「夕暮れの極北の河を渡るカリブー」撮影:星野道夫

「夕暮れの極北の河を渡るカリブー」撮影:星野道夫

アラスカに魅せられ、かの地を棲家にして、壮大な自然の世界を描写した、たぐいまれな写真家、星野道夫(1952-1996)の回顧展が、東京・銀座の松屋銀座で開催されています。

第3回アニマ賞受賞、第15回木村伊兵衛写真賞受賞など写真家としての輝かしい実績と並んで、やさしさあふれる文章で綴られたエッセイも高い評価を得ている故・星野道夫さん。カムチャツカで取材中に不慮の死をとげてから、この8月で没後20年を迎えますが、彼が残した写真や文章の数々は、いまだに多くの人々の心を魅了し続けています。

本展は、代表作を含む約250点の写真をはじめ、自筆の文章や手紙、使用したカメラなどを展示し、星野道夫の仕事と彼の心の内面を伝える、没後20年の回顧展です。

星野さんが愛用したカヤック、スノーシュー(かんじき)、毛皮のパーカーも初展示されます。

1.カリブーの移動を待つ星野道夫_s

「カリブーの移動を待つ星野道夫」撮影:星野道夫

本展について、星野道夫夫人の星野直子さんにうかがいました。

「星野道夫が亡くなって20年になりますが、もし本人が現在いたらどんなことを皆様にお伝えしたかっただろうと思っています。

生前、星野は『アラスカは別世界ではなく、アラスカに住んでいる人も東京に住んでいる人もどこかでつながっているはず。人間と自然の関わりはどこに住んでも同じ』、『自分の写真を見てくれた人が、作品を見て何かを感じ、感じたことをその人自身の問題として考えてくれるような仕事をしたい』と語っていましたが、その思いは今も変わらないと思います。

この展覧会に来てくださった方お一人お一人が作品と対話することで、それぞれの人がそれぞれの捉え方で星野のメッセージを受け取っていただけましたら幸いです」

大迫力の大型プリント(2m×約3mが4点、2m×1.4mが2点)は見ものです。ぜひ足をお運びください。

松屋銀座展覧会&ギャラリーサイト

【没後20年 特別展 星野道夫の旅】
■会期/2016年8月24日(水)~9月5日(月)会期中無休
■会場/松屋銀座8階イベントスクエア
■住所/東京都中央区銀座3-6-1
■電話番号/03・3567・1211(松屋銀座)
■料金/一般1000円 大高生700円 中学生500円 小学生300円
■開場時間/10時から20時まで、最終日は17時まで(入場は閉場30分前まで)
■アクセス/東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅A12出口直結、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅9番出口より徒歩約3分、都営浅草線東銀座駅A8出口より徒歩約3分、JR有楽町駅より徒歩約8分

取材・文/池田充枝
1989年「サライ」の創刊時より歴史資料の調査や展覧会情報を中心にフリーランスで「サライ」の取材・執筆に携る。

 

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