【ひと皿の歳時記~第127回】
沖縄・首里『しむじょう』のソーキそば
沖縄そば店『しむじょう』は首里の小高い丘の中腹にあります。国の「登録有形文化財」に登録されている歴史的建造物で、赤瓦屋根の伝統的な古民家の風情から、同店が供する沖縄そばの味が容易に想像できます。
注文したのは名物の「ソーキそば」。骨付き豚肉「ソーキ」を添えたそばです。
骨付きの豚肉は甘く煮込んであります。麺は小麦粉をこねたもの。これに「かんすい」を加えると、ラーメンの麺になります。汁のダシは昆布とかつおを使い、澄んだ優しい味わいです。この出汁に豚肉「ソーキ」がよく合います。合いの手は、もずく。酸味が利いていて、ほどよいアクセントになっています。
いまから30年ほど前、初めて沖縄を訪れたとき、お婆さんがひとりで「ソーキそば」を作るお店に案内されました。そのお店のソーキそばは透明感に溢れ、品のいい出汁で、忘れがたい味わいでした。とはいえ、ソーキそばは、どこの店も味は変わらないと思っていました。
これまで、沖縄へは数えるほどしか旅していませんが、その都度、必ずソーキそばを食べています。しかし、化学調味料の味をつよく感じるものが多く、30年前に食べたお婆さんの作る「ソーキそば」をしのぐ一杯に出会うことはありませんでした。
今回、『しむじょう』で味わったソーキそばは、あのお婆さんの作る味に匹敵する、滋味深いソーキそばでした。追加でいただいた「てびち」(豚足の煮込み)」も名品といっていいかもしれません。沖縄を訪れたら、ぜひ足を運んでほしいお店です。ゆいレールの「市立病院前」駅から歩いて10分ほどで着きます。
【しむじょう】
住所/沖縄県那覇市首里末吉町2-124-1
TEL/098-884-1933
営業時間/営業時間:11:30~15:00
定休日:水曜日