皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか?「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。第15回のテーマは、「八綱(8つの基本原則)ってなに?」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、篠原明宏さんに教えてもらいました。
八綱弁証(はっこうべんしょう)とは?
漢方には、「証」という診断の基準となるものさしが複数ありますが、八綱弁証もそのひとつです。八綱は、病者の状態を表・裏・実・虚・熱・寒・陽・陰の8つに分類し、「表・裏、熱・寒、実・虚、陰・陽」の4つの対立概念に基づき症状や体質を判断します。
漢方はバランスの医学ともいわれますが、八綱が偏りなくバランスを保っている状態がよしとされます。崩れたバランスを直し治療していくためにも、八綱弁証という診断が重要になります。
八綱弁証の表裏関係
八綱弁証には表裏関係があります。それぞれがどのように症状や特徴を判断していくのか、それぞれをピックアップしてご紹介します。
1.表・裏
「表・裏」は、病気の存在する位置をあらわします。体の表面部が表で、深い部分や内臓が裏と分類されます。漢方では、病気がまだ初期の場合、体の浅い部分に病邪(邪気)があると考えます。これは西洋医学にはない考え方です。これを「表証」といいます。逆に、病気が進行して深い位置にある場合を「裏証」といいます。
表証で代表的な症状は悪寒です。表証には必ず悪寒があり、悪寒がなければ表証ではありません。ほかにも、鼻水や鼻づまり、頭痛、のどの痛み、せき、脈が浮くといった症状が出やすくなります。裏証は表証でないものすべてが該当します。内臓の症状が主で、比較的病状が重いのが特徴です。
また、表と裏のあいだの「半表半裏証」という概念もあります。部位は横隔膜周辺を指し、症状は咽頭痛や食欲不振のほか、悪寒と熱感が繰り返すのが特徴です。
2.熱・寒
「熱・寒」は病気の性質や症状、体質をあらわします。「熱証」は発熱や炎症が起きている場合です。熱証はさらに「実熱・虚熱」にわかれます。実熱は全身の熱や局所性の炎症がある状態です。虚熱は栄養や水分が足りていないときに起きる熱と考えられており、慢性的で治りにくいのが特徴です。
「寒証」は、冷えて悪寒を感じるものの、熱は上がらない状態を指します。顔面は蒼白に、手足は冷たくなり、尿が出やすくなります。また、頭痛や肩こり、筋肉や関節が痛むなどの症状があらわれます。
3.実・虚
「実・虚」は病気の勢いや体の抵抗力を示します。「実証」は病気に対する抵抗力があり、激しい反応が起きます。実証の傾向としては元気があり、がっしりした体格で声が太く大きい方で、脈の力が強い、便秘になりやすいといった一面もあります。
対する「虚証」は病気に対する抵抗力が少なく、傾向としては元気がなく華奢で声も細く、下痢しやすい、脈の力が弱いという特徴があります。実証の人は病気への防御反応が強いため、そのぶん症状が激しく出ることがあります。虚証の場合は逆に反応が出にくい場合があります。
4.陰・陽
「陰・陽」は八綱弁証のなかでももっとも基本的な考え方です。今までの解説に登場した「裏、寒、虚」は陰に、「表、熱、実」は陽に含まれます。陰は寒性で、顔色は悪く、体温は低下気味です。陽は熱性で、顔色はよく、体温は高めです。
最初にご紹介したように、漢方はバランスの医学です。陰と陽のどちらにも偏らず、バランスを中立に保つことこそが漢方の真髄です。
八綱弁証は治療方針の決定に役立てられる
八綱弁証は、病気や体質を診断するうえでのひとつのものさしであり、漢方治療の方針を決めるときの参考にも使われます。しかし、そのものさしも漢方の正しい知識がないと使いこなせず、意味がありません。
漢方薬は一人ひとりの体に合った、正しい処方が重要です。用法用量が正しくないと、効果が出ないどころか思わぬ副作用に見舞われるリスクも上がります。自分で判断せず、漢方のことを熟知しているプロの医師や薬剤師の判断を仰ぎましょう。
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八綱弁証なしでは漢方薬は処方できない
八綱弁証には8つの基本原則があり、病気の位置や性質、勢いに関係しています。いずれも病状や体質を知るうえでの重要な要素であり、様々なものさしで治療方針を決定し、薬の処方を行い、問題の解決をめざすのが漢方です。
さて、次回のテーマは「五味」です。漢方に関する疑問や基礎知識について、専門家がわかりやすくご紹介します。ぜひご覧ください!
<この記事を書いた人>
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