皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。

そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第57回のテーマは、「倦怠感を和らげる漢方薬」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、竹田由子さんに教えてもらいました。

倦怠感が生じるのはなぜ?

倦怠感といえば、体がだるい、少し動いただけで息切れがする、物忘れをしやすくなってしまう、など様々な症状があります。

これらは、中医学でいうと虚労(きょろう)というカテゴリーに分類されます。大きく原因を考えると、長期間の不摂生など内側から体のバランスが崩れてしまっている場合と、風邪などの外からきた病気が長引いて倦怠感が出てくる場合の2種類があります。

まずは、倦怠感の症状別に、考えられる原因をみていきましょう。

1.体のだるさ

体のだるさには、五臓のなかで、脾という部分が関わっているといわれています。脾は、消化・吸収・全身への輸送を行っている部分です。

脾のなかの「気」が少なくなってしまう状態を脾気虚(ひききょ)といい、正常に体全体へ栄養が行き渡らなくなり、体のだるさが出てきてしまうことがあります。

2.息切れ

息切れとは、呼吸するときに不快感があったり、呼吸しているのに苦しいという症状のことです。

息切れが続いたり、普段風邪を引きやすかったりする場合は、肺の「気」が不足していることが考えられます。

五臓でいう肺は、呼吸によって大気中のきれいな「気」を吸い込み、体内を回って汚れた「気」を外に出す働き、体の「気」を上げたり下げたりする働き、体の表面を外から保護する働きがあります。

肺の働きが低下すると、息が切れたり呼吸が浅くなったりするといった症状が出ます。

3.物忘れ(健忘)

倦怠感が強いと、物忘れをしやすかったり、夜眠れなかったり、睡眠中に夢を見ることが多いといった症状が起きることもあります。これは、五臓でいう心の「血」が不足している、心血虚(しんけっきょ)であると考えられます。

五臓の心には、物事を考えたり、血を循環させたりする働きがあります。心が正常に働いていない場合、落ち着かない、物忘れが増えるなどの症状が起きると考えられます。

倦怠感を和らげる漢方

ここからは倦怠感と、倦怠感に関連した症状に効果的な漢方薬をご紹介します。漢方薬のなかには「倦怠感」に効果が認められているものもあります。

漢方薬では倦怠感に対して、足りない栄養を補うだけでなく、消化・吸収の機能を改善し、必要なところに栄養を届ける手助けをしていくので、根本から疲れやだるさの改善を目指すことができます。

また、精神的なストレスからの生じる疲れには、「ストレスで乱れた自律神経を整える」「睡眠の質を上げてストレスを改善する」などの作用のある漢方薬を選びます。

漢方薬は、倦怠感自体だけではなく、倦怠感によって生じる物忘れや息切れ、不眠などにもアプローチすることができるでしょう。

また、自然由来の治療薬である漢方薬は、一般的に副作用が少ないとされています。さらに、ひとつの症状に強い効果を発揮する西洋薬とは違い、体質の根本的な改善を行うことを目的としています。

1.体のだるさには補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

補中益気湯は、胃腸の調子を整えて倦怠感を改善し、自律神経を整える漢方薬です。胃腸の働きが弱って、体のだるさや食欲低下などの症状が出てくると免疫力も低下しやすくなります。そのため、免疫力向上にも用いられています。

2.息切れには炙甘草湯(しゃかんぞうとう)

炙甘草湯は「気」と「血」両方の不足に使用されます。顔色が悪くて疲れやすい様子や皮膚の乾燥、口の渇き、便秘がある方の動悸や息切れ症状に用いられます。

3.物忘れ(健忘)には遠志(おんじ)を含む帰脾湯(きひとう)を応用

帰脾湯は疲れすぎて眠れないだけでなく、遠志を含むため物忘れにも応用される漢方薬です。口の渇き、血色不良、疲労倦怠感に対しても用いられます。また、同じく遠志を含む漢方薬で、疲労倦怠感に用いる人参養栄湯(にんじんようえいとう)も応用されます。

漢方は体質との相性で正しく選ぼう

漢方は、そのときの細かい症状や全体の様子で一人ひとり使用するものが異なるオーダーメイドとなっています。

西洋医学は数値で判断をすることが多くありますが、漢方医学では人を見て、聞いて、判断するという部分が異なります。

もちろん、西洋医学では診断を行うことが強みです。しかし、西洋医学で「原因がわからない」「様子を見ましょう」と言われた不調にも対処できるのが漢方医学の強みだと考えられます。

漢方薬は市販品を購入することもできますが、ご自身で体質を判断して、今の症状に合っている漢方薬を選ぶというのは難易度が高いでしょう。

漢方を基礎から学んだプロの診断、処方を受け、一人ひとりに合った漢方薬を選んでもらった方が効果的です。

最近は、実際に漢方薬局や漢方内科へ行かなくてもオンラインで診断、処方、購入できるあんしん漢方というサービスがあり、注目を集めています。

必要に応じて、漢方医師に相談を行うこともでき、専門のアドバイザーが一人ひとりの体質と症状を見極め、オーダーメイドのように漢方を提供してくれるサービスです。

●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0132

少しでも倦怠感を感じたら

一日中、体にだるさを感じる、最近だるいと思っていたら物忘れも多くなった、倦怠感が強くて息切れを起こしてしまうなど、倦怠感は日常生活を送るうえでも支障が出てきてしまう悩みです。

だるいだけだから、と決して軽視せず、ご自身の体調と向き合い、改善していきましょう。

さて、次回は「気圧頭痛を和らげる漢方薬」です。ぜひご覧ください。

<この記事を書いた人>


あんしん漢方薬剤師
竹田由子(たけだゆうこ)
臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に従事し、医薬品に関する情報に精通。元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。
漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性に対し情報発信している。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0132

 

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