海外の映画やドラマ、あるいはふと流れてきた英語のニュース。意味はわかるはずの動詞なのに、「なぜ、その動詞を使う?」と、立ち止まってしまう瞬間があります。
辞書で知っている意味とは、少し違う。その場の空気や話し手の距離感が絶妙な、動詞の使われ方は、私たちの想像よりもずっと自由に感じます。今回は、日常会話でよく使われる動詞に目を向けてみたいと思います。
さて、今回ご紹介するのは “How do I put this?” です。

“How do I put this?” の意味は?
“How do I put this?” を直訳すると、
“how” は(どのようにして、どのような方法で、)、“put” は(置く)ですが…、そこから転じて
正解は……
「どう言えばいいかな…」
「これをどう表現したらいいでしょう?」
などという意味になります。
ここで使われている “put” は、「置く」という意味ではなく、「言葉にする」「表現としてまとめる」という意味です。
考えがまだうまく整理できていなかったり、少し言いにくいことを伝えたりするとき。また、相手を傷つけないように気を配りながら、率直な気持ちを伝えたい場面でも使われます。
“How do I put this?” は、言葉を探していることを相手に伝えながら、
考えを言語化するための短い「間」をつくるフレーズです。
たとえば、
1. “How do I put this? I think the plan needs a bit more time.”
(どう言えばいいかな…その計画、もう少し時間が必要だと思う。)
2. “How do I put this? It feels a little different from what I expected.”
(どう表現したらいいかな…思っていたのと少し違う感じ。)
などのように使うことができます。

きもちを言葉にする “put”
ここでの “put” は、「置く」ではなく、考え、気持ちや意見を言葉にするという意味で使われます。
特に、
・どう言えばいいか迷っているとき
・気持ちや考えをていねいに伝えたいとき
・別の言い方で説明したいとき
など、「どう表現するか」という場面でよく登場します。
ここでは、会話でよく使われる3つのパターンを見てみましょう。
1. “put it into words” (言葉にする)
例文
“I can’t put it into words.”
(言葉にできない。)
“It’s hard to put into words how grateful I am.”
(どれほど感謝しているか、言葉にするのは難しいです。)
2. “put it this way / put it another way”
(こう言わせてもらうと/別の言い方をすると)
相手にわかりやすく伝えるために言い直すときの表現です。
少し丁寧で、説明的です。
例文
“Let me put it another way.”
(別の言い方をしますね。)
“Let me put it this way. If we rush, we’ll regret it later.”
(言わせてもらうね。もし急いでしまうと、あとで後悔しそうだよ。)
3. “put it simply / bluntly / differently”
(簡単に言うと/率直に言うと/別の言い方をすると)
話しのトーンや姿勢を最初に伝える表現です。
例文
“To put it simply, we’re out of time.”
(簡単に言うと、時間切れです。)
“To put it bluntly, this won’t work.”
(率直に言うと、これはうまくいきません。)
“To put it differently, we need a new plan.”
(別の言い方をすると、新しい計画が必要です。)
少し言いにくいことを言う前や、相手への気遣いを含んだ前置きとして、ぜひ会話の中で使ってみてください。

最後に
英語を教えていると、ときどき日本語の「えっと」や「なんというか」などは、英語ではどう言えばいいの? と聞かれることがあります。
英語は「気持ちをはっきり伝える言語」というイメージを持たれがちですが、実は “How do I put this…” のように、「言葉になる前の状態」を前置きとして表すフレーズが、日常的によく使われています。
たとえば、
“There’s something I want to say, but…”
(言いたいことはあるんですが……)
“I’m not sure if this is the right word, but…”
(この言い方が合っているかわからないんだけど……)
これらも “How do I put this…” と同じく、まだ考えの途中であることを相手に伝えるための表現です。
日本語では、「えっと……」「なんて言ったらいいのかな……」といった言葉を使って、自分の気持ちの揺れを表すことがあります。ときには、言葉をあえて重ねず、沈黙やその場の空気を通して、相手が気持ちを汲み取ってくれるのを待つこともありますね。
一方で英語は、気持ちの揺れそのものを「まだ途中です」と、言葉にして表す傾向があるように思います。「言えないこと」も、ひとつの表現として語られるのです。
英語には、
“Words fail me.”
という慣用句があります。
これは、
「言葉が見つからない」
「うまく言えない」
「何と言えばいいのかわからない」
といった意味をもつ、少し文学的な言い回しです。感動や悲しみ、衝撃など、心が大きく揺れたときに使われます。「言葉の限界」をさす表現として文学やアート、また、ミュージカルやロックなどの楽曲タイトルにも、使われています。
誰かに、どうしても伝えたいことがあって、でも言葉ではどうしても言い尽くせないようなとき、
“I want to thank you, but words fail me. Thank you!”
(感謝したいのに、言葉が見つかりません。ありがとう。)
伝えきれないことを、伝えきれないまま差し出すことに、言葉のおもしろさがあるのかもしれませんね。
次回もお楽しみに!
●執筆/池上カノ

日々の暮らしやアートなどをトピックとして取り上げ、 対話やコンテンツに重点をおく英語学習を提案。『英語教室』主宰。 その他、他言語を通して、それぞれが自分と出会っていく楽しさや喜びを体感できるワークショップやイベントを多数企画。
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●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com











