とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなったり、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの?など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?
私の不調にも漢方が効くのか知りたい!どうすれば根本解消できるの?
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
第22回のテーマは、「寝汗」です。あんしん漢方の監修医である木村好珠先生に教えてもらいました。
1.夜は寝汗がひどく、滝のような汗が不快で起きてしまう
愛(仮名)さん 49歳女性 専業主婦の方からご質問を頂きました。
「それまではものすごく元気で、学生時代はスポーツ万能、子供も3人産み、家事に子育て、そしてパートとたくさんのことをがんばってきました。
今までの無理がたたったのでしょうか。いわゆる「更年期」と呼ばれる年代になってから、自律神経失調症かな、と思えるほどの不快感や不調がずるずると続いてしまい困っています。さらに、夜には「寝汗」がひどく、何度も起きてしまい熟睡できません。
眠れないと疲れも取れないので、さらに体力を奪われてしまい、日中も集中力が続かず家事もままならない状況です。
夜中に下着やパジャマを着替えるほどの汗が出ることもあり、不快で不快でどうしようもありません!
何かの病気なのかと思い、精神科や内科に行きましたが、「更年期障害です」と言われただけで、何の治療もしてもらえませんでした。対処法がないということですが、どうにかなりませんでしょうか?」
ご質問ありがとうございます。寝汗の症状は、非常に不快感があり、つらいですよね。
また、寝汗と同時に嫌な夢を見られる方も少なくないようですし、大量に出た汗のニオイが気になる方もいらっしゃるようです。
更年期には、エストロゲンの減少により、自律神経がうまく調整できなくなることから、体温調整がうまくいかなくなり、寝汗が生じることがあります。
今回は、更年期の「寝汗」の原因や改善方法についてお伝えいたします。
2.更年期の「寝汗」。原因はホルモンバランスの乱れ
更年期の不快な症状の1つに「発汗」があります。
のぼせやほてりなどが起こる「ホットフラッシュ」の影響によって汗が出ることもありますが、それ以外にも一気に汗が出ることがあるのも、更年期の症状の特徴です。
原因は女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の分泌量が低下するためではないかといわれています。
自律神経には汗の量をコントロールする働きがあります。エストロゲンの分泌量が減少しホルモンバランスが崩れると、ホルモンバランスの働きと連動している自律神経も乱れてしまいます。
つまり、更年期にホルモンバランスが乱れ、自律神経のバランスが崩れることにより、急な発汗や大量の寝汗を引き起こしてしまう、というわけです。
また、東洋医学では更年期障害の「寝汗」の原因は、からだを潤す水分の不足と「気・血」の滞りが原因だといわれています。
自律神経のバランスを整え、寝汗を改善するために、足りない水分を補い、そして「気・血」をしっかりと巡らすことが大切です。
3.更年期やプレ更年期の「寝汗」を改善するために、今すぐにできる方法をご紹介します!
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。 効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
3-1.ストレスを溜めず、適度な運動としっかりとした睡眠を!
どんな方にも適度な運動と整った生活リズム、しっかりとした睡眠は基本中の基本です。適度な運動をして発汗を促すことや、ヨガや入浴で心身ともにリラックスすること、寝る前はスマートフォンなどを控え、ゆっくりと心穏やかに過ごすこと、などを心がけましょう。また、更年期の年代は、自分のからだのことに加え、子どもの進学や就職、そして両親の介護など、いろいろな問題が重なりやすい年代です。こういった問題も、ストレスの原因となってしまいます。
あれもこれもと一人で抱えてしまうのはやめて、ある程度は他人に任せることも大切です。
「ここまではできる」「ここからはできない」という判断を明確にし、必要に応じてサポートをしてくれるサービスを頼るのもいいでしょう。
イライラとした状態では、ストレスで余計にからだの調子も悪くなってしまいます。細かなことは気にせず、おおらかな気持ちで過ごしましょう。運動で気分転換をする、週に何度かは趣味を楽しむ、お笑いのビデオで思い切り笑い、脳をリラックスさせる、などもストレス発散には効果的です。
3-2. 更年期障害の改善には「豆乳」が有効!
