とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなる、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの? など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?
私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
第53回のテーマは、「倦怠感」です。医師の木村眞樹子さんに教えてもらいました。
1.謎の倦怠感とだるさ…家事もおろそか、人間関係もぐちゃぐちゃに!
典子さん 51歳女性 パート主婦の方からご質問を頂きました。
「このところ、倦怠感やだるさ、抑えられない眠気などに悩んでいます。だるくてボーっとしているときは動くこともできず、家事もおろそかになってしまいます。人と話をするのも面倒に感じてしまい、あまり家から出なくなりました。
それに、倦怠感で苦しんでいても、周りの人にはつらさが伝わりにくいようで、夫から『怠けすぎ』、『ダラダラしている』と言われてしまうこともあって余計につらいです。
動かなきゃ、元気にならなきゃと焦ってしまうと余計に落ち込み、イライラし、夫婦喧嘩にまで発展。離婚の話まで出ました。このような倦怠感やからだのだるさからくる鬱っぽさ……どうしたらいいでしょうか」
ご質問ありがとうございます。倦怠感の症状は気分の問題だけでなく、人間関係など広範囲に影響が出てつらいですよね。
その倦怠感は更年期による症状かもしれません。そこで今回は、更年期における倦怠感の原因と対処法について詳しく解説します。
2.倦怠感の原因は更年期の自律神経の乱れ
更年期女性の約7割が倦怠感に悩まされているといわれます。その原因は、女性ホルモンの分泌の低下による自律神経の乱れです。
一般的には50歳前後の約10年間が更年期にあたります。更年期を迎えると卵巣機能が衰え、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが減少します。そしてエストロゲンをコントロールしている脳の視床下部が混乱し、次第に自律神経のバランスも崩れてしまうのです。
倦怠感のほか、イライラ、気分が落ち込む抑うつ状態など精神的に不安定になるのも、更年期の大きな特徴です。前述の典子さんのように、周りからなかなか理解されないのも悩みの種になりますが、簡単なセルフケアで更年期症状による負担を軽減できます。
3.更年期の倦怠感を解消する4つの方法
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。
効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。 ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
以下に、 日常生活で簡単に行えるセルフケアをご紹介します。
3-1.生活習慣を見直す
「早起きは三文の徳」といわれますが、起床と就寝時間を決めて生活リズムを一定に保つことは、自律神経を安定させるためにとても重要です。
まずは、朝、太陽の光を浴びるようにしましょう。朝に日光を浴びると、脳内のセロトニンという神経伝達物質を活発化させるといわれています。セロトニンは別名「しあわせホルモン」とも呼ばれていて、精神の安定にも大きな影響力があります。
また、このセロトニンは睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」の材料になります。メラトニンがしっかり分泌されることで質の良い睡眠につながるため、朝日をしっかり浴びることは、しっかり眠るためにも大切です。
質の良い睡眠をとることで自律神経は安定しやすくなり、精神の安定にもつながります。
つまり、起床と就寝の時間を決めるだけでも、自律神経によい影響を与えると考えられるのです。
3-2.ストレスをため込まない生活
更年期症状で悩む40代、50代女性にとって、ストレスは大敵。ストレスにより症状を悪化させてしまうこともあります。あまり悩みすぎずに、おおらかな心で毎日を過ごしましょう。
ストレスを感じることがあったら、ゆっくりお風呂に浸かったり、気分転換に好きな映画を観たり、自分の趣味に没頭して日常から少し離れたりすることも大事です。
軽い運動やストレッチなどもストレスを減らすのに役立ちます。部屋でできるヨガやピラティスもおすすめ。YouTubeなどでレッスン動画を観ながら短時間でも毎日続けると、ストレス軽減になり精神的にもゆとりが生まれます。
3-3.食事メニューを変えてみる
和食を中心としたメニューはバランスがよく、さらに塩分を控えめにすると理想的な食事になります。1日3食しっかり摂り、大食いや偏食はやめましょう。
女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをするイソフラボンが豊富に含まれる大豆は日常的に摂取したい食材のひとつです。
ビタミンEはホルモンバランスを調整する働きがあり、カボチャやアーモンド、抹茶などに含まれます。
オメガ3脂肪酸は気分の落ち込みや精神安定に役立ち、サバやイワシなどの青魚、ナッツなどから摂ることができます。過剰に摂取すると血圧に影響が出る場合もあるのでほどほどが肝心です。
<更年期の倦怠感におすすめの食材>
・大豆製品
・ビタミンEを含む食材(かぼちゃ、アーモンド、抹茶など)
・オメガ3脂肪酸を含む食材(サバ、イワシ、ナッツなど)
あくまでも基本はバランスを意識することです。そのうえで、偏らない程度に今回おすすめした食材をとり入れてみてください。
3-4.漢方薬を飲む!
「西洋薬は副作用が心配」
「続く倦怠感から解放されたい」
漢方薬は心や体の疲れ、だるい、食欲がないなどの症状に効果が認められています。
漢方薬は自然にある植物や鉱物などの「生薬」を組み合わせて作られているため、 一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
また漢方薬が目指すのは苦痛を和らげるための対症療法ではなく、根本的な解決です。体質の改善に働きかけることのできる漢方薬は、「同じ症状を繰り返したくない」という思いに応えてくれます。
「バランスの取れた食事や運動などを毎日続けるのは苦手」という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
倦怠感に悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。
<倦怠感に悩む女性におすすめの漢方薬>
加味帰脾湯(かみきひとう):虚弱体質の方向けの漢方薬です。心身がだるく疲れている方、血色が悪い方に使われます。微熱があり熱っぽい場合に向いています。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):体力が中程度以上の方に向いている漢方薬です。疲労やストレス、精神的な不安や神経症の方向けの漢方薬です。
ただし、漢方薬を選ぶ際には自分の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用がおきることもあります。購入時には、できる限り漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談ください。
お手頃価格で不調を改善したい、という方には医薬品の漢方がおすすめ。スマホで気軽に専門家に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。AI(人工知能)を活用し、漢方のプロが効く漢方を見極めて自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が話題です。
4.倦怠感を吹き飛ばして、やる気にあふれる毎日を送ろう!
だるくて毎日疲れる、そんな更年期の倦怠感は自分も周囲もつらいものですよね。今回紹介した日常的なセルフケアや漢方薬の知恵を使い、積極的に改善していきましょう。
なお、漢方薬は自分の体質やタイプに合ったものを選ぶことにより効果が発揮されるので、まずは専門家に相談することをおすすめします。更年期の倦怠感に上手に対処し、毎日を元気に乗り切っていきましょう!
<この記事を書いた人>
医師 木村 眞樹子
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットを活かしつつ漢方の処方も行う。また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
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