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取材・文/池田充枝

幕末の開港とともに西欧からもたらされた写真は、侍たちに驚きをもって迎えられ、日本に写真館が生まれ、肖像写真を撮る人々が出てきました。幕末期に日本を訪れた外国人は江戸や横浜、横須賀の風景を異邦人の眼でとらえました。写真は、当時の日本の姿をありのままに伝える貴重な資料といえます。

フェリーチェ・ベアト《江戸三田の綱坂》 文久3(1863)年 鶏卵紙 東京都写真美術館蔵

フェリーチェ・ベアト《江戸三田の綱坂》 文久3(1863)年 鶏卵紙 東京都写真美術館蔵

初期写真の歴史を貴重なオリジナルプリントやネガ原板、写真器材・道具を通して紹介する展覧会が開かれています。(5月24日まで)

下岡蓮杖《(相撲)》 慶応3‐明治4(1868‐71)年頃 鶏卵紙 東京都写真美術館蔵

下岡蓮杖《(相撲)》 慶応3‐明治4(1868‐71)年頃 鶏卵紙 東京都写真美術館蔵

本展の見どころを、東京都写真美術館事業企画課普及係広報担当の平澤綾乃さんにうかがいました。

「日本における写真文化のセンター的役割を担う東京都写真美術館では、毎春、初期写真に焦点を当てる展示を行っています。

制作者不明《(東京向島)》 明治20年代 鶏卵紙に手彩色 東京都写真美術館蔵

制作者不明《(東京向島)》 明治20年代 鶏卵紙に手彩色 東京都写真美術館蔵

本展は三部構成として、一章では、欧州で発祥した写真が日本において普及するまでの歴史と、当時の写真技術を紹介します。二章では、関東地方を訪れた写真家や写真技術者の活躍を展覧し、さらに一都六県で開業した写真家たちも紹介します。最終章では、ペリーの肖像写真から建設中の東京駅まで、激動の関東地方の様子を、バラエティに富んだ初期写真で見渡します。

宮内幸太郎《中央停車場建築》 明治44(1911)年 ゼラチン・シルバー・プリント 横須賀市自然・人文博物館蔵

宮内幸太郎《中央停車場建築》 明治44(1911)年 ゼラチン・シルバー・プリント 横須賀市自然・人文博物館蔵

本展は、日本写真の起源に深く関わる関東の初期写真群を一堂に会し、その積層する写真文化を俯瞰する貴重な機会です。
近年のデジタル技術の発達によって、変化した『写真』。現在は、写真が『モノ』としての形状をもっていたことや、技術者の手による制作の工程が含まれていたことを想像することが難しくなりつつあります。本展は、日本における最初期の写真文化に着目し、『初期写真』ひいては、『写真』の成り立ちと存在意義に向き合うための決定版となる展覧会です。

《アメリカン・ダゲレオタイプカメラ(ルイス・タイプ)》 1850年代初期 ガラス、鉄、真鍮、木  東京都写真美術館蔵

《アメリカン・ダゲレオタイプカメラ(ルイス・タイプ)》 1850年代初期 ガラス、鉄、真鍮、木  東京都写真美術館蔵

展示される初期写真は、度重なる災害を生き抜き、100年の時を超えて私たちの眼前に存在しています。初期写真の鑑賞の醍醐味のひとつは、その一枚の写真から、さまざまな物語を読み解くことです。
世紀を超えて、人々の手を伝え守り継がれた、初期写真が雄弁に語りだす物語にご注目ください」

日下部金兵衛《(花売り)》 明治中期頃 鶏卵紙に手彩色 日本大学藝術学部蔵

日下部金兵衛《(花売り)》 明治中期頃 鶏卵紙に手彩色 日本大学藝術学部蔵

リアルな幕末明治が眼前に広がります。会場で、先人たちの息遣いを感じてください。

【開催要項】
日本初期写真史 関東編―明治幕末を撮る
会期:2020年3月3日(火)~5月24日(日)
会場:東京都写真美術館 3階展示室
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
電話番号:03・3280・0099
http://topmuseum.jp/
開館時間:10時から18時まで、木・金曜日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし5月4日は開館)

取材・文/池田充枝

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