お子さんの安静時に口が開いている状態を指す「お口ぽかん」をご存知でしょうか。長引くマスク生活から、親が子供の「お口ぽかん」に気づきにくく、またはマスク内で息がしづらいことから「お口ぽかん」になりやすい、といった問題が浮上しています。

株式会社ロッテ(https://www.lotte.co.jp)が、3〜12歳の子供を持つ親215名を対象に意識調査を実施しましたので、ご紹介します。また、息育(そくいく)、「オーラルフレイル問題(口腔機能の低下)」への対策について、専門家の意見もご紹介します。

お口ぽかんは病気の可能性?

日常的に口がぽかんと開きっぱなしになってしまう状態を「口唇閉鎖不全症」といいます。これは、口呼吸になってしまうため、むし歯や歯周病の原因、歯並びの悪化、鼻の調子が悪くなるなど、様々な不調につながります。

お口ぽかんについて、どのくらい知られているかを、調べた結果がこちらです。

日常的に口がぽかんと開きっぱなしになってしまうことは「口唇閉鎖不全症」という病気の可能性があることを知っていますか。

70%以上が「知らなかった」「聞いたことはあるが、病気の可能性があることは知らなかった」と回答しています。

年代別に見ると、20代の56.1%が「知らなかった」「聞いたことはあるが、病気の可能性があることは知らなかった」と回答しています。30代では67.8%、40代では83.8%と年代が上がるにつれてその傾向が顕著になることが判明しました。

お口ぽかんによるリスクで最も関心が高いのは

「自身の子供のお口ぽかんの予防・対策に取り組みたいと思いますか」と尋ねたところ、67.9%の方が「取り組みたい」と思っていることがわかりました。しかし、「口唇閉鎖不全症」に対しての予防・改善方法について「知らない」と回答したのは45.8%に上ります。対策について周知されていないのが現状です。

また、お口ぽかんに伴う全身のリスクには、様々なものがありますが、特に関心が高かったのは次の2つです。
・「口呼吸となることから、口腔内が乾燥することにより、むし歯や歯周病、口臭などの原因となる」(69.3%)
・「成長期の子供のお口ぽかんは、授業中の集中力や学習能力の低下につながる」(67.9%)

お口ぽかんに伴う全身のリスクについて、それぞれどの程度関心がありますか。

身体的な子供の発育に対するリスクのみならず、学習面におけるリスクを危惧する声も浮き彫りになりました。 

子供には、口遊びの中で舌を鍛えることが重要

「口唇閉鎖不全症」についての予防・改善方法について、専門家である今井一彰院長に対策を伺いました。

最近の新潟大学らの研究で、約3割の子供がお口ぽかんになっているという研究結果があります。また、現場の感覚では、長引くマスク生活によって、マスク内で口呼吸になりやすい、保護者がチェックしづらいなどの理由から、さらに増加しているように感じています。

口周りの筋肉は、普段何気なく行っている口の運動によって鍛えられています。口周りの筋肉が未発達な赤ちゃんの時は、哺乳や指をしゃぶることによって発達を促します。幼児期になると普段の食事や、風車を吹いたり、シャボン玉を膨らませたり、口を使った遊びが口周りの筋肉を鍛えることに繋がります。

しかしながら、昔に比べて柔らかい食事が多くなり、またコロナ禍の衛生意識の高まりから、指を吸ったり、シャボン玉で遊んだりすることが減り、口周りの筋肉が衰えやすくなっています。お口ぽかんは、生活の中で意識して改善しないと治りませんから、意識的なトレーニングが必要になります。しかし、幼い子供は単調なトレーニングでは飽きてしまうので、遊びの中に取り入れながら、口周りの筋肉を鍛えることが重要です。

お口ぽかんのトレーニングとして、当初は唇の筋肉が重要だと考えられていました。ですが口唇閉鎖不全症は口を閉じる筋肉(口輪筋)だけでなく、舌や口周り全体の筋力の低下が原因とされるため、舌の筋肉を鍛えるほうが重要なのです。

子供が遊びながらトレーニングできる方法として、シャボン玉を膨らませること、風車を吹くこと、フーセンガムを膨らませることがあります。中でもフーセンガムを膨らますことは、舌を繊細に動かしてガムをまとめたり、舌を突き刺してガムを伸ばしたりする動作があることから、口周りのトレーニングとして有効な手段であると考えられます。

今井 一彰(いまい かずあき)
1970年鹿児島県生まれ。山口大学医学部卒業。メディカルエンターテイナー、みらいクリニック 院長、内科医・東洋医学会漢方専門医・NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長。息育、口呼吸問題の第一人者として全国を講演で回り、一般向けから専門家向け、幼稚園小学校から行政・企業向けなど幅広いジャンルの講演を行う。著書に『口の体操「あいうべ」』(マキノ出版)など。

フーセンガムを膨らませられない子供も

以上の調査結果と、専門家の意見に関連して、「フーセンガムに関する意識調査」の結果を合わせてご紹介します。

お子さんを持つ1,190名の男女に対し、「あなたのお子さまは、フーセンガムを膨らませることができますか」と尋ねたところ、29.7%が「知らない・わからない」、12%が「できない」と回答しました。

あなたのお子さまは、フーセンガムを膨らませることができますか。

 ***

地味な反復が続くトレーニングをお子さんに強いるのは無理がありますが、おやつとして取り入れられるフーセンガムなら自然に噛んで鍛えることができます。体全体の不調にもつながる、お口ぽかんを防ぐためにも、フーセンガムを膨らます練習を、お子さん、お孫さんと一緒にしてみてはいかがでしょうか。

【「お口ぽかんに関する意識調査」調査概要】
・ 調査方法:WEBアンケート調査(全国) 
・ 調査対象:3~12歳の子供を持つ男女
・ 有効回答数:215名 
・ 調査期間:2022年1月21日(金)~1月24日(月)

【フーセンガムに関する意識調査」調査概要】
・ 調査方法:WEBアンケート調査(全国) 
・ 調査対象:子供を持つ男女
・ 有効回答数:1,190名 
・ 調査期間: 2022年1月14日(金)~1月17日(月)

 

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