取材・文/池田充枝
ロンドンの中心部、トラファルガー広場に面して立つ世界屈指の美の殿堂、ロンドン・ナショナル・ギャラリーは西洋絵画に特化した質の高いコレクションで知られています。
同館は、ヨーロッパの多くの美術館のように王家や皇族のコレクションを母体とせず、市民により市民のために形成されたことが最大の特徴といえます。また、その多くを常設展示しているためまとまった数の作品を貸し出すことに慎重で、英国外で所蔵作品展が開かれたことはありません。
このたび、東京・大阪でロンドン・ナショナル・ギャラリーの所蔵作品展の開催が実現しました。フェルメール、レンブラント、ゴッホをはじめ選りすぐりの61点、全作が日本初来日となります。
英国が誇る至宝が奇跡の初来日をする展覧会です。(6月18日~10月18日まで)
本展の見どころを読売新聞東京本社の文化事業部、横山薫さんにうかがいました。
「ゴッホの傑作《ひまわり》を見ていただきたいです。ゴッホは花瓶に生けたひまわりを生涯で7点描きましたが、中でも傑作と評される作品です。4番目に制作されたこの作品は、ひまわりだけでなく、その背景の色までもが黄色になり、ほぼ全面が『黄色一色』で塗られた点が大きな特徴です。実物ならではの迫力を、ぜひ会場で感じてください。
次にご紹介したいのが、フェルメールの《ヴァージナルの前に座る若い女性》です。フェルメールは、真作が三十数点しか現存しないとされ、日本でも根強い人気があります。この作品は、最晩年に描かれたもので、今回初めて日本にやってきました。フェルメールらしい光や色彩が画面にあふれていると同時に、こちらを見つめる女性のまなざしが印象的な作品です。
本展は、印象派の作品も充実しています。ルノワールの作品では、《劇場にて(初めてのお出かけ)》が見られます。主題は、劇場に着飾って出かけ、熱心に舞台を眺める少女。その初々しい姿が、見る者をほほ笑ましい気持ちにさせてくれます。
イタリア・ルネサンスからポスト印象派まで幅広い時代をカバーし、しかもその中から『これぞイギリスの至宝』という名画が集まりました。出品される61点が『すべて日本初公開』という画期的な展覧会です。この機会を逃したら、これらの質の高い作品群に出会うには、ロンドンまで足を運ぶしかないでしょう。ぜひご鑑賞ください」
61点全作が見ごたえ満点!! ぜひ会場に足をお運びください。
【開催要項】
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
会期:2020年6月18日(木)~10月18日(日)
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
電話番号:03・5777・8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://artexhibition.jp/london2020/
開館時間:9時30分から17時30分まで、金・土曜日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし3月30日、5月4日は開館)
巡回:大阪・国立国際美術館(11月3日(火・祝)~
取材・文/池田充枝