じゅうじゅうと焼かれた串から滴り落ちる脂、タレの焦げた香ばしい匂い……。子供から大人まで誰もが魅了される焼き鳥ですが、ここ最近、密かなブームとなっているのをご存じですか。江戸時代の鮨、天ぷら、蕎麦に続き、昭和に発達した東京の食文化でもあります。

そこで、今回はこれまで『サライ.jp』でお届けした記事の中から、わざわざ行きたい焼き鳥の老舗や名店とともに、焼き鳥の雑学もご紹介します。

お店の情報は、電話番号や価格などのデータが変更になっている場合がありますので、ご確認のうえおでかけください。

1:日本の焼き鳥文化を牽引する老舗|京橋 伊勢廣 本店(東京・京橋)

大正10年(1921)創業の『伊勢廣』。初代の星野白久さんは大きな鶏肉卸問屋『伊勢廣』で働いていたところ、経営者の姪のなをさんとの縁談を勧められ結婚。その後、夫婦で独立を願い出て、同じ屋号の暖簾を出すことを許されたそうです。

品種や銘柄に関係なく、社員みんなで試食し、これは旨いと絶対におすすめできる肉を選んでいるそうです。火に力があり安定しているだけでなく、焼き上がりの風味と食感がすばらしいという、姥目樫を固く焼き締めた備長炭を使っています。

もてなしの本質を求め100年。完成させた鶏と炭火の芸術|京橋 伊勢廣 本店【わざわざ行きたい東京「焼き鳥」の名店】

2:鳥とみ(東京・池尻大橋)

東京の焼き鳥の人気店『鳥しき』等で修業を積んだ土屋宝さんがひとりで切り盛りする、カウンター8席のみの穴場的な良店『鳥とみ』。メニューは、焼き鳥と水炊きの2本柱で提供するコースのみ。使う鶏肉は、「焼いても煮ても旨い」と土屋さんが太鼓判を押す福島県の伊達鶏一筋。

基本の味はタレか塩で、焼きながら素材ごとに最適な油を塗るのが土屋流。独学で完成させた水炊きは「伊達鶏のガラを丁寧に下処理し、火加減を微調整しながら6時間ほどかけて炊きます」(土屋さん)。

「焼いても煮ても旨い」伊達鶏の旨み|鳥とみ(池尻大橋)【わざわざ行きたい東京「焼き鳥」の名店】

3:フランス料理と融合した新感覚の焼き鳥コース|神保町 五木田(東京・神保町)

『神保町 五木田』は、本格的なフランス料理の世界を歩んできた料理人、五木田祐人さんが、2年前に開いた焼き鳥をメインにしたレストラン。鶏の白い肉は温度の高い炭火で焼き、鴨などの赤い肉やレバーに代表される内臓は炭よりも温度が低い薪火でしっとりと焼くという具合に、熱源を使い分けています。

仕上げにタレではなく、フランス料理の手法を使ったソースをかけるのがこの店の流儀。口にすると、串という形で提供されるものの、フランス料理の小さな一皿を食べているような感覚と満足感を味わえます。

フランス料理の手法を使ったソースで食す|神保町 五木田【わざわざ行きたい東京「焼き鳥」の名店】

4:焼き鳥はなぜ串に刺している? 【焼き鳥の雑学と作法】

創業100年の老舗『伊勢廣』の串打ちの様子。

江戸初期、すでに野鳥の肉を串に刺して焼く料理方法が誕生していたようですが、中頃になると、豆腐に串を刺して味噌をつけた味噌田楽が、江戸市中で流行。これにより串に刺さったまま食べる、という食文化がこの頃、定着したと言われています。

同じく江戸の中頃に、タレをつけた鰻を串に刺し、炭火で焼く蒲焼きが人気となります。串に刺すことで、焼きやすく食べやすくなります。和食の串文化が、焼き鳥に根付いているのです。

「焼き鳥」と「やきとり」は違う食べ物?【焼き鳥の雑学と作法】

5:初めての店で最初に頼むべき3本とは? 【焼き鳥の雑学と作法】

『伊勢廣』の焼き台。

焼き鳥の名店には、炭の組み方や火力の調節など、焼き台をコントロールするための独自技術があり、炭の組み方ひとつとっても、お店によって大きく異なります。ゆえに、焼き台を見るとその店のレベルがわかるそうです。

さらに、初めてのお店でメニューに迷ったら、もも、つくね、手羽の3本から頼みましょう。ももは、そのお店の扱う肉の肉質がわかります。つくねにはそのお店の個性。焼くのが難しい手羽で、焼きの実力がわかるのだそう。

なぜ、焼き鳥はカウンター席がおすすめなのか?【焼き鳥の雑学と作法】

*  *  *

串に刺した鶏肉を焼く。簡単そうに見えてじつは奥が深い焼き鳥の世界を、老舗や名店で堪能してみてください。

文/編集部

 

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