皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの? 」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第26回のテーマは、「体質傾向別(6)陰虚って? 」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、竹田由子さんに教えてもらいました。
陰虚とは?
漢方医学では、体は「気・血・水」という3つの要素で構成されていると考えています。このうちのどれが崩れてもバランスが悪くなり、それが不調の原因になります。気血水のバランスを調整することで不調を改善するのが漢方の基本的な考え方です。
「陰虚」とは、体の「水」が不足している状態を指します。この水とは、「津液(しんえき)」とも呼ばれ、体の血(けつ)以外のすべての水分を指します。汗や唾液、胃液から尿に至るまで、様々な水分を指し、水というのです。
水は体を潤し、たとえば関節をスムーズに動かしたり、老廃物を排泄するために使われたりと、体の機能のあらゆる部分に関わっています。陰虚の状態になると水が不足し、トラブルが起きやすくなるのです。
陰虚に見られる症状
陰虚では、口の粘膜が乾燥してのどの渇きを強く感じます。水を摂取しても再びすぐ渇きを感じるという悪循環が起きるのです。また、ドライマウスという口内の乾燥状態になり、口臭が強くなる場合もあります。
また、皮膚が乾燥しカサカサになったり、粉が吹いたりかゆみが出る場合もあります。さらに、体の内部も乾燥するので、大腸の粘膜も潤いが失われ、便が固くなり、便秘や排便痛が生まれます。
のぼせやほてりなども起き、女性の場合は月経期間の短縮や遅れのほか、経血やおりものが少なくなります。基礎体温が高めになり、貧血や不眠、さらには女性特有の不調の原因になる場合もあります。
陰虚になってしまうのはどうして?
生活習慣が乱れていて、夜型生活の人が陰虚体質になりやすいといわれています。水(津液)は、夜に作られます。十分な睡眠をとらないと、水が不足し、巡りも悪くなるのです。
また、疲れやストレスがたまることで、気の流れも悪くなり、余計に熱がこもりやすい体質になります。熱は陰虚体質をさらに悪化させる原因になるのです。
そして、塩分の摂取量が多かったり、過労やストレスを多く抱え込んでいる場合も陰虚の原因になります。これら一つひとつの原因をとり除くことが陰虚改善への近道です。
まずは乱れた生活習慣を改善して、十分な睡眠をとり、早寝早起きの健康的な生活ペースを保つことが大事です。体の潤いが減っている状態とはいえ、ただやみくもに水を大量に飲むことはかえって逆効果です。水の飲みすぎには注意しましょう。
日常的にとり入れたい食事としては、白色の食材です。漢方では粘膜や皮膚の働きを助けるといわれており、山芋やレンコン、梨を意識的に摂取すると水分補給にもつながり体の潤いを保てます。
陰虚の改善におすすめの漢方薬
陰虚は体内の水が欠乏し、水分の循環が悪くなることで体に不調があらわれる状態です。漢方では、そんな水分の循環を良くすることで、陰虚体質を改善することができます。
また、体の水分の巡りが良くなると、老廃物や毒素も排出できるので、冷えや自律神経も整い、こころと体全体が改善されます。
陰虚対策に適した漢方薬を3つご紹介しましょう。
陰虚に悩む方におすすめの漢方薬
知柏地黄丸(ちばくじおうがん):陰虚に用いられる「六味丸(ろくみがん)」をベースに、潤す知母(ちも)や清熱の黄柏(おうばく)を加えたものです。体を潤す作用と、内部の熱を鎮める作用があります。口の乾きや疲れ、むくみを改善します。弱った腎の働きを改善し、陰虚体質にも用いられる漢方薬です。
麦門冬湯(ばくもんどうとう):比較的体力がない方向けの漢方薬で、粘膜や気道を潤す働きがあります。口や喉が乾燥しイガイガする場合や、せきや気管支炎の症状にも用いられます。
麻子仁丸(ましにんがん):水の巡りが悪く胃腸が不調な場合に適しています。便が硬く、便秘を伴う場合にも用いられます。また、便秘による皮膚炎、湿疹、吹き出物などにも用いられます。
漢方薬は、症状や体質を正確に判断することが大事です。体質に合っていない漢方薬だと、効き目が出ず、副作用のリスクもあります。医師や薬剤師など、漢方のプロである専門家であれば、正しい診断と処方を行えます。
最近は、『あんしん漢方』というオンラインの漢方サービスが注目を集めています。スマホでもパソコンでも利用でき、体調診断から処方、漢方薬購入まですべてがネットで完結できるので、家にいながら高品質な漢方サービスを受けられます。
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陰虚は体の水の不足が原因! 日々の生活から改善しよう
陰虚は、体の水の巡りの不調によって起きるトラブルです。口内や皮膚の乾燥、便秘やほてりなど様々な症状の原因になります。
乱れた生活習慣や、塩分の摂りすぎ、ストレスなど要因が複数あるので、一つひとつ改善しながら陰虚体質を克服していきましょう。
また、漢方薬も体質改善に役立ちます。漢方薬は自分の体質やタイプに合ったものを選ぶことにより効果が発揮されるので、まずは専門家に相談するとよいでしょう。
無理なく少しずつ体質を整え、日々を健やかに過ごしましょう。
さて、次回は「体質傾向別(7)脾虚って? 」です。ぜひご覧ください!
<この記事を書いた人>
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