齢臭も発生しやすくなります。
東洋医学では体臭を体の不調により生じるものと考えていて、漢方の診断方法のひとつである「聞診(ぶんしん)」では、体臭を嗅ぐことで体の変化を調べます。
また、体臭には疾病の原因のひとつ「熱邪(ねつじゃ)」が関与していて、状態によって五臓のうちの「肝(かん)」「心(しん)」「肺(はい)」の機能低下が影響を及ぼしています。
加齢臭を抑える2つの生活習慣
ここからは、加齢臭を抑える生活習慣を紹介します。すぐに試せる2つの方法を見ていきましょう。
1.抗酸化作用のある食品を食べる
加齢臭は皮脂の酸化が原因なので、抗酸化作用があるものを摂取することで酸化しにくい体を作り、ニオイの原因となるノネナールの生成を抑えることができます。具体的には、以下のようなビタミンC、ビタミンE、βカロテン、カテキン、ポリフェノールが多く含まれる食品です。
●ゴマ
●大豆
●ショウガ
●トマト
●緑茶
●赤ワイン
食卓にうまく抗酸化食品をとり入れ、毎日摂取するのがポイントです。食物繊維なども同時に摂り、腸内環境を整えましょう。
2.ストレスや疲労をためない
過剰なストレスや疲労は活性酵素を発生させる原因になり、皮脂の酸化にもつながるので、加齢臭のもととなります。体臭を気にしすぎることもストレスのひとつになるので、さらにニオイが増し、悪循環に陥ってしまいます。
ストレスの原因がハッキリしているならなるべく遠ざかり、それが現実的に難しい場合は嫌なことばかりを考えずに、自分の時間を作り、休むことが大事です。毎朝日光を浴びる、好きな音楽を聴くなど、心が安らぐ時間を意識的に作ってみましょう。
加齢臭を根本から改善する漢方
加齢に伴う体臭の改善には、漢方薬の活用も選択肢のひとつです。体臭対策には、「ホルモンバランスを整える」「自律神経を整えてストレスを軽減する」「水分バランスの乱れを整えて過剰な汗を抑える」「ニオイの原因となる老廃物を排出する」といった漢方薬を選び、加齢臭の根本改善を目指します。
それでは、それぞれの体質や悩みに適したおすすめの漢方薬を紹介します。
1.知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
腎の働きを改善し、手足の火照りや、更年期のホットフラッシュに用いられる代表的な漢方薬です。水分代謝を改善し、体にたまった余計な熱を冷ます働きがあります。
2.桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
精神症状に関わる「心(しん)」にたまった熱を冷ますことで神経症を和らげる漢方薬です。ストレスを感じ疲労がたまっている方の神経の高ぶりを抑え、不安をとり除くことで自律神経を整えます。
漢方は体質との相性で正しく選ぼう
今回紹介したような加齢臭の悩みも、漢方では体の不調のサインと考えます。汗や体臭は、原因によって生じる場所やニオイの種類が異なりますが、体に変化が起き、バランスが崩れている証拠です。
漢方では、様々な観点から治療基準となる「証(しょう)」を決定し、バランスを整えていきます。患部だけではなく体全体の調子を整えるため、原因が不明な場合の不調にも有効です。
しかし、「漢方に興味はあるけど、近くに病院がない」「通院する手間が面倒」という場合も多いですよね。そういった人におすすめなのが、ネットで診断から処方・漢方薬の購入まで完結できるあんしん漢方です。
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加齢臭を抑えるには、ストレスのない生活を送ることも大事
40代以降に目立ってくる加齢臭。男性だけでなく女性にも共通する問題で、加齢とともに増える脂肪酸が分解され、ニオイの原因成分を作ってしまいます。
日々の生活習慣を見直し、ストレスケアをすることでも加齢臭は軽減できるので、あまり悩みすぎずにおおらかな気分で毎日を過ごすことも大事です。
さて、次回は「花粉症の予防と治療に漢方を始めよう」です。ぜひご覧ください!
<この記事を書いた人>
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