甲幅約20㎝、重さ約500g。これぐらいのサイズが、いちばん旨いという。

毛ガニは、北海道を代表するご馳走の代名詞だ。土産やお歳暮にいただくことも多い。だが、いざ食べるとなるとその姿からほぐし方に躊躇するのではないだろうか。

そこで、毛ガニの上手な身の外し方に加え、残った殻を使った毛ガニの炊き込みご飯の作り方を、辻調グループ エコール 辻 東京で日本料理を教える石橋良孝さんに教えていただこう。

● 指導 石橋良孝さん(辻調グループ エコール 辻 東京 助教授・38歳)昭和53年、秋田県生まれ。エコール 辻 東京に学び、同校の教員となった。現在は日本料理の助教授を務める。「キッチンバサミを使い、無駄の少ないさばき方と手軽にできる蟹料理をお教えします」。

毛ガニも、タラバガニ同様にキッチンバサミを使ってさばいていく。ただし、毛ガニを覆う毛は固く、尖っているので軍手の使用もお勧めしたい。

*  *  *

(1)腹を上にし、キッチンバサミで脚を切っていく。関節から少しずらしたところで切ると肉が取り出しやすい。


(2)切り離した脚にハサミで切り込みを入れて開き、肉を手で丁寧に取り出していく。崩さないように肉を取り出し、見た目よく盛り付けたい。


(3)爪先や脚の細い部分は、麺棒やすりこぎなどを転がして殻をつぶすように前へ押し出すと肉が出てくる。


(4)次に甲羅から「フンドシ」と呼ばれる部位を外す。ここを外さないと、甲羅から中身を取り出せない。


(5)甲羅から中身を引きはがす。灰色の「ガニ」と呼ばれるエラの部位は食べられないので、むしり取る。


(6)ハサミで中身をふたつに切ると、ぎっしり詰まった蟹味噌が現れる。残すことなく取り出したい。


(7)蟹味噌を箸で丁寧に取り出し、器へ取り分けて置く。このままでも美味だが、温かいご飯と食すと、絶品の味。


(8)脚の付け根にも肉が詰まっている。箸で丁寧に器へ取り出していく。そして、甲羅へ盛り付ける。


甲羅の中に取り出した肉を詰め、上に脚の肉を形よく盛り合わせれば完成。


*  *  *

■付録:「毛ガニの炊き込みご飯」の作り方

 毛ガニがうまくさばけたら、もうひと手間をかけ、蟹を味わい尽くしたい。

教えていただくのは、残った毛ガニの殻から取れる出汁を使った、絶品の炊き込みご飯。ほぐした身と蟹味噌をたっぷり入れて作りたい。炊き上がりに回し入れる日本酒が、最後の味の決め手だ。

【材料】(ふたり分)
(1)毛ガニのむき身1/2杯、(2)万能ねぎ1/2束、(3)米2カップ、(4)鰹節と昆布のだし汁1000㏄、(5)毛ガニの殻1/2杯、(6)濃口醤油15cc、(7)味醂10cc(8)日本酒20cc、(9)塩小さじ1/2。


(1)鍋に鰹節と昆布のだし汁を入れ、毛ガニの殻を入れてから火にかける。


(2)沸騰し、5分ほど煮立てたら殻を濾し、味醂、塩、濃口醤油を加えて冷ます。


(3)土鍋に洗った米、毛ガニのむき身を入れ、(2)のだし汁600ccを入れ蓋をして強火にかける。沸騰したら弱火で15分ほど火にかける。


(4)炊き上がりに日本酒を回し入れ、再び蓋をして蒸らす。刻んだ万能ねぎをのせ、さらに毛ガニの身や蟹味噌(分量外)を加えると風味がよくなる。

※この記事は『サライ』本誌2017年1月号より転載しました。肩書き等の情報は取材時のものです。(取材・文/宇野正樹 撮影/多賀谷敏雄 スタイリスト/竹田美緒)

 

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