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オーストリア、ウィーン郊外にたたずむロースドルフ城には、日本の古伊万里を中心とした磁器が多数所蔵され、かつてそれらは調度品として場内を美しく飾っていました。
ところが、第二次世界大戦末期、旧ソヴィエト軍に接収され、撤収の際、ほとんどの磁器が破壊されてしまいます。城主であるピアッティ家は、破壊された陶片を捨てずに、城の一室にインスタレーションし、平和への祈りをこめて一般公開しました。

ロースドルフ城 陶片の間

この悲劇のコレクションは、昨年の日墺国交樹立150周年の前年(2018年)、日本に紹介され大きな反響を呼びました。
そのロースドルフ城のコレクションが、日本の技術により一部修復を終えて、初めて海外で公開される展覧会が開かれています。
( 2021年1月24日まで。特別協力: 一般社団法人 古伊万里再生プロジェクト www.roip.jp

「色絵唐獅子牡丹文亀甲透彫瓶」(部分修復)
有田焼、1700~1730年代、ロースドルフ城蔵

本展では、陶片を含むロースドルフ城の日本、中国、西洋の磁器コレクションを、国内にある有田磁器の名品とともに公開します。

「白磁大壺」(組み上げ修復)
マイセン窯、20世紀初頭、ロースドルフ城蔵

本展の見どころを、大倉集古館の学芸員、四宮美帆子さんにうかがいました。

「本展は、今まで知られることのなかったロースドルフ城コレクションの陶磁器を初公開する展覧会です。とはいえ、単なる陶磁器の展覧会ではありません。本展のユニークなところは、第二次世界大戦の戦禍によって破壊されてしまった陶磁器の破片(陶片)が主役の展覧会だということです。
ロースドルフ城には、陶片の間という、陶片を美しく飾った部屋があります。城主の手によって破棄されずに残された陶片は、陶磁器が持つもともとの美しさと相まって、戦争の悲惨さを強く訴えかけてきます。本展では、皆様に陶片の姿を通して、城主の平和への祈りを感じ取っていただきたいと思い、陶片の間を再現したコーナーを設けました。
また、日本の古伊万里の優品の修復も行いました。往時の姿をとりもどすことで、多くの陶磁器たちが、海を渡ってどのように使われたのか、飾られたのか、といった歩みを知ることができる展示となっております。海を渡った古伊万里の歩んだ「破壊」と「再生」の姿を一望できる展覧会となっています」

「色絵松竹梅鶴文八角大皿」(修復)
有田焼、1700~1720年代、ロースドルフ城蔵
「色絵花卉文花瓶」(組み上げ修復)
有田焼、19世紀後期、ロースドルフ城蔵

破壊の悲劇を乗り越えて、今、再生の息吹きを放つ名品を、ぜひ会場でご覧ください。

【開催要項】
特別展 海を渡った古伊万里~ウィーン、ロースドルフ城の悲劇~  
会期:11月3日(火・祝)~2021年1月24日(日)
会場:大蔵集古館
住所:東京都港区虎ノ門2―10-3(The Okura Tokyo 前)
電話:03・5575・5711
公式HP:https://www.shukokan.org/
開館時間:10時から17時まで(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(休日の場合は翌平日)、年末年始(12月28~1月1日)
料金:HP参照
アクセス:HP参照
巡回予定:愛知県陶磁美術館(予定2021年4月10日~6月13日)、
     山口県立萩美術館・浦上記念館(予定2021年9月18日~11月23日)
        

取材・文/池田充枝

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