足りない水分を補い、「気・血」をしっかりと巡らすために、お手軽で有効なのが「豆乳」です。
大豆製品に含まれる「イソフラボン」は更年期症状の改善に有効であるといわれています。同じ「大豆」でも、「豆腐」よりも「豆乳」の方が身体を潤す作用には優れています。
大豆製品の中でも豆乳は、からだの中の熱を冷まし、からだに必要な水分を補う作用があるといわれています。そのため、豆乳は「ホットフラッシュ」や「寝汗」に、とくにおすすめです。
薬膳の効果は、継続することにより現れてきます。更年期障害の改善のために、毎日の食生活に豆乳を取り入れてみてはいかがでしょうか。
3-3.漢方薬で体質改善!
「いったんよくなっても、またすぐに同じ症状をぶり返してしまう」「体質から根本改善したい」
そんな方には漢方薬がおすすめです。
漢方薬は、古くから歴史があり、安全性と効果が認められている医薬品です。自然の恵みである動植物や鉱物の有効成分を見出し、人間の心身の症状の改善に役立てるために効果のあるさまざまな処方を確立してきました。
一般的に、西洋薬よりも副作用は少ないといわれております。
そして漢方は、表面に出ている症状や苦痛を緩和する対症療法だけでなく、根本的な不調と体質を改善することを目的に働きます。同じ症状を繰り返したくないという思いにも応えてくれます。
バランスの良い食事や適度な運動を実践するのは難しい…という場合も、漢方薬なら、ご自身の症状や体質に合うものを毎日飲むだけですので、無理せず継続することが可能です。
寝汗に悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。
<寝汗に悩む女性におすすめの漢方薬>
・のぼせ感やイライラ、不眠症なども気になる方:加味逍遙散(かみしょうようさん)
とても有名な漢方の一つで、女性用の3大漢方のうちの一つで、基本的には更年期障害のための漢方としては「ファーストチョイス」として使われることが多い漢方です。
・強い冷えや頭痛もある方:五積散(ごしゃくさん)
冷えが強く、頭痛や胃もたれなどもある方に効く漢方です。
この漢方はとにかく身体の血行や水分循環を改善し、胃腸の機能を高めることにより、身体の冷えや痛みを取ります。
・皮膚の乾燥やのぼせも気になる方:温清飲(うんせいいん)
生理不順や更年期障害、皮膚の乾燥などに効く漢方です。
この漢方は、血液の循環を良くし、のぼせや手足のほてりをとる効果があります。
また、ホルモンバランスを整えますので、更年期障害の強い味方となってくれる漢方の1つです。
ただ、漢方薬はその人の体質に合っていてこそ効果が現れるものです。体質に合っていないと、効果が見込めないだけでなく、副作用がおきることもあります。自分に合う漢方薬を選ぶのはなかなか難しいものですが、最近ではA Iを利用した「オンラインA I漢方」などのサービスも充実してきましたので、こうした専門的なサービスを利用するのもいいでしょう。
効果と安全性が認められている漢方薬を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
4.食生活の改善や漢方で「寝汗」をとめる!
更年期の寝汗は、生活習慣やホルモンバランスを整えることで改善できます。まずはセルフケアとして、ストレスを溜めないことや、自分の生活を楽しむこと、こまめな運動で発汗を促したり、リラックスできる時間を少しでも作る、などに取り組みましょう。
さらに自分に合った漢方を取り入れることで、効果は現れやすくなるでしょう。
しっかりと自分自身の健康と向き合うことで、少しでも快適な毎日を目指しましょう!
<この記事を書いた人>
精神科医/漢方医 木村好珠
渋谷金王坂クリニック非常勤医、一般社団法人国際統合治療協会理事
医学部在学中より東洋医学を学び、精神科と東洋医学科が充実している慶應大学病院での勤務を経て、西洋薬の即効性等と漢方薬の根本的な治療をバランスよく使い分ける事を信条とする。
渋谷の漢方内科で非常勤医として勤務する傍ら、テレビや雑誌、インターネットテレビ、Webメディアなどで、精神疾患、心理学、生活習慣病など様々なテーマを精神科医・漢方医の立場で解説も行う。
・木村好珠監修あんしん漢方: https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0022
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