急ぎ足の観光客だけでなく、地元の「みやこ人」たちからもこよなく愛される京都の「おうどん」。出汁や麺、具材など個性豊かなメニューの数々と、その美味しさの秘訣を紹介する。
甘辛い牛肉に卵黄を絡め、すき焼き風にも楽しめる
イカヅチうどん(肉うどん)
平成30年に開業した『イカヅチうどん』は、カフェのようなガラス張りの外観が特徴で、幅広い層に根強いファンがいる。
街中から少し離れた場所に店を構えたのは、若い層も気軽に立ち寄れ、ゆっくりできる居心地のいい店にしたかったからだ。最近は、海外の人気グルメ情報誌からも高く評価されるようになった。
「三重県と北海道の小麦粉を合わせて練り上げ、自家製の麺を作り上げています。讃岐うどんに近いコシのある麺です」
こう話すのは、店主の末田有作さん(43歳)。西陣織の職人から大阪や京都のうどん店に修業に入った異色の経歴をもつ。
京都ではふんわりとやわらかな麺が主流だが、末田さんはしっかりとコシのある麺を提供。一方で、出汁は京都風の上品な味に仕上げた。上質な煮干しと鰹節、昆布で出汁をとっている。 自慢の肉うどんは、甘辛く炊いた牛肉とたっぷりの白髪葱をのせたもの。卵黄は別添えで、好みの頃合いで丼に入れる。卵黄を絡めると、すき焼きのような風味で、もちっとした麺ともよく合う。肉の旨味も充分に堪能できる一杯なのだ。
京都市左京区浄土寺西田町82-6
電話:075・744・1567
営業時間:11時30分~14時30分、18時~20時30分(最終注文、売り切れ次第終了)
定休日:火曜、日曜・月曜夜(不定休あり)
交通:叡山電鉄叡山本線元田中駅より徒歩約12分
取材・文/中井シノブ 撮影/高嶋克郎、竹中稔彦
※この記事は『サライ』2022年3月号別冊付録より転載しました。