生きた蟹を自ら茹でて旨い料理に仕立てる。よい蟹を入手できたら最良の茹で方を。蟹はアクが強く、生半可に茹でるとアクがまわり色が悪くなる。それを防ぐには必ず塩分濃度3%の水を沸騰させてから茹でること。塩分は色艶をよくするだけでなく身を引き締め、高温加熱による旨み成分の流出を防ぐ。茹でればあとはさばくだけ。面倒そうだが関節を切り、殻を開き丁寧に外せば大丈夫。3分の2を茹で蟹として、残り3分の1ほどはカニグラタンに使用する。

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土佐酢でいただく
「茹で蟹」

蟹の盛り付けに特別な作法はないが、甲羅よりも、脚を前にして蟹の鮮やかな赤を目立たせるとよい。

鮮度のよい蟹ならば茹でただけでも充分に旨い。が、さらに蟹の旨さを引き出すとなると土佐酢の出番である。土佐酢とは三杯酢(※合わせ酢のひとつで酢に醤油やみりんを混ぜ合わせたもの。)に鰹節を加えたもので酸味と甘みのバランスがよく、茹で蟹のおともに最適だ。蟹酢ともいう。

「和食は出汁が基本。素材が活きるように出汁を使います」と日本料理教授の西澤さん。昆布と鰹節の旨みをしっかり出したのち、米酢を加えて風味を高めている。西澤さんは「酢の酸味だけでは単調になりがちですから」と、柚子の絞り汁を加え、複合的な酸味を生み出し、より味わいを豊かにする。

【材料(2人分)】
蟹の身とみそ……約2/3杯分程度

<土佐酢>
水……300mL
米酢……100mL
塩……ひとつまみ
薄口醤油……40mL
砂糖……小さじ1
鰹節……15g
柚子 ……1個
昆布……5g

酢橘(すだち)……1個
生姜(すりおろし)……好みで

【つくり方】
1.水、昆布、薄口醤油、砂糖、の順で鍋に入れて強火にかける。沸騰したら米酢、鰹節を加える。アクは丁寧に取り除く。

材料を入れる順番は肝のひとつ。米酢と鰹節は沸騰してから投入。

2.ペーパーで漉してボウルなどの容器に入れたら、粗熱を取り、冷ます。しっかり冷めたら茶こしで柚子の絞り汁を加える。これで土佐酢は完成。

柑橘の香りは料理の立役者。芳香が消えぬよう、冷えてから絞る。

3.さばいた蟹の身と蟹みそを器に盛り付ける。蟹みそは甲羅を利用して盛る。半分に切った酢橘をあしらい、土佐酢の皿も添える。好みで、すりおろした生姜を用意してもよい。

●指導 西澤辰男さん
(服部栄養専門学校日本料理主席教授・50歳)

昭和47年生まれ。服部栄養専門学校卒業後、『東京吉兆』へ。12年の勤務ののち、平成16年より日本料理を指導。ドラマや情報番組での料理指導など幅広く活躍している。(『吉兆』の吉は「土」の下に「口」)

ベシャメルソースが決め手
「カニグラタン」

残しておいた蟹の身でカニグラタンをつくる。グラタンの要はベシャメルソース(※バターと小麦粉、牛乳を用いる基本的なソース。)である。西洋料理教授の幸田さんによると、「茹でた蟹身にはすでに塩気があるので、ベシャメルソースに玉ねぎを入れて甘みを加えましょう」。

根気よく、じっくりと弱火で玉ねぎを炒め煮に。火にかけっぱなしだが焦がしてはならぬ。これが最大のコツ。ソースができれば、オーブンに任せて完成だ。

【材料(2人分)】
蟹の身……約1/3杯分
マカロニ……80g*塩を加えた湯で、袋の表示時間より1分短く茹でる。

<ベシャメルソース>
有塩バター……40g
玉ねぎ(みじん切り)……1個(160g)
小麦粉……20g
牛乳……400mL
塩……少々
生クリーム……40mL

パルメザンチーズ……適量
パセリ(みじん切り) ……適量

【つくり方】
1.鍋に有塩バターと玉ねぎのみじん切りを入れ、弱火でよく炒める。焦らずじっくりと炒めたら、小麦粉を加えて極弱火で軽く炒める。

玉ねぎは焦がさぬよう、木べらなどを使い、静かに丁寧に炒める。

2.小麦粉の粉っぽさがなくなってきたら牛乳を3回に分けて加えて、絶えず混ぜ続ける。塩を入れ、コクを出すために生クリームも加えて弱火で煮込めば、ベシャメルソースの完成。

生クリームは一気に流し入れず、ゆっくりと馴染ませるように。

3.ベシャメルソースに蟹の身と茹でたマカロニを入れ、水(分量外)でソースの濃度を調整しながら塩で味を調える。

煮詰まらぬよう、水を加えながら蟹の身とマカロニを合わせる。

4.耐熱皿に3.を流し入れ、パルメザンチーズをふり、180℃に熱したオーブンで10分、焼き色がつくまで焼く。オーブンから取り出したら仕上げにパセリを散らす。

耐熱皿に流し入れる。大きめの蟹の身を上部に配して見た目よく。

●指導 幸田健太郎さん
(服部栄養専門学校 西洋料理教授・45歳)

昭和53年生まれ。服部栄養専門学校卒業後、浦安ブライトンホテルに勤務。同校の助手を経て西洋料理教授に。各種講演、バラエティ番組に登場する料理を担当するなど活躍している。

取材・文/すずきたけし 撮影/寺澤太郎
※この記事は『サライ』2023年2月号より転載しました。

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