とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなる、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの? など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?
私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
第48回のテーマは、「性交痛」です。薬剤師の道川佳苗さんに教えてもらいました。
1.「早く終わればいいのに」痛みを感じるようになってからは苦痛で……。
アキコさん 45歳 女性 会社員の方からご質問を頂きました。
「40歳を過ぎたころから時々、性交時に痛みを感じるようになり、45歳になってからは痛みがひどくなりました。性交をする前から嫌な気持ちになり、最中も皮膚が擦れてヒリヒリするので我慢していました。毎回、『早く終わればいいのに』と思いながら時間をやり過ごしていました。
しかし、以前よりも気持ちが入っていないことに夫も気付いたらしく、最近は夫も乗り気ではなくなり『そんなに痛ければしなくてもいいよ』と言われてしまいました。心の距離ができてしまった気がして、気まずくなり悲しくなりました。痛みを感じる前までは、仲が良かったのに……。
この状況をなんとかして前のように戻りたいのですが、デリケートな話題なので誰にも相談できず困っています。何か、痛みを改善するのに良い方法はありますか?」
ご質問ありがとうございます。性交痛は気軽に人には相談しにくい話題なだけに、おつらいですよね。
実は、その症状は更年期によるホルモンバランスの乱れが原因かもしれません。
2.40代女性の性交痛症状は女性ホルモンの低下が引き起こす
更年期には女性ホルモンの分泌が低下するために、膣内の潤滑液が不足し乾燥しやすくなります。そのため、皮膚で摩擦が起こり、痛みを感じやすくなります。ストレスなどの心理的な要因も重なり、潤滑液の不足が引き起こされます。
東洋医学的には、ホルモンバランスを司る「腎」の機能の低下、それに伴い、からだ全体の潤いをあらわす「陰」の不足が性交痛に関係していると考えられます。皮膚や膣内が乾燥する、手足がほてるなどの症状も起こります。
3.更年期の性交痛改善のためにできること
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。 効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
東洋医学の考えでは、年齢を重ねるにつれ、生まれ持った生命エネルギーである「腎」の機能が低下していくとされます。減ってしまった腎のエネルギーは、食事や生活習慣で補うことができます。腎の機能を補うと、陰の不足も補われ、からだ全体の潤いも改善していきます。
そんな東洋医学に基づいた養生法や、漢方薬を使った治療を取り入れてみませんか?
3-1.腎を補う食材を摂る
年齢によって低下していく「腎」の機能を補う食材を摂りましょう。漢方の養生法では「黒い食材」が、腎を補う代表的な食材といわれています。腎を補うことでホルモンバランスも整いやすくなります。
●おすすめの食材●
焼海苔、黒豆、黒ごま、黒米、黒酢、なつめ、ごぼう、干し椎茸、ブルーベリーなど
3-2.からだを冷やさない
冷えは「腎」の大敵です。からだを冷やすような食べ物は避け、温かい飲み物や食べ物を摂りましょう。ねぎやしょうがなどのからだを温める食材もおすすめです。
また、おなかだけでなく足首も冷やさないようにするのがポイントです。パンツスタイルを増やしたり、腹巻きをしたり、足首も冷やさないよう夏でも靴下をはくように心掛けましょう。
3-3.漢方薬を飲む
更年期の性交痛改善のため、足りないものを補うには、漢方薬がおすすめです。
一般的に、漢方薬は自然にある生薬を組み合わせて作られており、西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。症状の緩和、苦痛を和らげるための対症療法ではなく、体質の改善に働きかけることで根本的な解決を目指すため、同じ症状を繰り返したくないという思いに応えてくれます。
バランスの取れた食事や運動などを毎日続けるのは苦手という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
性交痛に悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。
<性交痛に悩む女性におすすめの漢方薬>
・六味丸(ろくみがん):疲れやすく、口が渇く傾向があり、むくみや頻尿の症状がある方
血液を補う生薬、余分な熱を冷ます生薬で構成されています。からだを潤す働きのある生薬も含まれています。
・八味地黄丸(はちみじおうがん):疲れやすく、口が渇く傾向があり、冷えや腰痛、頻尿の症状がある方
「腎」を元気にしてくれる漢方薬です。からだを温め基礎代謝を活発にし、冷えや血行不良も改善します。
ただし、漢方薬を選ぶ際には自分の体質に合ったものを選ぶ事が大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起こることもあります。購入時には、できる限り漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談ください。
お手頃価格で不調を改善したい、という方には医薬品の漢方がおすすめ。スマホで気軽に専門家に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。
今まで漢方薬を試したことのなかった人も取り入れやすいのではないでしょうか?
4.気になっていた悩みを改善して夫婦関係も良好に
人には相談しにくい「性交痛」の悩み。ひとりで悩んでしまい、つらい思いをしている人もいるのではないでしょうか。
更年期が原因の「性交痛」であれば、東洋医学の考え方を取り入れた方法で今より症状が改善するかもしれません。専門家に相談して漢方薬を取り入れるのも、良い選択肢です。
気になっていた悩みを改善して、夫婦仲良く過ごせる日々を取り戻しましょう。
<この記事を書いた人>
漢方薬・生薬認定薬剤師 道川 佳苗
調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事し服薬指導をする中、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、調理技術、栄養学を学ぶため服部栄養専門学校に入学し卒業する。現在は今までの経験を活かし web上で健康相談や薬膳や漢方に関する情報発信をしている。
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