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大衆の食文化となった「焼き鳥」だが、素材や調理法、食し方の謎や疑問は少なくない。じつは奥深き焼き鳥の世界。思わず誰かに話したくなる豆知識の数々をここに紹介したい。

備長炭で焼く店が多いのはなぜか

焼き鳥は、火加減が大きくものをいう。炭の組み方ひとつとっても、店によって大きく異なる。
上は『鳥政』、下は『伊勢廣』の焼き台。

焼き鳥は炭火焼きにかぎる。こう思っている人も多いのではないだろうか。実際、「備長炭使用店」の看板を掲げている焼き鳥店は多い。大学院で調理科学を学んだフードジャーナリストの土田美登世さんによれば、炭火の香りというプラス要素はあるものの、じつは炭火のほうが電気やガス火より美味しくなるという確固たるエビデンス(科学的根拠)は、ほとんどないのではないか、という。

「焼きの達人にガスと炭火、両方で焼いてもらったことがありますが、その時の条件では明らかな差が出ませんでした。炭火の力は信じていますが、職人の腕に左右される要素が多いのかもしれません」

焼き鳥の名店には、炭の組み方や火力の調節など、焼き台をコントロールするための独自技術がある。ゆえに、焼き台を見るとその店のレベルがわかるという。

「焼き台が整頓されているか、職人の立ち姿が美しいか。どう焼いているかに着目すると、美味しい店の見分けがつくようになります」

何で焼くかではなく、誰が焼くか。これが旨さの秘密のようだ。

地鶏は最高の「焼き鳥食材」なのか

地鶏の場合、28日齢以降は、飼育密度10羽/平方メートル以下、平飼(屋外で動き回れる)で飼わなければならない。写真は名古屋コーチン。

焼き鳥に使われる鶏肉は、大きく分けて3つ。比内地鶏などの地鶏、大山(だいせん)どりや赤鶏(あかどり)さつまなどの銘柄鶏、ブロイラーだ。いったいどんな違いがあるのだろうか。

地鶏に関しては、農林水産省のJAS規格で、平飼い、飼育密度、孵化から75日以上飼育することなど、細かく定められている。

「地鶏は飼育期間が長いせいもあり、滋味豊かです。ただし焼き方が悪いと固くなったり、肉の状態が鶏によって異なったりするなど扱いが難しく、職人の技術がより問われます」(土田さん)

ブロイラーは40~50日の若鶏で出荷されるので、「肉が柔らかい」(土田さん)。銘柄鶏は「通常の飼育方法と異なり、飼料内容等に工夫を加えたもの」という規定があるが、「飼育方法がブロイラーと大差ないものもある」と土田さん。

滋味を求めて地鶏にこだわるか。銘柄鶏を食べ比べるか。ブロイラーの柔らかさを堪能するか。それぞれの良さを味わいたい。

なぜカウンター席がおすすめなのか

『鳥政』(東京・銀座)のカウンター席。10年以上通っているという常連客は、職人との会話も大いに楽しんでいた。

焼き鳥の専門店に目立つのは、鮨屋のようなカウンター。土田さんいわく、「カウンター席は焼き鳥をさらに楽しむためにある」。

「焼き鳥店の見せ場のひとつは、職人の焼き姿です。その達人の技をぜひ、目で味わってほしいですね。串を回転させる速さや、炭火の強さにあわせて串を置き換える技など、見ていて惚れ惚れします」

カウンターの利点は、眼福だけではない。職人とコミュニケーションが取りやすいことだ。

「職人に直接、おすすめを尋ねるのもいいでしょう。もし時間に余裕があるなら、職人に“お任せ”してしまうのもいいですね」

しかし初めての店での「お任せ」は心理的なハードルもやや高い。

「そういう時は、もも、つくね、手羽の3本から頼みましょう。ももは、そのお店の扱う肉の肉質がわかります。つくねにはそのお店の個性。焼くのが難しい手羽で、焼きの実力がわかります」

※この記事は『サライ』本誌2021年4月号より転載しました。年齢・肩書き等は掲載当時のものです。( 取材・文/角山祥道 撮影/宮地 工)

サライ4月号の特集は酒の肴の王様とも言うべき「焼き鳥」を取り上げ、古今東西数々の名店を紹介しています。

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