急ぎ足の観光客だけでなく、地元の「みやこ人」たちからもこよなく愛される京都の「おうどん」。出汁や麺、具材など個性豊かなメニューの数々と、その美味しさの秘訣を紹介する。
具と出汁に天然真鯛を使用。細めの麵とも好相性の一杯
京うどん こむぎ(真鯛うどん)
『京うどん こむぎ』は、コロナ禍の令和3年2月に河原町五条近くに店を構えた。何故この時期にあえて開業したのかを、町おこしも手掛ける店主に聞いた。
「元古美術店だった町家が空いたままになっていて、それを生かして地域活性ができないかと思ったのがきっかけでした」
『草闇(そうじき)なかひがし』の三男で数々の店をプロデュースしてきた中東篤志さんに店の監修を依頼。品書きは、奇を衒ったものではなく、かけや葱、きざみといった出汁の美味しさを直接感じられるものに限定した。そんな中、唯一独自の品として開発したのが天然真鯛うどんだった。
瀬戸内で揚がる真鯛の頭やアラを仕入れ出汁をとる。瞬間冷凍して届く切り身はさっと火を通して身のやわらかさを保つ。
淡麗な出汁に合う細麺ののど越しも軽やかで、さらっと食べられる。うどんは、この細麺のほか中太麺もあって、どちらかを好みで選べるのもいい。
近所のお年寄りが毎日通える気安い店にしていきたいという。
京都市下京区河原町通万寿寺須浜町647-2
電話:075・746・5910
営業時間:11時30分~14時(17時30分~22時はおでんと日本酒)
定休日:火曜
交通:京阪本線清水五条駅から徒歩約4分
取材・文/中井シノブ 撮影/高嶋克郎、竹中稔彦
※この記事は『サライ』2022年3月号別冊付録より転載しました。