とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなる、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの? など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調があらわれることがあります。

実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?  私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問に漢方の専門家がお答えします。

第68回のテーマは、「眠りが浅い」です。医師の木村 眞樹子さんに教えてもらいました。

眠りが浅くて睡眠不足…仕事でミスし精神的にも限界

亜希子さん 44歳女性 会社員の方からご質問を頂きました。

「眠りが浅いことに悩まされています。夜中に目が覚めてしまうことが多く、そのあとは眠れなくなってしまい、慢性的な睡眠不足に陥っています。夜に眠れていない分、日中に眠くなってしまうため、困っています。

事務の仕事をしているのですが、座り仕事のため眠気が出やすく、集中できません。ひどい眠気で、ボーっとしてしまったり、打ち込みのミスをしたりすることが増えてしまいました。先日は眠気と格闘しつつ発注データを入力していたら大変なミスを犯し『責任取ってもらわないと』と上司に怒鳴られました。

眠れなくて体の調子が悪いうえに、職場での立場も悪くなって精神的にも限界です。これは更年期? それとも別の病気? と悩んでいます」

ご質問ありがとうございます。睡眠不足になると仕事中つらいだけでなく、ミスにつながることもあるため本当につらいですよね。

実は、その眠気の症状は、更年期によるホルモンバランスの乱れが原因かもしれません。更年期に眠りが浅くなる原因と、対処法についてご紹介します。

眠りが浅い原因は更年期の可能性

更年期には女性ホルモンの分泌が急激に低下します。この変化が自律神経に影響を与え、不眠を引き起こすといわれています。さらに、ホルモンバランスの乱れによるのぼせ・発汗なども起こりやすいため、その影響で深く眠れなくなるケースも多くあります。

更年期に不眠を経験する人は約半数にものぼるといわれており、40歳~50歳頃の不眠は更年期が原因の可能性が高いといえそうです。家庭生活や仕事でもストレスを抱えやすい年代のため、それが睡眠の質に影響を与えることもあります。

漢方では、眠りには「気」が関係していると考えます。更年期の時期に抱えやすいストレスや疲労が「気」のめぐりを滞らせることで不眠が起こると考え、「気」のめぐりをよくする漢方薬などで眠れない原因を解消するというアプローチがとられます。

睡眠の質をよくする3つの方法

夜中に目が覚めてしまう、十分に睡眠が取れないなどの症状を病院で相談すると、睡眠薬を処方されるケースもありますよね。しかし、睡眠薬に抵抗がある方も多いのではないでしょうか。

睡眠薬を服用するのが怖い、睡眠薬を飲むほどではないという方には、下記のセルフケアなど漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。

3-1.習慣的に軽い運動を行う

習慣的に運動をすると、寝つきがよくなるだけでなく睡眠の質も上がります。毎日少しずつでもいいので運動する習慣を取り入れてみましょう。

例えば仕事をしている方であれば、通勤中ひとつ手前の駅で降りて歩いてみる。
専業主婦の方であれば、買い物に車を使わず徒歩や自転車で行くなど、なるべく習慣になる方法を取り入れるといいでしょう。まずは、エレベーターやエスカレーターを使わずに、なるべく階段を使うようにするだけでも違うかもしれません。

3-2.寝る前にリラックスタイムを設ける

忙しくて疲れている日にかぎって、なかなか寝付けなかったり、夜中に目が覚めてしまったりすることはありませんか? 忙しくて交感神経が優位になっていると、疲れていても眠れなくなってしまうのです。そんなときは寝る前にリラックスタイムを設けることで、体を睡眠モードへ切り替えやすくなります。リラックスできる音楽を聞く、ノンカフェインのお茶を飲む、ストレッチをするなど、負担のかからない好きなことから始めてみましょう。

3-3.漢方薬で睡眠の質を上げる

「セルフケアも試したが睡眠不足が解消しない」
「睡眠薬は一度飲み始めたら、やめられないのではないかと不安」

そんな方には、不眠外来の治療でも使われている漢方薬がおすすめです。

最近はストレスや心の病気が原因で眠りに影響を与える場合が増えてきているようです。何か気になる、イライラして眠れないなどの場合には「気」の流れを整えることで眠りを改善します。

症状の改善を目的とする西洋薬と違い、漢方薬は体質改善と根本治療を目的としています。睡眠薬のように強い作用で睡眠を誘発するのではなく、不眠が起こる原因の解消を目指します。自分に合う漢方薬を見つけられれば、不眠だけでなく他の不調も、同時に改善を目指すことができるのです。また、漢方薬は自然にある植物や鉱物などの「生薬」を組み合わせて作られているため、 一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれている点もメリットです。

「忙しくてセルフケアの時間が取れない」という方も、漢方薬は症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手軽に継続できます。

不眠に悩む女性におすすめの漢方薬

抑肝散(よくかんさん):体力が中程度でやせ型の方にむいています。いらいらや興奮で神経が高ぶり眠れない、早く起きてしまうといったときに用いられる漢方薬です。

加味帰脾湯(かみきひとう):虚弱体質で血色が悪くなっている方に用いられる漢方薬です。不眠症のほか、精神不安、神経症、貧血などにも処方されます。

酸棗仁湯(さんそうにんとう):心身ともに疲労して眠れない方に用いられる漢方薬です。

ただし、漢方薬を選ぶ際には自分の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起こることもあります。
購入時には、できる限り漢方に精通した医師や薬剤師等にご相談ください。

「お手頃価格で不調を改善したい」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめ。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。

AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、漢方のプロが体質に合った漢方を見極めてくれます。お手頃価格で自宅まで郵送してくれるため、手軽で便利です。

睡眠不足を解消して負のサイクルから抜け出しましょう

更年期には、夜中に目が覚めるなどの不眠症状がでることが多くあります。睡眠不足は体がつらいだけでなく、仕事のミスなど日常生活にも大きく影響してくるため、避けたいものです。

睡眠状況の改善にはセルフケアが大切ですが、十分な時間を取れない方には漢方薬がおすすめです。ぜひ専門家に相談のうえ、漢方薬を取り入れてみてはいかがでしょうか。

睡眠不足を解消して、ストレスのない日常を取り戻しましょう!

<この記事を書いた人>


医師 木村 眞樹子
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットを活かしつつ漢方の処方も行う。また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。

記事内に登場した「あんしん漢方」とは?
「お手頃価格で不調を改善したい」「副作用が心配」というお悩みをお持ちの方のために、医薬品の漢方を、スマホひとつでご自宅にお届けするサービスです。AI(人工知能)を活用し、漢方のプロが最適な漢方を選別。オンラインでいつでも「個別相談」可能。しかも「お手頃価格で」ご提供。相談は無料。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)

 

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