時季になったら新幹線に乗り、バスを仕立てて、空路を辿り日本中から産地めがけて人が動く。わざわざ食べに行きたいほどの美味、それが「蟹」。今年はどこへ、出かけようか。

越前がに、松葉がに、加能ガニなどは、いずれもズワイガニの産地などによるブランド名。画像は鳥取賀露港の松葉がに。

石川県が誇るブランド蟹を独自の調理法で蒸し上げる
加能ガニ(ズワイガニ)石川県加賀市

「活蟹づくしのタグ付き蟹会席『極み』」の一部(2人盛り)。手前の皿は、左から石川県産ズワイガニの雌・香箱ガニの茹で蟹、加能ガニと寒ブリの刺身。中央は蟹すき鍋、奥は活蟹のしめ縄蒸しで、藍古九谷を現代に再現する人気作家・山本長左さんによる特注の器。日本酒1合1050円~。同会席付きプランは1泊2食付きひとり6万1000円~で、3月4日まで提供、2名から5日前までに要予約。

石川県はズワイガニの名産地として知られる。漁場である県西部の加賀沖は暖流と寒流が合流し、餌となる小魚やプランクトンが豊富な上、冬の海に鍛えられて肉付きの良い蟹が育つからだ。金沢港や加賀市の橋立港など県内で水揚げされた雄のうち、甲幅が9cmを超えるものを「加能ガニ」と呼び、その品質の証となる青いタグが付けられる。濃厚な甘みや爪先まで詰まった身には定評があり、昨年の初競りでは1匹500万円の最高値が付き話題となった。

宿から車で20分ほど、加賀市の橋立港での競りの様子。石川県では資源管理のため脱皮直後の水ガニの漁獲を全面自粛している。写真提供/石川県漁業協同組合

開湯1300年を誇る加賀の古湯・山代温泉にある『界 加賀』では、加能ガニを中心とした選りすぐりのズワイガニが堪能できる。

生きた蟹をしめ縄で巻く

宿は、紅殻格子や釘を使わない加賀伝統の建築を随所に残しつつ、快適な客室棟を備える温泉旅館。

客室は「加賀伝統工芸の間」と銘打ち、加賀水引を施した障子飾りや加賀友禅のベッドライナーなどを配している。そして日本海の幸をふんだんに使った夕食が名物で、蟹の漁期には蟹尽くしのコースが好評を博す。

ひとり1.5杯分の蟹を使用した会席では、刺身や焼き蟹をはじめ、甲羅焼き、揚げ物、蟹すき鍋などが並ぶ。なかでもひときわ目を引くのが、主役の「活蟹のしめ縄蒸し」である。

「江戸時代の文献に、囲炉裏の灰の余熱を使って蟹を蒸す調理法があり、灰が付かないように蟹を縄で巻いたと伝えられています。これを参考に、塩水を含ませたしめ縄を活蟹に巻きつけて蒸し上げています。熱がじんわり入るので身がふっくらと仕上がり、塩味もまろやかになります」と料理長の金子雄太さんが説明する。

活蟹のしめ縄蒸し、蟹を包むしめ縄を半分解いたところ。品質の証である加能ガニの青いタグ付き。蒸し時間は中火で約35分。

その自慢の蒸し蟹は、確かに身が縮まずしっとりとして、旨みが凝縮されている。豪快な演出もさることながら、深い味わいも理にかなっているようだ。さらに料理を彩る雅趣に富んだ九谷焼の器の数々も目を楽しませてくれる。

食から伝統文化まで、加賀の魅力を体感する、豪勢な滞在に心を躍らせたい。

界 加賀 

「王道なのにあたらしい。」を打ち出す温泉旅館。手前の建物は国の登録有形文化財。館内には九谷焼タイルの大浴場や茶室、陶芸家で美食家の北大路魯山人の作品展示などがある。宿の前には山代温泉の古総湯があり宿泊者は無料で入湯できる。

石川県加賀市山代温泉18-47
電話:050・3134・8092(予約) チェックイン15時、同アウト12時
料金:1泊2食付きひとり3万5000円~ 48室。

『界 加賀』へはJR北陸本線加賀温泉駅から車で約10分。小松空港からは車で約30分。

取材・文/田喜知久美 撮影/宮地 工
※この記事は『サライ』2023年2月号より転載しました。

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