取材・文/池田充枝

日本が世界に誇る人形作家・与 勇輝(あたえ・ゆうき)の、半世紀にわたる創作活動の集大成ともいえる展覧会が、東京の松屋銀座8階イベントスクエアで開かれています。(~2018年4月10日まで)

与 勇輝作「おやつ」(1994)撮影:飯本貴子

与は、1937(昭和12)年川崎市生まれ。幼いころより絵や工作が好きで、デザインスクールを卒業したのちマネキン会社に勤めるかたわら創作人形を創りはじめました。1979(昭和54)年に初の個展。日本の原風景を思わせる子どもたち、作者の心象風景の表現という妖精たち。その表情豊かで柔らかみのある人形たちはたちまち多くの人々を魅了しました。

以後、国内での個展は回を重ね、1991(平成3)年には「世界の人形・今昔展」(パリ装飾美術館)に招待出品。2007(平成19)年にはニューズウィーク日本版で「世界が尊敬する日本人100」に選ばれました。

材料にこだわり、着物から帽子や靴、花や葉っぱにいたるまですべて手作りで、とくに木綿の「しわ」の表情を大事にした創作理念は、昨年80歳を迎えた今もゆるぎなく貫かれています。

今回の《与 勇輝展 創作人形の軌跡》展は、昨年80歳でパリ日本文化会館での個展を開催した与にとって、東京では8年ぶりとなる凱旋展覧会。初期の作品から代表作および最新作まで約150点を展観します。

与 勇輝作「灰かぶり」(1970)撮影:飯本貴子

本展の見どころを、広報事務局の沼澤英夫さんにうかがいました。

「与 勇輝さんの手から創り出される人形たちは、日本のみならずフランスやブラジルなど海外でも高く評価され、国や世代を越えて愛されています。

これらの人形は、与さんの手によって命を吹き込まれ、魂が宿ったかのようで、観る人を魅了し、私たちの心に不思議な安らぎを与えてくれます」

与 勇輝作「埴生の宿」(2015)撮影:飯本貴子

ノスタルジックで心にしみる人形たちに会いに、ぜひ会場に足をお運びください。

【開催要項】
パリ凱旋・傘寿記念
《与 勇輝展 創作人形の軌跡》

会期:2018年2月21日(水・祝)~4月10日(火)
会場:松屋銀座8階イベントスクエア
住所:東京都中央区銀座3-6-1
電話番号:03・3567・1211(松屋銀座大代表)
開場時間:10時から20時まで、最終日は17時まで(入場は閉場30分前まで)
会期中無休
巡回:4月25日~5月7日京都髙島屋、5月19日~5月28日横浜髙島屋、以降全国百貨店・美術館を巡回の予定
松屋銀座・展覧会&ギャラリーサイト:http://www.matsuya.com/m_ginza/exhib_gal

取材・文/池田充枝

 

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