スープと麵の相性が合ってこそうまいラーメンは生まれる。ラーメン店の店主とともに最適の麵を追求する業務用麵の製造現場を訪ねた。
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東京都の北西、武蔵野台地の中央部に位置する東久留米市に三河屋製麺はある。常時320種以上の業務用中華麺を手がける中華麺の大手メーカーで、取引先は首都圏を中心に全国で約1200を数える。同社社長の宮内厳さんはこう語る。
「お客さん(ラーメン店)の要望を聞き、こちらから提案する麺をつくるうちに麺の種類が増えていきました。ひと口に中華麺といっても細い、太い、縮れ、ストレートなど形状はさまざま。またコシや硬さなどの食感も違い、組み合わせは多種多様です」
新規に出店するラーメン店から「このスープに合う麺をつくってほしい」と頼まれると宮内さんは店に出向き、スープの味など店の情報を得ながら麺づくりの構想を練ることもある。
「納品した店が繁盛すると、どこの麺を使っているのかと、ラーメン店さん同士で情報が伝わり、弊社に依頼がくることがあります。そんなことの繰り返しでこれだけの種類まで増えてきました」(宮内さん、以下同)
今では、ラーメン店からオリジナル麵を頼まれても、自社製品のなかからピッタリの麵を提案できるようになった。320種もあれば、オーダーメイドに限りなく近い麵が見つかるのである。
「このスープにこの麵? と、疑問に思うような注文がくることもあります。でもそんな店が人気店になると、組み合わせを考えた店主のセンスに感服します」
同品質を毎日つくる事が大事
三河屋製麵では8ラインがフル稼働し、1日に8万〜10万食を生産する。使う小麦粉は約50種、中華麵用に使われる準強力粉のほかに、パン用や菓子用の粉もブレンドし、最適の組み合わせを考える。生地の加水率(※小麦粉1㎏に対する水分の割合。)や圧力のかけ方、麵の太さなども一種ごとに違うので、そのたびに生産ラインの設定を変えて注文主の意向に応える。業務用で心がけるのは「常に安定した品質」だ。
出来上がった麵はひと晩冷蔵庫で熟成し、近隣の一都三県には自社の運輸部門が店舗に配送、地方の店には冷蔵の宅配便を使う。生産から運送まで一貫したシステムを持つのが同社の強みでもある。
「ラーメン店からのどのような注文にも応じられる態勢で臨んでいます。さすがに手打ち麵だけはつくれませんが(笑)」
小麦粉のミキシング
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かんすいを加え練る
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「麵帯」をつくる
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切り出し
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玉に丸める
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検品
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箱詰め・保管・出荷
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解説 宮内厳さん (三河屋製麵代表取締役・55歳)
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※この記事は『サライ』本誌2024年12月号より転載しました。
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取材・文/鹿熊 勤 撮影/寺澤太郎
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