マーケティングにおいてデータの活用は必須です。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」で、データを基にマーケティング戦略を立案・実行するデータドリブンマーケティングについて学びましょう。

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近年、デジタル技術の進化により、企業が取得・活用できるデータの範囲は飛躍的に拡大しました。従来は、パソコンのアクセス履歴やアンケート結果といった限られたデータをもとにマーケティング戦略が立案されていましたが、スマートフォンの普及により、多種多様なデータがリアルタイムで収集・分析できるようになったことで、企業はより詳細な顧客インサイトを得ることが可能となり、マーケティング施策の精度を向上させることができるようになりました。

本記事は、データドリブンマーケティングを実践したいと考えている方を対象としています。導入にあたり、知っておくべきポイントをいくつか紹介しますので、ご自身のビジネスにお役立ていただければ幸いです。

データ活用の進化

スマートフォンの普及により、私たちの日常生活のあらゆる場面で行動データが収集・分析されるようになりました。具体的には、以下のような情報が蓄積されています。

・位置情報
・購買履歴
・SNSでのやり取り
・睡眠時間
・交通機関の利用履歴
・動画の視聴履歴

これらのデータは、消費者の行動を詳細に把握し、マーケティング戦略を最適化するために活用されています。

消費者が商品を認知するきっかけは、テレビCM、インターネット広告、SNS広告、メールマガジンなど多岐にわたります。各チャネルには異なるペルソナ(架空の顧客像)が存在すると考えられます。

例えば、テレビCMは幅広い年齢層にリーチしやすい一方、SNS広告はトレンドに敏感な若年層をターゲットにする傾向があります。

このように、蓄積されたデータを分析することで、各チャネルごとの消費者像をより明確に把握できるようになります。これにより、それぞれのペルソナに最適化されたマーケティング戦略を設計し、より効果的なプロモーションが可能になります。

ビッグデータの活用事例

交通分野:JR東日本

JR東日本は、Suicaの利用データを活用し、都市開発や流通・サービス事業の拡大を進めています。移動データを分析することで、人の流れを把握し、最適な店舗配置や都市計画の立案に役立てています。

広告分野:LINEヤフー

LINEヤフーは、ビッグデータ分析サービス「ヤフー・データソリューション」を活用し、ヒット予測モデル「商品トレンドマップ」を開発しました。これにより、消費者ニーズを予測し、最適な広告戦略を策定することが可能になりました。

データドリブンマーケティングとは

データ活用の進化により、「とりあえずメルマガを配信しておけばいい」といった従来のマーケティング手法は通用しなくなりました。マーケティング担当者は、データを取得・分析し、そこから知見を導き出して戦略を策定することが求められています。

「データドリブンマーケティング」とは、データを根拠にマーケティング戦略を立案・実行する手法のことです。これにより、

・ターゲットの精密なセグメンテーション
・最適な広告チャネルの選定
・リアルタイムな施策の調整

が可能となり、マーケティング活動の効率を向上させることができます。

データドリブンマーケティングの15の重要指標

データドリブンマーケティングを成功させるためには、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定が欠かせません。マーク・ジェフリーの著書『データ・ドリブン・マーケティング 最低限知っておくべき15の指標』(翻訳:佐藤純、矢倉純之介、内田彩香/ダイヤモンド社)では、以下の15指標が特に重要とされています。

これらの指標を定期的に分析し、改善施策を継続的に実施することで、企業の競争力を高めることができます。

1.ブランド認知率
・自社ブランドの認知度を測る指標
・測定方法:アンケート調査など
・市場シェア拡大の評価に重要

2.試乗・お試し
・購入を判断するための商品試用アクション
・測定方法:試乗数、試用後の購買率
・顧客の興味関心を測る指標

3.解約率
・商品・サービスの購入を中止した人の割合
・計算式:解約者数 ÷ 総顧客数
・顧客満足度・継続率の評価に重要

4.顧客満足度
・商品・サービスに対する満足度
・測定方法:アンケート調査(5段階評価など)
・リピート率・口コミ拡散の評価に重要

5.オファー応諾率
・オファーの送付数に対する応諾した顧客の比率
・計算式:オファー受諾数 ÷ 提示数
・キャンペーン効果の評価に重要

6.利益
・売上高から費用を引いた利益
・計算式:利益 = 売上高 – 費用
・事業の収益性の評価に重要

7.正味現在価値
・現在価値から費用を差し引いたもの
・計算式:現在価値- 費用
・投資判断・プロジェクト評価に重要

8.内部収益率
・投資利回りを測る指標
・計算式: 割引率(NPV = 0 となる値)
・資本効率・投資収益性の評価に重要

9.投資回収期間
・投資額を回収するまでの期間
・計算式:投資額 ÷ 年間利益
・投資リスクの評価に重要

10.顧客生涯価値
・顧客が企業との関係性を持つ期間の購買額総和
・計算式:平均購入額 × 購入頻度 × 継続年数
・長期的な顧客関係の評価に重要

11.クリック単価
・リスティング広告やディスプレイ広告で1回クリックされるのにかかる単価
・計算式:広告費 ÷ クリック数
・広告コスト効率の評価に重要

12.トランザクションコンバージョン率
・広告クリック後に購入に至った割合
・計算式:購入者数 ÷ クリック数
・広告の購買促進効果の評価に重要

13.広告費用対効果
・広告キャンペーンの収益性
・計算式: 収益 ÷ 広告費用
・投資対効果の評価に重要

14.直帰率
・ユーザーが最初のページのみで離脱した割合
・計算式:直帰者数 ÷ 訪問者数
・サイトの魅力・コンテンツ評価に重要

15.クチコミ増幅係数
・口コミ経由のアクセス率
・計算式:(ダイレクト + 口コミクリック)÷ ダイレクトクリック
・バイラルマーケティングの評価に重要

まとめ

これからの時代、データを上手に活用し、それをマーケティング戦略に生かすことが、企業の成長にとってますます重要になっています。

データドリブンマーケティング戦略は、ビジネスの潮流を的確に把握するための有効なアプローチです。このアプローチを取り入れることで、より一人ひとりのニーズに合った施策を展開し、顧客とのつながりを深めることができます。

データの力を活かしながら、自社に合ったマーケティングを考え、より良い成果につなげていきましょう。

【この記事を書いた人】
識学総研 編集部/株式会社識学編集部です。『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作中。3,000社以上に導入された識学メソッドも公開中です。

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/
コンサルタント紹介はこちらから https://corp.shikigaku.jp/introduction/consultant

 

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