皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの? 」と思っている方も多いのではないでしょうか。
漢方薬は、病気ではないけれども調子が悪い、そのような状態を改善することを得意としています。また、自然由来の根本からの改善薬として、漢方薬は医療機関でも活躍しているのです。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第12回のテーマは、「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、篠原明宏さんに教えてもらいました。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)とは?
「麦門冬湯」の効果や効能、基本的な飲み方について解説します。麦門冬湯はせきやたん、のどの症状に使われる非常に有名な漢方薬で、市販薬としても多く販売されています。
効能・効果
麦門冬湯はせきの治療に用いられる漢方薬です。体力中等度以下の方や、かぜの病後、やや体力が低下した方に処方されます。
麦門冬湯は咽頭の乾燥感、長引く空ぜき、たん、のどのイガイガ感に用いられます。また、気管支喘息や咽頭炎のときにも服用されます。
配合されている生薬は、のどを潤したんを出しやすくする「麦門冬(ばくもんどう)」、せきや吐き気を鎮める「半夏(はんげ)」などです。
基本の飲み方
なるべくおなかのなかに何もない空腹時、食前(食事の約30分前)や食間(食事の約2時間後)に、水またはぬるま湯で服用します。服用の際は医師や薬剤師などの判断を仰ぎ、自分の判断で量を増やしたり止めたりしないでください。
また、麦門冬湯には、市販のかぜ薬や胃腸薬にも配合されている「甘草(かんぞう)」が含まれているので、甘草の摂りすぎによる副作用が起きる場合があります。飲み合わせに関しても医師や薬剤師などに相談しましょう。
麦門冬湯はどんな人におすすめ?
ここからは、麦門冬湯がどんな悩みを持っている人に効果的な漢方薬なのか、具体的に3つの例を挙げて解説します。
1.乾いたせきが止まらない人
麦門冬湯は、長引くせきに対してアプローチすることができます。
「コンコン」という乾いたせき(空ぜき)が止まらない状態や、咽頭が乾燥している場合に用いられ、のどの粘膜に潤いを与えます。また、熱により体の水分が失われた乾燥状態を改善してくれます。
2.粘り気の増した「たん」がからむ人
のどや気道の粘膜は常に粘液を分泌しています。乾燥状態だと、たんの粘り気が増し、のどに張りついて、からまって切れにくくなります。また、のどに炎症が起きている場合は、たんが濃い黄色になります。
麦門冬湯で潤いの不足を補うことによって、からまるたんを改善します。
3.のどに痛みを感じたりしわがれ声が治らない人
のどの痛みやしわがれ声もせきやたんと同様につらく、不快感を与えるものです。のどの粘膜は非常にデリケートで、ちょっとした不調や変化でも痛みや声に変化が起きてしまいます。
乾燥状態だと粘膜の防御機能が落ち、トラブルが起きやすくなります。のどの痛みやしわがれ声の改善にも、麦門冬湯は役立ってくれます。
麦門冬湯に副作用はある? 安心して服用するには
西洋薬に比べ、漢方薬は副作用の危険性が低く、安心して用いることのできる薬です。しかし、副作用のリスクが完全にゼロという薬は存在しません。
用法用量を守らず、自己判断で漢方薬を選択するなど、漢方の知識がないまま服用してしまうと、副作用の危険性も増してしまいます。
以下は、麦門冬湯を服用することで起こる可能性がある副作用の例です。
・間質性肺炎
息切れ、息苦しさが生じる。空ぜきや発熱が見られ、持続することもある。
・偽アルドステロン症、ミオパチー
手足のだるさ、しびれ、こわばりやつっぱり感が見られる。筋肉痛が徐々に増す。
・肝機能障害
発熱や発疹、黄疸のほか、倦怠感、食欲不振、かゆみなどがあらわれる。
以上の重篤な副作用が起きることはまれですが、その疑いがある場合、直ちに漢方薬の服用を中止して、医師の診察を受けてください。
漢方薬を服用する際に、重要視すべきなのが漢方をきちんと基礎から学んだ医師、薬剤師の存在です。
単に漢方に詳しいだけでなく、人それぞれの体質や体調に合った漢方薬を処方し、場合によって処方を最適な形に調節していく、そういった的確な判断はプロである医師や薬剤師にしか行えません。
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麦門冬湯はせきやたんの症状、のどの粘膜のケアに最適!
麦門冬湯はのどの粘膜を潤し、長引くせきやからみつくたんなどの症状を改善してくれます。また、つらいのどの痛みも和らげてくれ、気管支喘息、咽頭炎などにも用いられます。
麦門冬湯に限らず、漢方薬は医師や薬剤師などの専門家に相談し、処方してもらってください。副作用を起こさないためにも、正しい用法用量を守って服用しましょう。
次回お送りするテーマは「五臓(ごぞう)の機能」です。ぜひご覧ください!
<この記事を書いた人>
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