とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなる、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの?など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。

実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?

私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。

第37回のテーマは、「膀胱炎」です。あんしん漢方の顧問である、西大條 文一先生に教えてもらいました。

1.何度もトイレに行くのがつらい!!

ハルミさん 40代女性 主婦の方からご質問をいただきました。

「最近、トイレで用を足しても尿が残ったような感じがし、10分ほどですぐにトイレに行きたくなってしまいます。そのため、1日に何度もトイレに行かなければならず困っています。友人に相談したところ『水を飲むのを減らせば』と言われましたが、水は朝の味噌汁と朝と夕の薬を飲む際の一杯しか摂っていません。何度もトイレに行くのは非常につらいです。どうしたらよいのでしょうか」

ご質問ありがとうございます。
トイレの悩みは人にも相談しにくく、つらいですよね。
ご質問者様の症状は、「膀胱炎」だと思われます。

膀胱炎は、尿を出すことの痛み(排尿痛)、残尿感、頻尿などの症状が出るため、仕事や生活の質を下げてしまうことも多いです。
また、治るまでに時間を要すことも多いため、非常に厄介な病気なのです。

そして、膀胱炎は水を飲む回数を減らしても改善せず、むしろ悪化させてしまう可能性が高いので注意が必要です。
また、膀胱炎の症状は更年期のホルモンバランスが関係している可能性があります。

そこで今回は、膀胱炎の原因や改善方法についてお伝えします。

2.つらい膀胱炎の原因はホルモンバランス!?

膀胱炎の原因は、膀胱にばい菌が入り込むことなどが考えられますが、さらに、更年期にホルモンのバランスが崩れることも原因となります。ホルモンバランスが崩れると、免疫力の低下によって炎症が引き起こされる場合があるのです。

また、漢方医学では、水分排泄をつかさどる『腎』と『膀胱』の機能が弱まることが膀胱炎の原因と考えられています。そのため、膀胱炎の改善のためには、腎と膀胱の機能を回復することが重要であるといえるでしょう。

3.膀胱炎を解決するためには!?

更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。

これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。 効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
 ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。

更年期の膀胱炎は、ホルモンのバランスを整えることで症状を和らげられると考えられます。
ここからは、身近でできる養生法をご紹介します。

以下に、更年期の膀胱炎の症状を緩和していくための体質改善の方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

3-1.生活習慣の改善でからだのバランスを整える

生活習慣を見直せば自然とホルモンバランスも整い、膀胱炎などの更年期症状の出にくい体質をめざせます。膀胱炎の症状を出にくくするためには、とくに以下の2つの習慣に気をつけましょう。

・規則正しい生活をする

免疫力低下によって膀胱のばい菌は繁殖しやすくなります。そのため、規則正しい生活をしてホルモンバランスを崩さないようにすることで免疫力を上げると、膀胱炎を予防できると考えられます。栄養バランスの整った食事、安定した睡眠、適度な運動を心がけましょう。

・下腹部を冷やさない

冬の寒い季節などにからだが冷えると、トイレも近くなります。また、下腹部を冷やすと腎と膀胱が冷え、膀胱炎が悪化することがあります。

膀胱炎の予防のためにはトイレを我慢しないことも大切ですが、同時にからだをしっかり温めましょう。カイロやひざ掛けで下腹部を温めることで、腎と膀胱を温め、弱った機能を回復できると考えられます。

3-2.漢方薬で膀胱炎症状の解消をめざす

「何度もトイレに行くのが憂鬱で、気軽に外出もできない」
「何度も繰り返す膀胱炎、対処法がわからない」

そんな不安をお持ちの方には、漢方薬がおすすめです。

「頻尿」「残尿感」「排尿痛」などの症状に効果が認められている漢方薬は何種類もあります。

漢方は人間のからだの営みに即した、自然の摂理を利用した治療法です。自然の恵みである動植物や鉱物の有効成分を見出して、それを人間の心身の症状の改善に役立てるために、長い歴史を経て確立されたものが漢方医学です。からだにやさしい成分で構成された薬のため、一般的に、西洋薬よりも副作用は少ないといわれています。

そして、漢方薬は表面に出ている症状や苦痛を緩和する対症療法だけでなく、不調の原因となっている体質を改善することを目的にしている点が特徴です。体質そのものに働きかけるため、根本的な解決につながります。そのため、同じ症状を繰り返したくないという思いにも応えてくれるでしょう。

バランスの良い食事や適度な運動を実践するのは難しい…という場合も、漢方薬なら、ご自身の症状や体質に合うものを毎日飲むだけです。そのため、どなたでも無理せず継続することが可能です。

<膀胱炎による頻尿に悩んでいる方におすすめの漢方薬>

・猪苓湯(ちょれいとう):口が乾き、尿量が少ない方に水分代謝を促すことで、尿を排出しやすくします。また、炎症や出血を改善する作用があるため、尿道炎、腎石症などにも用いられます。

・五淋散(ごりんさん):尿の切れが悪い膀胱炎が慢性化している方に水分代謝を促すことで、頻尿や残尿感を改善します。また、炎症を静めることで排尿痛、血尿などにも用いられます。

・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう):下腹部が熱っぽく、痛みがある方に泌尿器に生じた湿熱を除くことで、排尿困難を伴う発熱や炎症を抑え、 排尿痛、残尿感、尿の濁りを改善します。

ただ、漢方薬はその人の体質に合っていてこそ効果が現れるものです。体質に合っていないと、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。

とはいえ、自分に合う漢方薬を選ぶのはなかなか難しそうですよね。身近に相談場所がない場合、最近ではA Iを利用した「オンラインA I漢方」などのサービスも充実してきているので、こうした専門的なサービスを利用するのもいいでしょう。

効果と安全性が認められている漢方薬を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?

4.更年期の膀胱炎には、からだの内側からのケアを

膀胱炎は非常に生活の質(QOL)を下げるので、早めに治したいですよね。

まずは生活習慣を改善して、膀胱炎にならない生活を心がけましょう。

また、漢方薬は個人の体質や体力などを考慮した上で選んだほうが、効果も出やすくなります。専門家に相談して自分に合った漢方薬を見つけ、更年期のつらい尿トラブルをからだの内側からもケアしていきましょう!


<監修者>
漢方医 西大條 文一 (にしおおえだ ぶんいち)
金王坂クリニック院長、東方医学会会員、あんしん漢方顧問。古代から現代までの東西の医学史、医療史の研究をベースに、最新の免疫学、微生物学と漢方医学の知識を融合させた治療と臨床研究を行っている。
・金王坂クリニック オンライン外来: https://www.konnozakaclinic.com/service/online/
・あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0037

記事内に登場した「あんしん漢方」とは?
「お手頃価格で不調を改善したい」「副作用が心配」というお悩みをお持ちの方のために、医薬品の漢方を、スマホひとつでご自宅にお届けするサービスです。AI(人工知能)を活用し、漢方のプロが最適な漢方を選別。オンラインでいつでも「個別相談」可能。しかも「お手頃価格で」ご提供。相談は無料。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)

 

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