おしゃべりする、ぼーっとする、読む、学ぶ、考える、俗世間の塵を払う──そこは人間にとって大切なものに満ちた場所。喫茶店でしか出会えない“普段着の京都”をご案内します。

京都の喫茶店を支えてきた珈琲職人たちの総本山

開放的な客席。2階もある。奥はコーヒー豆やスイーツの販売所。小川珈琲各店では、ハンドドリップとエアロプレス(※ピストン状の抽出器具を使用。空気の力を利用して短時間で抽出ができる。)の抽出方法を選べる。

たいていのスーパーマーケットに行くと、「小川珈琲店」の袋入りのコーヒーが並んでいる。小川珈琲といえば、今や全国区のコーヒー製造・販売会社だが、最初は京都の個人商店から始まった。戦時中にラバウルでコーヒーに親しんだ小川秀次が、昭和27年に高倉六角でコーヒー豆の卸売店を開始。昭和51年に西京極へ移転。平成14年に本社を併設した現在の『小川珈琲本店』へとリニューアルした。

ハンドドリップでコーヒーを淹れる吉川寿子さん。平成25年に「ワールドラテアートチャンピオンシップ2013」で優勝。

珠玉の一杯を淹れる

「アフタヌーンセット」1680円。上段スイーツ、下段ミックスサンド。内容は日替わり。コーヒーは「オーガニックハウスブレンド」(単体は520円)。

取材当日、その本店でチーフバリスタの吉川寿子さん(38歳)に、定番の「オーガニックハウスブレンド」をペーパードリップで淹れていただいた。

バリスタというと、ラテアートなどの華麗なテクニックが注目されがちだが、小川珈琲では“抽出のプロフェッショナル”と位置づける。いわばうまいコーヒーを淹れる職人。

時間と重量を計る秤をポットの下に置き、丁寧に淹れていく。

「私たちは、いつ、どこででも、高いクオリティでコーヒーを提供できなければなりません。そのために、感覚だけに頼るのではなく、抽出時間や湯量などの客観的なデータも重視して淹れています」

淹れたてのコーヒーを一口含むと、高級ワインのようにフワっと香りが溶けていき、舌をやさしくなでていく。

ぜひここ本店で、珈琲職人たちの妙技を味わってほしい。

定番の「ハウスブレンド」は、2000年代以降、オーガニック(有機JAS認証)の豆に。月に1回スペシャルティコーヒー(高品質豆)が入荷。

小川珈琲本店
京都市右京区西京極北庄境町75
電話:075・313・7334
営業時間:7時〜21時(最終注文20時30分) 
定休日:無休
交通:阪急電鉄京都線西京極駅より徒歩約13分 
駐車場あり。今冬、京都市内に新店舗を開店予定。

【立ち寄り情報】
・桂離宮。店の最寄りの西京極駅から桂駅までひと駅。駅から桂離宮まで徒歩約15分。
・松尾大社。西京極駅から松尾大社駅まで3駅。駅から松尾大社まで徒歩約5分。店の向かいには、背脂醬油系京都ラーメンで有名な『中華そば ほそかわ花屋町店』がある。

取材・文/大塚 真、撮影/小林禎弘
※この記事は『サライ』2021年10月号別冊付録より転載しました。

 

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